前回は室内だったので、 ことし第28回を迎える大宮薪能を楽しみにしてきた。 宵闇を待っていそいそと氷川神社へ。 快晴。 昨日のような暴風もなく… 快適。 これがのちに大変なことになる。
氷川の杜で 木々がざわざわと鳴った。 ねぐらを目指すカラスが何羽。 日没をじっと観察、 体感した。 上演中は撮影禁止、今のうちに舞台を写す。 しめ縄をつけて大樹が傘のようにこんもり覆う。 主催者挨拶に続き これからはじめます… の奉行宣儀。
素謡 「翁」
腹に響くようなシテと地謡の和声。 清澄な空気があたりを払った。
パンフレットによれば
「翁」は能以前のことほぎの芸能であり、能の根元でもある。 ひたすらな天下泰平の祈り。
最初に この謡が謡われるのは、 神に祈り、神に捧げるという日本の芸能の心を、現代に証アカシする大宮薪能の姿勢である
鳳笙 篳篥ヒチリキ 龍笛による 雅楽演奏。
火入れ式
斎主、松明所役… 立烏帽子に小袖、沓など 装束も決まっている。
金春流 能 「羽衣」
かの ポール・クローデルは、 「羽衣」観能の印象を綴っている
すばらしい作品、 月の澄み切った冷気の中で演じられる… 天女はその聖なる衣を取り戻すと、頭の上に崇高なる袖を掲げて、 文字どおり天へ向かって雪と金色の柱となって昇って行くのを人は見るのである 「朝日の中の黒い鳥」より
(このころ 時折 小雨が… )
ひとは一夜の舞に酔う… タイトル通り 篝火のもと浮かびあがる天人は、 紫の羽衣をまとって富士の高嶺の彼方へ消えてゆく。 幽玄のときを心に刻んだ。 かがり火が揺れ三保の松原を想像する。
(雷鳴がする… 不安をよそに) 天女の舞はつづく。
一曲終わるころ本降りとなった。 アナウンスは熊谷気象台によると大雨注意報発令で後は中止…と告げている。
なんと 恨めしい… 傘の用意もなく、 ずぶぬれで帰る。 楽しみだったが仕方がない。 雨には勝てない薪能、 今宵幻影のなかを彷徨う。
以下に 見逃した作品
大蔵流 狂言 「真奪シンパイ」
中世に大流行した花道の立花。 立花の真が主題。 どんなおかしさ、 悲哀が待っていたのか。 笑えなくて残念!
観世流 能 「弱法師ヨロボシ」
世阿弥の嫡男観世元雅作の弱法師についても下調べをした。 俊徳丸のストーリーを浄瑠璃や歌舞伎に拾った。
シンパイは 心配になった。
和装の方も多くて… (演目の写真 パンフレットより)
解説 武蔵野女子大学教授 増田正造
アフリカをのぞいて世界各地に存在する羽衣伝説について。
バリ島の芸能と能のつながりなど。 後日談もおもしろい