『ラスト・ナイツ』
今年一番残念な映画かもしれない。見る前のドキドキと、見た後の落胆。そのとんでもない落差に呆然とする。映画がつまらないだけではない。そのつまらなさが、こんなにも僕にショックを与えることが問題なのだ。
5年の歳月を賭けて、紀里谷和明が心血を注いだ大作映画なのだ。しかも、これによってハリウッドデビューした。アメリカに呼ばれてお仕着せ企画をあてがわれて、不本意ながら、作ったような映画ではない。満を持して放つ勝負作なのだ。クライヴ・オーウェンを主役に迎え、世界から納得のキャスティングをした。十分な予算と、納得のいく脚本で、日本の魂を世界に向けて発信した。ここでこけるわけにはいかないという意気込みは全編に漲る力作である。魂の映画のはず、なのだ。なのに、まるで、届かない。
こういうことがある。それは僕だけの問題なら構わないけど、どうなのだろうか。これから公開されるが、ぜひ、ヒットして欲しい。そして、観客が喝采して欲しい。つまらなかったのは、僕だけならいい。だが、そうなるとは、思えない。
なんで「忠臣蔵」なんだろうか。少し前のキアヌ・リーブス主演『47RONIN』もそうだった。なんで、こんな話をアメリカ人が作ろうとするのか、僕にはわからない。でも、今回は日本人の紀里谷である。忠義なんてものは世界共通の認識で、そのためなら死ねる、というのも、わからないではない。でも、今、日本人ですら、納得しないこのストーリーをなぞる意味はここには描かれていない。表層的なものでは、だまされない。よほど、納得がいく展開でなくては難しいはずなのに、まるで、そうはなってない。正義のために身を犠牲にするモーガン・フリーマン演じる主君。主君の敵を討つため、命を賭して戦う家来たち。でも、そこまでして倒すべきほどの敵には見えない。(まぁ、吉良上野介もそうだけど)
アクションシーンを抑えめにして、ドラマ重視で見せていくという心意気は買うけど、そのドラマがまるでちんけで、説得力がないのはどうしたことか。どこでもない、国と時代。しかし、中世の騎士道の世界を思わせるビジュアル。架空なのに、リアル。あり得ない話なのに、納得させる。そういうコンセプトには間違いはないはずだったのだ。
思い返せば、彼が今まで作ってきた2作品もそうだった。『CASSHERN』の描いた未来も、『GOEMON』の描いた過去も。かって誰もが見たことのない世界で、主人公たちは生き生きしていた。たとえ、終末が来ようとも、今を彼らは生きていた。今回も同じパターンなのだ。なのに、どうして今回ばかりはこんなにも、つまらないのだろうか。
ストーリーの向こう側へと作品が連れて行ってくれないのだ。きっと、ほんのちょっとした齟齬が決定的なミスになった。そう納得するしかない。それがどこなのか、僕にはわからない。
今年一番残念な映画かもしれない。見る前のドキドキと、見た後の落胆。そのとんでもない落差に呆然とする。映画がつまらないだけではない。そのつまらなさが、こんなにも僕にショックを与えることが問題なのだ。
5年の歳月を賭けて、紀里谷和明が心血を注いだ大作映画なのだ。しかも、これによってハリウッドデビューした。アメリカに呼ばれてお仕着せ企画をあてがわれて、不本意ながら、作ったような映画ではない。満を持して放つ勝負作なのだ。クライヴ・オーウェンを主役に迎え、世界から納得のキャスティングをした。十分な予算と、納得のいく脚本で、日本の魂を世界に向けて発信した。ここでこけるわけにはいかないという意気込みは全編に漲る力作である。魂の映画のはず、なのだ。なのに、まるで、届かない。
こういうことがある。それは僕だけの問題なら構わないけど、どうなのだろうか。これから公開されるが、ぜひ、ヒットして欲しい。そして、観客が喝采して欲しい。つまらなかったのは、僕だけならいい。だが、そうなるとは、思えない。
なんで「忠臣蔵」なんだろうか。少し前のキアヌ・リーブス主演『47RONIN』もそうだった。なんで、こんな話をアメリカ人が作ろうとするのか、僕にはわからない。でも、今回は日本人の紀里谷である。忠義なんてものは世界共通の認識で、そのためなら死ねる、というのも、わからないではない。でも、今、日本人ですら、納得しないこのストーリーをなぞる意味はここには描かれていない。表層的なものでは、だまされない。よほど、納得がいく展開でなくては難しいはずなのに、まるで、そうはなってない。正義のために身を犠牲にするモーガン・フリーマン演じる主君。主君の敵を討つため、命を賭して戦う家来たち。でも、そこまでして倒すべきほどの敵には見えない。(まぁ、吉良上野介もそうだけど)
アクションシーンを抑えめにして、ドラマ重視で見せていくという心意気は買うけど、そのドラマがまるでちんけで、説得力がないのはどうしたことか。どこでもない、国と時代。しかし、中世の騎士道の世界を思わせるビジュアル。架空なのに、リアル。あり得ない話なのに、納得させる。そういうコンセプトには間違いはないはずだったのだ。
思い返せば、彼が今まで作ってきた2作品もそうだった。『CASSHERN』の描いた未来も、『GOEMON』の描いた過去も。かって誰もが見たことのない世界で、主人公たちは生き生きしていた。たとえ、終末が来ようとも、今を彼らは生きていた。今回も同じパターンなのだ。なのに、どうして今回ばかりはこんなにも、つまらないのだろうか。
ストーリーの向こう側へと作品が連れて行ってくれないのだ。きっと、ほんのちょっとした齟齬が決定的なミスになった。そう納得するしかない。それがどこなのか、僕にはわからない。