久々にDVDを借りて映画を見た。それなのに、数ある映画の中から、こんなB級映画を選ぶなんて、情けない気がしないでもない。ただ、ずっと気になっていた映画だし、旧作になっていたから100円だし、ついつい借りてしまったのだ。
イーライ・ロス監督の映画は初めてだ。彼の名前はジョン・ワッツに教えて貰った。ジョン・ワッツのB級ホラー映画を見たとき、そのパイロット映画をイーライ・ロスが援助したという話をキネマ旬報で読んで、いい話だと思い、記憶に残していた。そう言えば、ジョン・ワッツの『クラウン』もこんな程度の映画だった。気分の悪くなる映画だ。胸くそ悪い。でも、安物の映画なのだけど、こういうB級ホラーを1本だけ見るのなら、ぜひこれがいい、と思わせるような映画なのだ。ジョン・ワッツは『ザ・カー』でブレイクして、『スパイダーマン ホームカミング』でメインストリームに進出した。でも、大作のはずなのに、スパイダーマンはとてもB級感覚の映画で、そこがよかった。ちゃんとした青春映画しているのも、笑えた。
彼の師匠であるイーライ・ロス。彼のこのキアヌ・リーブスを主演に持ってきた映画も、やはり、(なぜか、)ワッツと同じような感覚の映画なのだ。大作ではないけど、今のキアヌが主演なので、ただのB級品ではない。お話はキアヌにとってとても惨い話で、どうしてこんな映画に出たのか、と思われる向きもあろう。だがキアヌは確信犯だ。ただのホラーだけど、ただの映画ではない。
とんでもない不快感が残る。そこがこの映画の魅力だろう。2人組の女たちに監禁され、好き放題される。逆ならよくあるパターンだ。でも、若い女たちから善良な中年の男が虐待されていくさまは不快に極みなのに、仕方ない気もする。自分が悪い。親切心なんて起こさなければいいし、ちょっとは下心があっただろ、とも思う。自分は悪くない。被害者だ、と言い切れない。そこにつけ込まれていく。とてもイヤな話なのだ。最初から最後まで救いがない。途中で見るのをやめたくなる。100円だから当然やめてもいいけど、もったいないから、最後まで見てしまった。そのレベルなのだ。
だが、こういうB級映画のキラメキのようなものが、ここにはちゃんとあるから、たまにはこういうものも見なくてはならない、と思わされる。キアヌもきっと僕と同じようなことを思い、この映画のオファーを受けたのだろう。人間のなかにあるイヤな部分にスポットを当ててこれでもか、これでもか、と抉り出し、それを目の前に突きつけてくる。そう言えば、昔、彼の『ホステル』も見ている。あれは、とことんイヤな映画だった。(と、いうことは初めて、ではなかったよ)