ドアの向こう

日々のメモ書き 

ペンキ屋さん?

2005-08-18 | イーゼルのうた

 盆栽展で会った風知草。はかなさにつよく惹かれ、さびた色合いにときめきました。Yさん、お元気ですか。

 私は一泊二日で太平洋を見てきました。
千葉県安房小湊、ここに行くのは三度目です。前回は1983年の今頃。半島の手前に漁船が泊まり、台風のあとのドラマティックな雲に心奪われた。19年もまえの天津漁港のようすは今もあざやかです。その日の空気や風、奔放な日射しまでも。

 時化のため近くの小屋に集まった漁師さんが覗きにくる。
  「絵描き屋さんかぁ」  (ペンキ屋さんじゃないわよ)
 「進水したばかりの俺の船も描いてよね…」 「韓国まで、この船で遊びに行ったゾ 」 と楽しげな人など、絵には想い出がたくさん詰まっています。
 
 今年も、仲間4人でスケッチに出ました。 またも台風と相席! 漁港をあきらめ、展望台の柱の陰に店開きです。そこは屋根はありますが、囲いがない。風も雨も強くなって、イーゼルも倒れそうなの。しかし 「チャンスなんだ」 と言い聞かせ、眼下の太平洋に挑みます。

 力強くはしる波、競い合って溢れ、レース模様が連なって、追いかけっこは止まらない。 ふかく重い海のいろ、なかにエメラルドやセルリアンブルーの輝きもある。ビリジャンやローアンバーが混り合う、このすてきな暗色が出るかな。

吹き込む雨に集中力も増してくる。霞む松ヶ鼻や積み木のようなホテル、珊瑚色の壁、はねず色の屋根、城崎海岸を砥の粉色にきめて、何とか整いました。空はまったく精彩がない。ここは課題にして4時半に終わりです。
 台風は明日の夜、最も接近と報じています。 Yさん、まてば椎の大きな実も拾いました。かわいい帽子つき。

翌朝8時。朝食を終え、ますます重い空とニュースに、心も晴れない。 ところが

待ってました!  雲間から薄日が洩れた!
展望台まで走る! 仄かな光の矢、覗くウルトラマリン、グレーやイエロー、速い雲の流れ、一瞬、水平線は濃いブルー。 わくわくしながら絵の具をのせる。

 やったぁ! 台風は思いがけない演出をする。踊るような、ダイナミックな絵になった。短いショーはすでに幕切れ、思い出しながら8号を仕上げました。燃えながら描いた絵です。海辺でうお座や、下弦の月を見る夢はかなわなかったけれど…  大満足の小さな旅でした。
 Yさん、あなたの旅の話も聞かせてね。 楽しみにしています。  2002. 9

 22年前、5時間くらいで仕上げた絵。やはりペンキ屋さんだ。と言ったら本職さんに叱られそう。韓国まで行ったのはどの船?  ただ、塗っただけの浅い絵。恥ずかしいけれど、メモとしてここに載せよう  10号  2005.8

  

コメント
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