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映画・演劇のレビュー

『天空の結婚式』

2023-03-14 10:24:11 | 映画
ずっと見たいと思っていたけど、なかなか見る機会がなかった映画だ。アマゾンプライムビデオに入っているからいつでも見られると思い、ウォッチリストに入れておいたまま、気が付くと1年くらいが経っていた。ようやく今朝見たのだが、想像以上に面白くて、衝撃だった。同性愛者の恋愛映画としては、先日見た『エゴイスト』以上の出来だ。もちろんこの2本は傾向がまるで違うから単純に比較することには何の意味もない。そんなのは . . . 本文を読む
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エイチエムピー・シアターカンパニー『リチャード三世  馬とホモサケル』

2023-03-13 12:22:39 | 演劇
なんと3時間30分に及ぶ超大作である。3部構成で2度休憩も入る。息が詰まる緊張が持続するから、1時間見たなら10分ほどの休憩が必要だ。観客にとってだがそれだけではなく、役者にとっても、ね。これはとてもわかりやすい芝居である。きっとシェイクスピアの原作を丁寧に生かしたはずの(僕は原作戯曲を読んでいないので)くるみざわしんによる台本を、笠井友仁が同じように丁寧に演出した。だがそれはただ原作をなぞるので . . . 本文を読む
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劇団なかゆび『文化なき国から 喜劇一幕』

2023-03-13 11:17:26 | 演劇
これはすごい。久々に「こんな芝居が見たかった!」と思わせてくれる作品だ。たった90分に収まる。ムダがない。『喜劇一幕』なのに3幕からなる。まぁ幕はないから昼、夜、朝の3場なのだけど。この3つのエピソードでまるまる1日のお話。コロナにはイソジンが効くとコメントした大阪府知事。それを聞いた大阪市民がイソジンを買い込み店頭からイソジンがなくなった日のお話。大阪という文化なき都市で暮らすある家族の1日。長 . . . 本文を読む
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萩原浩『ワンダーランド急行』

2023-03-13 11:11:29 | その他
400ページ越えの大作だが、おもしろくてどんどん読み進めることができた。コロナ禍にある今が舞台だ。だが主人公はコロナのないパラレルワールドに紛れ込んでしまう。そこではちゃんと2020年に東京オリンピックがあり、(残念ながらそこでは日本選手団はあまりいい結果が残せず終わったけど。)いや、そんなことよりもまず2000年代になり牛が絶滅に危機にあるという出来事が描かれる。この微妙に現実の2020年代とは . . . 本文を読む
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『さえない私にさようなら』

2023-03-13 10:06:57 | 映画
Netflixの新作配信映画だ。23年のドイツ映画。こんな最新作が早速見られるのはうれしい。コメディとあるが、そうではない。ラブコメの意匠を纏った人間ドラマだ。まぁ、そんな分類なんかどうでもいいけど、これがリアルな現実を舞台にしながら、前向きに人生をみつめる作品であることが大事だ。昔の映画で恐縮だが今は亡き大森一樹監督と斎藤由貴コンビによる佳作『さよならの女たち』を思い出した。タイトルもなんだかよ . . . 本文を読む
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『窄路微塵』

2023-03-11 09:20:39 | 映画
今年も大阪アジアン映画祭が始まった。昨年同様たくさんの映画は見られないけど、自分が選んだ特選の数本を今回もセレクトして見る。(わざとですが、回りくどい書き方をしました。要するに自分なりの選りすぐりということですね。あまりの本数が多すぎて大変。まぁ、自分ではわざわざチケットを買う気はないけど、妻がこの映画祭が好きで、たくさん見たい映画があり、チケット争奪戦に参加をしてくれるから、ついでに買ってもらい . . . 本文を読む
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KUTOー10『和解』

2023-03-10 11:02:56 | 演劇
工藤俊作プロデュースKUTOー10の第22作。10作を超えるか、というのが最初の目標だったのに、今では毎年コンスタントに続いてもう22作になってしまったようだ。最近はウイングフィールドでの公演が定着している。今年も3月ここでの上演だ。しかも1週間のロングラン。さらには東京公演もこの先にある。もちろん来年も決まっている。来年は新しく出来る扇町ミユージアムキューブで、3都市公演にもなるようだ。怒濤の快 . . . 本文を読む
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『退屈な日々にさようならを』

2023-03-10 10:06:55 | 映画
今泉力哉監督の映画を初めて見たのは『パンとバスと2度目のハツコイ』(2018)だった。当時は今ほどメジャーではなかったし、あの映画も素人映画でたいした作品ではなかった。だが、その直後、初の本格商業映画『愛がなんだ』(2019)の登場である。そこからは誰もが知っているように飛ぶ鳥を落とす勢いだ。昨年の稲垣吾郎主演の最高傑作『窓辺にて』まで(4年間で10作品)で一気に上り詰めた。さらには今公開中のNe . . . 本文を読む
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吉野万理子『トリカブトの花言葉を教えて』他

2023-03-09 09:46:36 | その他
『強制終了、いつか再起動』とこの本を借りてきた。先日の吉野万理子未読の児童書3冊読破(1冊は既に読んでいたけど)に続いて今回はYA本2作。『強制終了、いつか再起動』は2021年2月出版。なんと大麻中毒になる中学生が主人公だ。薬物依存なんていう素材を扱うのか、と驚く。私学の中高一貫エリート中学の3人の同級生。うまくクラスに溶け込めない転校生が家庭教師の大学生から大麻を進められることから話が始まる。彼 . . . 本文を読む
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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

2023-03-09 09:38:47 | 映画
ダニエルズ監督の前作『スイス・アーミーマン』は途方もなく変な映画だった。ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフが死体役で主演。最初から死体だからセリフはないし、動きはしないし、彼自体は「もの」状態ですが一応あれで主演。(まぁ、実際の主演はポール・ダノ)あり得ないけど、あり得た。今回はあのA24の映画だから、なんでもあり。やりたい放題できる。そんなマニアックなはずの映画が、なんとアカデミー賞最多ノミ . . . 本文を読む
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『梅切らぬバカ』

2023-03-07 11:19:04 | 映画
これは1昨年劇場公開されていた作品だ。なんとたった1時間17分の映画だ。ミニシアターでひっそりと公開されていたけど、けっこうお客を集めてそれなりのロングランだったようだ。地味な佳作という感じだろうか。 そしてなんと僕にとっては(実は1967年の『濡れた逢びき』以来54年ぶりの映画主演作らしいので)『月曜日のユカ』以来の加賀まりこが主演映画で、だから気になっていたので見に行こうとは思っていたのだが . . . 本文を読む
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久田恵『主婦悦子さんの予期せぬ日々』

2023-03-07 10:49:12 | その他
先日初めて久田恵の小説『ここが終の住処かもね』を読んでなかなか面白かったので、ではついでに彼女の前作も読んでみようかと思い借りてきた。特段すごく面白いというわけではないのだけれども、興味深い題材をわかりやすく適切に描いてくれていたから、もう一冊と思ったのだ。彼女はもともとはエッセイストなのだが、小説家としてはこれがデビュー作となる。自分の体験を題材にして小説化したのだろう。 主人公は59歳の主婦 . . . 本文を読む
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『フェイブルマンズ』

2023-03-05 12:20:00 | 映画
これはスピルバーグの自伝的映画。なんと2時間31分の大作だ。そこには幼い頃から20歳までの時間が描かれる。映画少年だった日々のさまざまな記憶が1本の映画として綴られていく。初めての映画館。『史上最大のショウ』の列車と車の激突シーンを見た衝撃。彼はそれを再現しようとする。そこから映画にのめり込むことになる。8ミリカメラを手にしてのホーム・ムービー作りから始まり40人のキャスト、スタッフを集めた戦争大 . . . 本文を読む
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角田光代『希望という名のアナログ日記』

2023-03-05 08:29:00 | その他
もう1週間以上読んでいるがまだ終わらない。エッセイ集だから一気読みはもったいないけど、それだけじゃない。これはかなりのボリューム感のあるエッセイなのだ。普通エッセイは軽く読み物で、読んだ瞬間忘れてしまうことも多いが、これはそうじゃない。 最初の20ページほどのエッセイ『<希望>を書く』だけで1冊の長篇を読んだ気分だった。角田光代の自伝的小説って感じ。ここには彼女が作家になるまでの軌跡 . . . 本文を読む
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群ようこ『今日はいい天気ですね。』

2023-03-04 09:48:35 | その他
『れんげ荘物語』シリーズの第7作だ。今まで何冊かは読んでいるけど、どれを読んだのかはもう覚えていない。でも、気づくと読んでいる。安心して読めるし、読んでいて楽しいからだ。でも今回のお話はなんだかいつも以上に心にしみた。後半キョウコの親友もまた仕事を辞める。彼女は学校で教師をしていたようだ。校長からのパワハラが我慢ができず、まだ定年前だが早期退職した。このエピソードにドキリとする。職場の人間関係は難 . . . 本文を読む
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