
無理無理時間を作って大阪アジアン映画祭短編プログラムEを見た。ここしか時間はない。しかもこれを見ると『日本万国博』の冒頭30分が見れなくなる。だけどあれは2時間53分もあるし、たぶん以前見ているからこちらを優先した。移動は2分。国立国際美術館の隣に中之島美術館があるから、ね。
3本の短編には期待した。だけどいずれも残念な仕上がりである。短編はなかなか難しいなぁ、と改めて思った。
3本の中でなら一番短い『ボクシングの日』が一番よかった。ここまで説明抜きでパステルカラーのファンタジックな世界をリアルな日常をベースにして描くって大胆。たった13分の映画だからこそ可能だった冒険がなされていた。
監督はジョン・シャオイー。看護師の女の子の1日が描かれる。ラジオからは先日退院した患者(ちょっと好きだった)の出るボクシングの中継放送が流れる。静かに働きながら聴く。お昼寝していてなぜかチープな水星人に出会うことも。まるですべてが夢の中でのできごとに思える白日夢のような一篇。
『恐るべき自動運転』(チョン・ギョン監督)は笑えた。主人公のキム・ジャヨンがいい。AIに息子の仕事が奪われてしまうと恐れて、自動運転の車に立ち向かう姿は凛々しくて滑稽。もっと徹底的にこのバカバカしい両者のバトルを見せて欲しかったが。
『To Be A Woman』(余園園監督)は昨日見た『ヤキシムシズ』と似ている。どちらも国際結婚を題材にしている。こちらはそこにさらにトランスジェンダーの問題が絡んでくる。この内容で36分は難しい。どうしても表層的になってしまい、ふたりの内面にまでは踏み込めない。結婚から6年の歳月ふたりに何があったのかが描かれてないからすべてが唐突に見える。リンの孤独が伝わらないから映画全体が嘘くさく見える。夫の女性になる覚悟に対して子供を産むことばかりに固執する彼女の複雑な想いが描き切れていない。