今頃になってこの作品が単独で一冊の本となって発売された。初期の村上春樹の傑作短編集『中国行きのスロウボート』に収められた『午後の最後の芝生』である。安西水丸によるたくさんの挿し絵とのコラボ。42年前の作品を再びこういう形で出版する。村上春樹と10年前に亡くなっている安西水丸との黄金コンビによるコラボが実現する。水丸さんによる絵がいい。久しぶりに読んだ小説は(出版された時以来だからもう40年以上前! . . . 本文を読む
近大の学生たちが野田MAPの作品に挑む。初演は妻夫木聡と蒼井優が主演した。今回ヒロインのあまねを演じた三好愛美がとてもいい。お話は彼女の暴走から始まる。演出,主演の福本康介はテンポのいい野田芝居を自分たちに出来るレベルで、無理せず再現を試みる。こんな素敵な芝居が無料で見ることができるってなんだか幸せな気分。もちろん決してこれが凄い作品だ、とかいうわけではないけど、彼らはこの難しい作品に挑みしっかり . . . 本文を読む
昨日、日本の1970を考える映画を見たこともあり、ついついこのタイトルに惹かれて見た。もちろんこれは昨年評判になった韓国映画で公開時に見たかった作品である。ようやく配信がスタートしてワクワクしながら見たのだけど、僕にはあまりピンとこなかった。リュ・スンワンの監督作品だからと安心して見ていたのだが、あまり彼らしくはない。前作の『モガディシュ』は面白かったけど、今回はコメディタッチの娯楽映画なのになん . . . 本文を読む
無理無理時間を作って大阪アジアン映画祭短編プログラムEを見た。ここしか時間はない。しかもこれを見ると『日本万国博』の冒頭30分が見れなくなる。だけどあれは2時間53分もあるし、たぶん以前見ているからこちらを優先した。移動は2分。国立国際美術館の隣に中之島美術館があるから、ね。3本の短編には期待した。だけどいずれも残念な仕上がりである。短編はなかなか難しいなぁ、と改めて思った。3本の中でなら一番短い . . . 本文を読む
1970年の作品である。山田洋次は『男はつらいよ』をヒットさせてそのご褒美に自分が本当に「今」作りたい映画を作った。そしてこの後、『故郷』『同胞』と続く3部作が作られた。あれが映画作家山田洋次のキャリアにおけるクライマックスだった。僕が劇場でリアルタイムに見たのは『同胞』だけだけど、そこには間に合った。今更ながらよかったなと思う。あの時代の目撃者になれた。こんな映画をよくあの時代に作ったものだ。感 . . . 本文を読む
今回の中之島映像劇場は大阪万博。もちろん2025ではない。あの輝かしい1970である。あの時僕は小学4年生で、あの場所で「未来」の美しさと「世界」の広さを体感した。千里丘は夢のような場所だった。あれから55年。この春から始まるらしい大阪万博には行かない。たぶん、いや絶対僕は夢の残骸である夢洲には行かないだろう。ディストピアを見たくはない。1970。もちろんあの頃、あの場所には未来だけがあったわけで . . . 本文を読む