ドアの向こう

日々のメモ書き 

雨の匂い

2005-08-09 | 自然や花など
  
  昨日のこと…
 突然、雨の匂いがした。埃くさい、蒸れた雨の匂いを久しぶりに嗅いだ。それは、走った後の犬の背中の臭いに似ていた。
雨には匂いがあることを あらためて思う。 夏の雨、夕立、白雨のしめった匂いが感覚をやわらかく広げる。
 午後、雨は激しく瓦をうちつけ、滝のように流れ落ちた。

 モームの短編「雨」を読んでいる…
足止めされた宣教師は、理性を押し流すほどのスコールにであった。 
サモアの雨期が傑作を生む。 ここの雨は、どんな匂いがするだろう。

 こまつ座・井上ひさしの「雨」も忘れられない。
江戸の両国。紅花問屋の旦那に間違えられた主人公は、まんまとなりすまし… どんでん返しの、息をつかせぬ激しい雨が降っていた。雨宿りから転がって騙したつもりが騙される。こちらは偽りの匂いがした。

突如降り出した夏の雨、 福田平八郎の「雨」も思い出させる。
 瓦の大きな斑点がつぎつぎに、黒く薄く滲んでいく。 懐かしい情景だ。

      -☆-

 30分でやんだ。 蝉のうたに促され蜆蝶が戻ってくる。きょう初めての青空に、明るい歌を口ずさむ。
 出かけられない心が、晴れる。

   青い青い空だよ 雲のない空だよ
   サモアの島 常夏だ~よ~
   高い高いやしの木 大きな大きなやしの実
   サモアの島 楽しい島よ~

   青い青い海だよ 海また海だよ
   サモアの島 常夏だ~よ~
   白い白いきれいな 浜辺の広場だ
   サモアの島 たのしい島よ~~~

         -☆-

    夕立や草葉を掴(つか)むむら雀   与謝蕪村
    夕立に走り下るや竹の蟻      内藤丈草

 雨はひとを素直にさせる。 心もからだも涼しくなった。 

    
コメント
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