久々に興奮するバイオレンス映画の登場だ。北野武監督2年ぶりの新作。(シリーズとしては5年ぶり)『アウトレイジ』シリーズが3部作としてここに完結する。同時に『この男、凶暴につき』でスタートした北野武監督のバイオレンス映画の完成形でもある。これは『アウトレイジ』だけではなく、そこに至る『ソナチネ』から『HANABI』を経て、このシリーズに流れつく、その延長線上にある。北野映画の集大成でもある。
だが、映画自体には、もうなんら新しい発見はない。前2作の焼き直しと言われても、ここには返す言葉はない。どこかで見たようなシーンや、エピソード。やがて、最後の落とし前は終わらせるために仕方なくした結末でしかない。これは壮大な大河ドラマの終わりではなく、ただの遊びの時間の終焉でしかない。だが、そんなことはわかってやっているのだ。
この果てしない殺し合いの最後は自分が死んで終わるしかない。全員悪人だから全員殺した後で死ぬか? とも思うけど、悪人なんて殺しても殺しても蛆虫のように涌いてくるだけ。きりがないから、適当なところで終わるしかない。
済州島から始まり、そこでノーテンキに釣りをしている。もっとあの冒頭のエピソードが見たかったけど、すぐに事件に巻き込まれる。日本に帰り、また、殺戮を繰り広げるしかない。敵討ちなんて、きりがない。どこまでいっても、同じことの繰り返し。わかっているけど、やらなくては収まらないし、最初から死に場所を探していただけ。
死んだはずの男がゾンビのようによみがえる。ヤクザ同士のつまらない抗争。ここには何ら未来への展望はない。ヤクザの落とし前、なんていう70年代には終焉を迎えたようなお話に21世紀の僕らが付き合うことになる。バカバカしいアナクロ映画。時代錯誤も甚だしい。でも、それを正々堂々と北野武が自ら主演してやると、説得力のある映画になる。なんだか不思議だ。怒号と罵り合い、やがては殺し合い。それだけの映画なのに。