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ここからは一応学生劇団スタイルの公演が続く。近畿大学のD館ホールでの演劇公演である。年末年始にここで授業の実習作品を何本か見て感心した。笠井さんや土橋さんという知り合いの指導による作品だったから見たのだが、期待以上の作品が並ぶ。だから、さらにその先、生徒たちによる自主作品も見たいと思った。
劇場で配布されたチラシではこれから3作品が並ぶが本作はその第一弾。チラシを見て劇団名は「ミルクレープバレンタイン」だと思っていたが、違っていた。ミルクレープである。劇団ミルクレープのバレンタイン公演でした(笑)。
3作はすべて既成の戯曲ではあるが、それを近大の学生たちがどう料理するのか、楽しみだ。学内のサークル活動だが、舞台芸術専攻の学生が自分たちの力で作る芝居がどんなものなのか。お手並み拝見。
劇団ミルクレープは柿食う客の作品を取り上げた。男4人によるハイテンション演劇だ。昔懐かし、つかこうへいの芝居を思わせる。マシンガンのようにセリフを連射していく。1時間という上演時間をあらかじめ設定して、その枠の中でどこまでも暴走していく。オリジナルを見事にコピーして自分たちのものとしてアレンジした。
これだけのセリフを一気に放つから滑舌がよくなくては何を言ってるのかすらわからなくなる。4人は無理なくテンポよく見せてくれる。凄いスピードで展開していくアンサンブルプレー。4人がさまざまな役を演じていく。
30年前の失踪事件の謎が描かれる。謎は明かされることなく、さらには30年後の新しい事件につながっていく。昭和の終わりと平成の終わりをつないで、さらには令和の今につないでいく。
美少年が行方不明になった。8歳、小学3年生のヒバリ。2週間後、彼は帰ってくるが、まるで別人のように思える。ミステリ仕立てのお話のはずなのに、謎の究明には進まない。美少年というイメージだけが暴走していく。
4人の役者たちはすさまじい勢いで展開していくお話をからだを張って見せる。お話はさらに加速していく。基本は台本通りだと思うが、彼らはこの作品世界を自家薬籠中の物にする。オリジナルである柿食う客の丁寧なコピーがまるで自分たちのスタイルに見える。ただの猿真似ではない。これはオリジナルな自分たちの舞台だ。素晴らしい。