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映画・演劇のレビュー

沢木耕太郎『キャパの十字架』

2013-10-20 08:32:20 | その他
 久々に沢木さんの本を読む。いつものことながら、とてもしつこくて、自分の考えを立証するためになら、どんな困難も、ものともしないその姿勢には感動させられる。いくつのなっても沢木さんは沢木さんだ、と思う。

 1枚の写真(「崩れ落ちる兵士」)に何十年もこだわり続け、この1冊を作り上げる。もちろん、これを書くためにこだわっていたのではない。こだわったから、これが生まれたのだ。あの写真はキャパの撮ったものではない、ということを証明することが目的なのではないことは明らかだろう。必要なのは、その事実がキャパにどういう影響を与えたのかを知ることだ。

 キャパについて、沢木さんがもう一度考えていくうえで、これは避けては通れないところだった。そのことがしっかり伝わってくる作品である。これはノンフィクションでも、ルポルタージュでもない。もちろんエッセイなんかではない。沢木さんの本、としか言いようがない。何にこだわるかは人それぞれ自由だが、そのこだわりを突き詰めていく作業って、生きていくうえでとても重要なことだと思う。そんなことに改めて気づかせてくれる。いつもと同じ沢木さんの姿勢が好き。



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