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句集である。川上弘美の2冊目となる句集らしい。彼女は30年前から俳句を作り始めた。作家活動より早い。17音の世界は身近で、簡単に作ることもできるけど、それだけに難しい。2010年から23年までの220句が収められている。巻末にはこの30年のベストワン作品30句とその解説。(自分による)さらには読者へのエッセイまで。だけど、このエッセイが一番面白いって、何?
「俳句を、始めてみませんか」というお誘いである。
前作以降のこの15年ほどの作品が収められている。読みながら、よくわからない作品が多いから困った。1ページに2句しか載っていないから、じっくり見て読んでみるけど、なんだかなぁと思う。仕方ないからどんどん読むことにした。凡人には無理か?と暗い顔になる。もともと俳句は難しい。たった17音で世界を構築するのは困難を極める。しかも季節詩だから表面的に描かれる。だけど芭蕉以降そこに内面のドラマまで盛り込んでいたりするから鑑賞者は読解が大変だ。
感覚的に提示する川上弘美の俳句を理解するには同じような感性を持ち合わせていなかったら苦しいかもしれない。彼女の小説は大好きだけど、これはさすがに「なんだかなぁ」と思った。
炎昼の横断歩道わたる犬
まんぢゅう屋本家と元祖並び秋
かなぶんのとまりどころを決められず
たうがらし死んだともだちに会ひたい
骨壺に骨すり切りや秋日和
父連れて彼岸の町に昼酒す
大根が一本道に落ちてゐる
日めくりのめくられずあり梅雨晴れ間
夏の雨とほりぬければ知らぬ町
10句選ぼうか、と思ったけど9句でやめた。どうしても川上弘美らしいのより俳句らしいのを選んでしまうから。