石井裕也監督の『剥き出しにっぽん』を見たときは、感想を保留した。扱き下ろすのは趣味ではないが、好きでもないものを無理して誉めても仕方ないし、というか、おもしろいのだが、なんか好きになれないって感じたのだ。それってなんだろ? 実はかなり気になっていた。
そこで、今回続々リリースされた彼の作品から、最新作であるこの作品を見ることにした。だが、僕にはあかんかった。何が言いたいのやら、とんと伝わらない。そういう意味では『剥き出し~』と同じだ。拙い、というのとはちょっと違う。技術的にはずっとうまくなったとは思う。だが、問題はそんなことではない。
息子を事故で死なせてしまった夫婦がいる。妻は壊れてしまい、息子がまだどこかにいると思っている。夫は妻から目を逸らすために仕事に集中していく。この2人に夫の会社のOLや、メロンパン屋の男が絡んでくるのだが、焦点があやふやでどこに映画が向かうのか、よくわからない。いびつにドラマは流れて行き、それが収拾されないまま置き去りにされ、次の話に流れる。気にしないで見ればいいのだが、へんなこだわりが気になり、そこを流せない。別にどうってことない思いつき程度のものなのかも知れない。異常な行動の数々が、十分な説明もないまま展開する。シュールな映画だから、では済まされない。舌足らずで、ひとりよがりでしかない。
冒頭から提示される「人はみなばけものだ」という認識は悪くはない。だが、そのばけものぶりがこの世界をどう動かすことになるのかがまるで見えてこない。これでは映画として成立しない。自分の持つイメージを制御しきれていない、という気がする。きっと作りながらいちばんもどかしい思いをしているのは石井監督自身だろう。自分のお金で自主製作して、多作するのではなく、他人のお金でメジャー映画として、客観性を持った表現として、一度,作ってもらいたい。つまらない映画がここまで横行しているのだ。誰か彼に投資してみないか? きっと凄いものが出来るのではないか。
そこで、今回続々リリースされた彼の作品から、最新作であるこの作品を見ることにした。だが、僕にはあかんかった。何が言いたいのやら、とんと伝わらない。そういう意味では『剥き出し~』と同じだ。拙い、というのとはちょっと違う。技術的にはずっとうまくなったとは思う。だが、問題はそんなことではない。
息子を事故で死なせてしまった夫婦がいる。妻は壊れてしまい、息子がまだどこかにいると思っている。夫は妻から目を逸らすために仕事に集中していく。この2人に夫の会社のOLや、メロンパン屋の男が絡んでくるのだが、焦点があやふやでどこに映画が向かうのか、よくわからない。いびつにドラマは流れて行き、それが収拾されないまま置き去りにされ、次の話に流れる。気にしないで見ればいいのだが、へんなこだわりが気になり、そこを流せない。別にどうってことない思いつき程度のものなのかも知れない。異常な行動の数々が、十分な説明もないまま展開する。シュールな映画だから、では済まされない。舌足らずで、ひとりよがりでしかない。
冒頭から提示される「人はみなばけものだ」という認識は悪くはない。だが、そのばけものぶりがこの世界をどう動かすことになるのかがまるで見えてこない。これでは映画として成立しない。自分の持つイメージを制御しきれていない、という気がする。きっと作りながらいちばんもどかしい思いをしているのは石井監督自身だろう。自分のお金で自主製作して、多作するのではなく、他人のお金でメジャー映画として、客観性を持った表現として、一度,作ってもらいたい。つまらない映画がここまで横行しているのだ。誰か彼に投資してみないか? きっと凄いものが出来るのではないか。