ドアの向こう

日々のメモ書き 

人生を歌う

2005-08-25 | こころ模様

 キューバの歌手イブライム・フェレールの(写真中央)訃報を聞いた。
彼は12歳で母を亡くし、生計を立てるためキューバの伝統音楽ソンを歌い始める。50年代には人気を集めた時期もあったが、長く不遇で音楽活動から引退、靴磨きをしながら暮らしていた。
 ところが、米国のミュージシャン、ライ・クーダー等に呼ばれて歌ったCD「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(97年)がグラミー賞を獲得。
映画にもなり、各国でキューバ音楽のブームを巻き起こす(朝日夕刊 8/8)

              -☆-
映画を見て2001年2月、東京国際フォーラムで来日公演を聴いた。美しく哀調を帯びたバラード、ハバナの軽快なリズム、イブライム・フェレールのソフトな歌声が魅了する。彼とオマーラ・ポルトゥオンドのデュエット「シレンシオ」は特に素敵だ。人生を歌う… 胸の奥にふかく沁みる。ほかに「二本のくちなしの花」「想いあふれて」の曲も。

 イブライム・フェレール(2001年当時74歳。70歳を過ぎて初めて、スターの道を手にした)
 ルベーン・ゴンザレス(ピアノ。当時82歳 クラシックのピアニストになることも医者になることも可能だった。見事な演奏ぶり)  
 オマーラ・ポルトゥオンド(当時71歳 キューバで最も愛される女性歌手・ダンサー)  ほかの共演者も70歳以上。

 この夜、人生をかさねたひとの歌声も風貌も、なんと美しいのだろうとつくづく思った。イブライムの皺は、不遇にもめげなかった強くてあたたかいこころを映している。それは歌声にも表れ、情感豊かな熱いものが響いて、観客は総立ちでリズムを取った。
 この熱気と感動をいつまでも覚えている。

 日本にも、石垣の白百合クラブがあり、ますます輝いている。こちらも負けない。 


2001年写真 左より
イブライム・フェレール  オマーラ・ポルトゥオンド  
ルベーン・ゴンザレス
コメント
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