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『れんげ荘物語』シリーズの第7作だ。今まで何冊かは読んでいるけど、どれを読んだのかはもう覚えていない。でも、気づくと読んでいる。安心して読めるし、読んでいて楽しいからだ。でも今回のお話はなんだかいつも以上に心にしみた。後半キョウコの親友もまた仕事を辞める。彼女は学校で教師をしていたようだ。校長からのパワハラが我慢ができず、まだ定年前だが早期退職した。このエピソードにドキリとする。職場の人間関係は難しい。僕も学校を辞めたから、なんだか親近感がわく。まぁ、僕は人間関係からではないし、定年退職だったし、3年の担任だったから再雇用も1年したし、さらには今も非常勤で働いてはいるけど、なんとなく身近に思えた。この人はこの先どうするのだろうか、気になる。
だいたいこのお話は、ボロアパートで、管理人をしながら無職で暮らしている50代のキョウコさんの日常を描く連作なのである。今更だが彼女には共感することが多々ある。僕も以前仙人と呼ばれていたことがある。もちろん働いていた頃の話だけど。マイペースで悠々自適だったからだろう。まぁ、今も仙人のような暮らしをしているし。だから彼女はなんだか同類のようで。
今回は、友人の結婚式に呼ばれて行く話(着ていく服がないと、大騒ぎする。義姉に貸してもらい一件落着)や、終盤、畳の入れ替えのため家にいられないので都心に散歩に出る話(以前働いていたところの周辺に行き、お店にも入る)がいい。少し寂しいけど、なんだか幸せ。公園のベンチでひとり昼食のパンを食べるシーンもよかった。
忙しい毎日から解放されて、自由人として生きる。何をしてもいい。毎月10万で暮らしている.慎ましいけど充実の日々。猫や犬が好きで、花や鳥も好き。隣人や友人とのおしゃべり。そんな毎日。今回もまた楽しく読めた。