クヴァストホフ/ブーレーズ「マーラー さすらう若人の歌」


 NHKのBS放送だと思うのですが、アバド/ベルリンフィルとのマーラー演奏で独奏者のクヴァストホフを聴いて、観て魅了されました。身体に障害のあるバリトン歌手なのですが声に艶、輝かきがあり、歌には説得力があります。最近はヨーロッパの音楽祭でパルジファルなどにも出演して人気、評価も確立してきているようです。

 何枚かクヴァストホフのCDを聴いたのですが、やはりマーラーが今のところ一番よいと思いました。ブーレーズの最近の録音は良いものと平凡な気の抜けたような演奏との差が大きく、安定感がありませんが、このディスクでは名歌手3人を擁してなかなか健闘しています。


(お断り)

 申し訳ありませんが、本ブログは、今後、インターバルの長い不定期更新となると思いますので予めお断りさせていただきたいと思います。

 秋以降、赤ん坊中心の生活になり旅行、外食には行きにくくなりましたが、その他の面では従来と生活はあまり変わりません。ただ、いろいろと書きたいなあと思って始めたこのブログですが、結構、メモを書いた満腹感があり、今後、どういう展開となるのかよく分からないところがあります。そこで、通常ブログに期待する最低でも週一の更新とはならないと思うので、一応、お断りさせていただくものです。

 今年はこれで最後になるかもしれないのでご挨拶。皆さん、メリークリスマス。よい新年をお迎え下さい。


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デュ・プレ/バルビローリ「エルガー チェロ協奏曲他」


 ボーナスお小遣いを貰って少し懐が暖かくなったこともあり、久しぶりに渋谷の音楽ショップに行きました。
 主目的はクレンペラーのベートーヴェン第4番、第5番のベリリンフィルライブ盤だったのですが、試聴したところ、しっくりこなかったのでとりあえず止めておくことにしました。聞き通せば違った印象を持つかもしれませんが、どの演奏、録音でも冒頭の1~2分の違和感は結局、最後まで解消されないということが私は多いです。それでも他に選択肢がなければ購入するのですが、ウィーンフィル盤などもあるのでここは無理はしません。

 試聴コーナーのクレンペラー盤の隣にあったのが、このデュ・プレのライブディスクです。
 ジャクリーヌ・デュ・プレは大好きなチェリストです。初めて聴いた時、生命力に溢れて力強くて朗々と歌う旋律にやっと好みのチェロ奏者に巡り会えたという印象がありました。
 ロストロポーヴィッチは音がゴツゴツしすぎていて好みではない、フルニエはノーブルで良いけどもう少し血の通った音楽の方がよいかなあ、マイスキーは繊細だけど音が小さいということで満足できるチェリストがいなかったのですが、デュ・プレの演奏を聴いて初めてチェロという楽器の本当の機能、輝きを知りました。
 その後、「ジャクリーヌ・デュ・プレの想い出」というビデオを観てその思いを更に強くしました。明るくはしゃぐギャルのような一面と何かに憑かれたようにチェロ演奏に没頭するギャップの大きさに驚くとともに魅了されました。演奏も人間も魅力があり、バレンボイムが惚れたのもよく分かります。

 残念ながら病気により演奏期間が短かったことで、残されたディスクは協奏曲中心で、バッハやベートーヴェンやシューベルトのディスクが残っていればなあと残念に思うのは多くのファンと同じです。

 このディスクのエルガーは正規盤も満足できる演奏ですが、こちらも素晴らしい演奏です。バルビローリの指示なのかパワーをうまくコントロールしているような全体的には落ち着きがある演奏です。ライブだから許容されるというような乱暴さは微塵もありません。この曲の美しさを味わいながら瞑想するように演奏しているようです。静かな高揚感があり感動がしみじみと伝わってきます。
 デュ・プレのチェロ演奏を聴くと、現代のチェリストも真似てこういう響きを聞かせてもらえないかなあと思うのですが、これは天才だけが鳴らすことのできる音楽なのでしょうか。

 カップリングされているバッハの無伴奏第1番、第2番は以前から発売されていた放送録音なんだそうですが初めて聴きました。自由な演奏というか古来からの演奏様式に拘らない伸び伸びとした演奏です。なんと17歳頃の演奏です。バッハの無伴奏についてはこう演奏して欲しいという好みがあるほど聞き込んでいないので、この演奏の優劣はよく分かりませんが、これはこれで魅力があります。もう少し様式を意識するほうがよりデュ・プレの良さが溢れ出るのではないかという印象を持ちました。しかし、残念ながらその成熟を聴くことはできません。


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