秋風は冷たさを増しているけれど、今日の午後は南風で
あたたかかった。
買い物しに下界へ行った帰り道、オートバイ野郎に抜かれて
しまったので、パチリ。
おじさんライダーなのでそんなに飛ばしてはいない。
オートバイで中国の西安から敦煌を経てイスタンブールへ
抜けるルートを走るツアーがあるらしい。
U氏がトルコへ行ってくるけんね、と旅立って一ヶ月後、
骨折したよ~と電話してきたのは二年前の夏のこと。
その折の話はあまり深く聞かなかったので詳細を聞いた
のは昨夜のことである。
転倒して大怪我をしたので敦煌で引き返さざるをえなかった
彼は、よってトルコへは行っていなかったことを初めて知った。
笑い話のように語ってくれたが、中国の公安に賄賂を渡して
大陸を通過するツアーなぞによくも行ったものよ。
引き返してよかったんじゃないか、紛争だらけの土地だもの、
と言うと、いやー残念無念、そんなこと考えたこともなかった、
そういうこと一切無知、気にもしなかった、ただ走りたいだけ
だったんだと言った。
荒涼とした赤い大地をひたすら走り続けたことしかほとんど
記憶にないと言った。
ああ、そんなバカな。
騎馬民族の土地を日本人おっさんライダーたちが駆け抜ける夢。
旅もいろいろだけど、おじさんになったら、あるいはおばさんに
なったらもっと違う旅しようよと笑ったのであった。