中学生の映像研究会(たまたま先日見た芝居覇王樹座の『最後はハッピーエンドで!』も映像研究会が舞台だった。映研って今はもう「映画研究」ではないんだなぁと実感する)による映画撮影がお話の背景になる。お話の各章最初には撮影中の台本が提示される。お話自体と、ここで作られていく映画がシンクロする。
神戸遥真の新作はなんと男の側から描かれる。今までのパターンはいつも(ほとんど?)女の子から描かれていたからこのパターンは珍しいはず。中学2年の豊川波瑠が主人公。目立たない地味男子。そんな彼が映研のアイドル星野凛子にスカウトされて映画に出ることになった。
中学生が本格的に映画を作る。そんなことが可能な時代になった。部員4人の映研で文化祭のために作る新作。映画作りを通して安易に恋愛物語を描くのではない。これはもっとさりげない話だ。演技が得意な凛子は嘘泣きができる。簡単に涙を流す。だけど、それは本当の涙ではない。彼女が本当の涙を流すことができるようになるまでのお話。それを波瑠が助ける話。ただそれだけだけど、それがいい。