これはスピルバーグの自伝的映画。なんと2時間31分の大作だ。そこには幼い頃から20歳までの時間が描かれる。映画少年だった日々のさまざまな記憶が1本の映画として綴られていく。初めての映画館。『史上最大のショウ』の列車と車の激突シーンを見た衝撃。彼はそれを再現しようとする。そこから映画にのめり込むことになる。8ミリカメラを手にしてのホーム・ムービー作りから始まり40人のキャスト、スタッフを集めた戦争大作まで、前半はなかなか面白い映画だった。
だが、後半舞台がカリフォルニアに移ってからの高校時代がしんどい。イジメの話がなんかありきたりの展開でたとえそれが事実をベースにしたものだとしても暗くて救いがない。これはユダヤ人差別の話だからというわけではないけど、それまでのタッチとは異質で馴染まない。映画への愛を描くはずが、中途半端な学園もの、差別からの虐めのお話になる。この扱いは映画全体のバランスを著しく欠く。
ただラストのジョン・フォードとの出会いはなかなかいい。だが唐突すぎる。お話を無理からまとめてみました、って感じだ。それにしてもデビット・リンチってのにはびっくりした。
お話を詰め込みすぎて、まとまりがない。終盤は反対に端折りすぎ。感傷的で、これは2時間半の独りよがりだと言われたって仕方ない映画だろう。でもそんなことはわかったうえでしている。好きなように作りたいものを作っただけ。壮大な個人映画だ。これはスピルバーグ様、だからではなく、でも、スピルバーグだから許される映画。