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映画・演劇のレビュー

演劇企画 無有場『同じ窓の者たち』

2017-09-28 20:46:36 | 演劇

 

こういうものをやりたいという気持ちはよくわかるのだが、そこに見せ方(技術)が伴わないから、気持ちばかりが空回りした。しかも、芝居自体が説明過多でテンポも悪い。90分がとても長く感じる。若いのに懐古的なドラマを感傷過多で見せられると鼻白むが、これは節度を保ち、ある種の距離感は保っている。そこは評価できるのだが、残念ながらそこまで、だ。

 

同窓会に集まった6人の男女。高校卒業から6年。24歳になった、という設定もいかにも、という感じだ。大学を出て2年。社会に出たけどまだまだなじめない。大人にはなりきれない。そういう時間を設定し、高校3年の日々を回顧する。懐かしいだけではない。それよりもまず、封印したい記憶がある。自殺した同級生のことだ。遅れてやってきた女の子がそこを避けて通る他のメンバーにもう一度あの日々と向き合うように迫るところから話が始まる。

 

芝居は回想に突入し、なぜ彼女が自殺に至ったのかを語る。そこに不思議な記憶が挿入する。今、回想していることはすでに一度体験したことではないか、と。お話はもう一度、やり直すことで運命を変えることが出来るのか、という展開になる。こういうタイプのお話はよくある。こういうSFタッチのお話を成立させるためには設定を観客に納得させ、そのルールの中で、どれだけドキドキさせることが出来るか、にかかる。もともと荒唐無稽な話なのだ。でも、彼らの心情に寄り添えたとき、お話は輝きを放つ。だが、最初にも書いたように、描き方も見せ方も杜撰なので、乗り切れない。

 

親友を死なせてしまった無念。それをリセットしてその時間を再度試みることで、(最初は気付いてない、という設定)運命を変える戦いを始める。彼らが意志的に彼女を救うとき、何が立ちはだかるのか。自分たちが作ったお話を突き破るような「何か」が欲しい。あまりにおきまりの展開をバカ丁寧にするから、終盤の大事なところで退屈してしまうのはもったいない。

 

それから一点、気になったのは、制服をちゃんと着ないのはなぜだろうか、ということだ。最初と最後は大人のシーンなので、仕方ないけど、途中はずっと高校生なので、制なの上着を羽織るだけではなく、ちゃんと着替えた方がいいと思う。

 

 


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