習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

寺地はるな『雫』

2025-01-18 21:55:00 | その他
寺地さんの新作である。2025年春からお話はスタートする。これって近未来じゃない? もちろんSFではない。4人の男女の物語。取り壊しになる古いビルの中にあるジュエリーリサイクルショップで働いていた私(永瀬珠)は45歳。20年この会社で働いていたが取り壊しと共に閉鎖される。

これは彼女と3人の同級生たちのお話。4人は同じこのビルで働いている。高峰は会社の社長でこのビルの持ち主。森はここに入っているテナントの印刷会社で働いている。そしてしずく(小説のタイトルは『雫』だけど)は同じジュエリーの職人。

お話は5年前に遡る。2020年2月。コロナが始まった頃。4人はまだ(もう)40歳。高峰の入院、認知症の母親の介護。人生の後半戦が始まる時間。

お話はさらに5年前に遡る。5年単位でどんどん遡る。やがて1995年にまで戻る。4人は15歳。

5年単位というのが面倒だと思う。遡るのも。だけど敢えてこんなふうに作ろうとした。45歳の未来からここまでの人生を振り返ることで見えてくるものを描きたかったのだ。4人の、というよりこれは珠と高峰の腐れ縁である。そこにしずくと森が絡んでくる。4人は親友というよりやはり腐れ縁である。何故か30年一緒にいる。15歳の出会いまで遡るエピソードの後、エピローグは再び2025年、10月。さらに時間は進んでいる。やはりこれは近未来を描く小説だ。寺地さんはこの2025年の先を見据える。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« こころネットKANSAI×DIVE『あ... | トップ | 『サンセット・サンライズ』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。