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このドキュメンタリー映画が見たかったけど、劇場公開時に見ることが出来なかった。DVDもまだ出ていない。なのに、先日NHKで放送されていた。しかも、これが2度目。(1度目は正月頃で、見逃した)ようやく、目的を達した。見てよかった。こんなどうでもいいような内容の映画なのに、それがどんなことよりも大事。そう思う。
4人の子供たちのお話が並行して描かれていく。家から学校までの道のりが描かれるだけなのだ。でも、その道のりがとても大変で普通じゃない。でも、彼らは学校に行きたいから、そんな困難に立ち向かう。というか、ただ学校に行くだけで、どうしてこんなにも困難を極めなくてはならないのか。不条理だ。でも、それが彼らの現実なのだから仕方ない。
ある少年はサバンナを通って行くのだが途中で象に遭遇したなら、やばいことになる。象に殺されないように逃げることが可能か、というサバイバルなのだ。ライオンとかトラではなく象というのがなんだかリアルだ。妹とふたりで命がけの通学となる。
車椅子で通学するインドの少年は、仲間たちが助けてくれるけど、道はもちろん舗装された道路ではないし、なんと途中で川を渡らなくてはなくてはならなかったりで、とんでもない。ある少女は通学にすさまじい時間をかけなくてはならない。断崖絶壁を通り、幾つもの山越え谷越え。通学が命がけだったり、それだけに何時間もかかる、ってどうよ、と思う。でも、それは彼らにしたら当たり前のことなのだ。
勉強がしたい、という切実な想いがそんな彼らを支えている。僕たちがふだん当たり前に思うことが、環境や状況が変われば、こんなにも凄いことになる。学校が大好き。友だちと過ごす時間が楽しい。だから、学校に行きたい。そんなことがこんなにも愛おしい。この何でもないこと(学校に行く!)を、ただそのままに描いた映画から僕たちは、いろんなことを教えられる。だから監督はことさらメッセージを言葉にしたりはしない。不要だからだ。映画を見たならすべてがわかる。これはそんな貴重な映画なのだ。