プレートル/ウィーンフィル「ニュー・イヤー・コンサート2010」


 ジョルジュ・プレートル指揮ウィーンフィルのニューイヤーコンサートをテレビで観ました。元旦はチャンネル権、番組裏録画の関係で視聴できなかったので2日の再放送を録画して観ました。

 まず映像がくっきりしていて本当に美しいです。同じデジタル放送でも何か違うのでしょうか。楽友協会の天上画が何度か映されましたが、システィーナ礼拝堂やパリ・オペラ座のように絵が描かれていることを初めて知りました。ホール全体が芸術品なんですね、素晴らしいです。

 演奏は意外やスローテンポです。入りと最後は速いのですが全体としてはゆったりしています。冒頭の「こうもり序曲」からためるところはたっぷりためてウィーンフィルがお手のモノのワルツを奏でていきます。ハイテンポでもきっちり優雅さを表現できるのですがスローテンポなら表情付けも万全です。
 初めて聴くワルツ、ポルカもありましたが、最後はどの曲でも変わらぬ演奏、ウィーンフィルの音は美しいなあという印象です。

 プレートルはもう85歳なので常に激しいボディアクションという訳にはいきませんが、まだまだ若く、手の振りも速いです。終演部の追い込みなどメリハリが効いていました。ポルカなどのハイテンポの音楽でプレートルらしさがよく出たような感想ですがスローテンポのワルツもよかったです。
 フランス人でニューイヤーコンサートを振ったのはプレートルが初めてなんだそうですが、パリの粋とウィーンの粋とが融合したしっくりくるワルツ集でした。楽しかったです。

 番組構成で良かったのは第1部と第2部との間の休憩時間に練習風景や舞台裏を紹介する番組(現地では毎回これなんでしょうか)を流したことです。例年のNHKスタジオでの評論家と音楽ファンが登場しての感想・座談会よりずっといいです。

 ウィーンフィルのメンバーは随分入れ替わっているようでコンサートマスターも初めて見る人でした。全体的に若返っていて、知っているのはフルートのシュルツだけ。映像ではベテランのシュルツを何度もアップにしていました。
 女性奏者はバイオリンに2名、ビオラに2名いたように見えました。アジア系奏者はいなかったようです。

 どういうメンバーにせよウィーンらしい音楽をいつまでも残してほしいものです。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )