うさぎの喘ギは、1昨年ウイングカップで優秀賞を受賞している。泉宗良が作・演出を手がける小さな世界は心地よい。今回もまた危うい世界の在り方を提示してくれる。ただねらいはわかるけど、これでは伝わり切れない。5人の男女のつぶやきはストーリーとしてつながらないので、見ていてだんだん眠くなって困った。少しうつらうつらしてしまうし、ちゃんと起きていても、話される言葉の断片は会話なのに、そこに意味を見出せないし、頭を素通りしていく。彼と彼女の話へと収斂されていくわけではなく、その周囲の人たちへと拡散されていくので、ますますわからないまま。
50分間の短い芝居の中から、ここで暮らす人たちの生活の実感のようなものが見え隠れ(は)する。街の片隅でひっそりと生きている男女の姿がそんな会話の断片の中から伝わってくる(のだろう)。自分を主張しない彼らのスケッチから、ラストの歯磨きのシーンまで、50分間、そのスタイリッシュな舞台は、きっとおもしろいはず。
「“現代人の実感の喪失”をテーマに、“街と暮らし”の異化を試みる。劇中では、同棲を始めようとする男女、ふるさと納税を企画する公務員、ニュータウン育ちの男、引きこもりの女、それぞれの暮らしが描かれる。」と書かれてあった。たしかにそんな感じかも。もう一度ちゃんとしたコンディションで見たかった。 (要するに、途中居眠りしてちゃんと見れていないという事ですね)