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くんくん親分のそっくりさんをみつけたのは、一昨年の暮れ近い頃でした。
めずらしく雪が遅く、宵闇の枯れ野で青い眼が光って、それが黒い犬との
出会いでした。
保護するまでは、いろいろとありました。
昨年の3月に知人のSさんが預かってくれ、そのままSさんちに居候、
ご主人がとてもかわいがってくれました。
昨年の暮れ、ご主人がお亡くなりになってからは、
一人暮らしになったSさんの毎日の目覚めを見守る務めを果たしています。
友人のストーン女史は、高齢のSさんに代わって毎朝の
散歩をひきうけてくれました。
最初は犬がSさん宅での生活に慣れるまで、という約束だったの
ですが、また春が廻ってきて、ストーン女史の早起きは
お約束事になっているようです。今年は花見もしたようで。
ストーン女史もまたわたくしと同じ、そのやんちゃで小さな
黒い犬に惹かれてしまった一人のようです。
くんくん親分は、くーちゃんを連れて帰った時、おっかあに
とても協力的でした。(空をみあげていたから、くーと名付けたのです)
くーは年齢不詳でしたけれど(たぶん1歳くらい)若いわけで、
親分はまとわりつかれて、ちょっと困りつつもよく遊んでました。
なかなかハウスを覚えないくーちゃんに、先にケージの中へ
入ってみせたりしていた親分。
エライなあと思ってたら、そうじゃなくて「ぼくのハウス」って
ことだったみたいで、くーちゃんがいなくなってからも
しばらくケージを出しておいたら、小さかった頃みたいに
ハウスに自ら入ってニコニコしてました。
そこにいてもなんにもあげないわよ! なんて言いつつ
心の中では「ありがとう、お兄ちゃんやってくれてたね、ベイビー」
ストレス溜まってるだろうなあと、やっとその頃気づいた
ようなしだいで、ダメ母ちゃんでした。
しばらくは親分からベイビーに戻ってベタベタしてました。
当時乗っていた黒い車、それをくーちゃんは記憶しているみたい、
とストーンさんから聞いたことがあります。
散歩の途中に大型の黒いステーションワゴンがあると、じっと
みつめていると。
そっくりさんだったから、見過ごすことができなかったのかな。
ときどきそう思います。
右から見るとそっくり。
左からだと、似てもにつかぬ他人顔。
性格も親分は静かで、くーちゃんは利かん坊というように
まるで違います。
ガッコの成績は弟の方がいい、兄ちゃんは体育系で
愛想よくてガッコの人気者、でも勉強はちょっとアレかな、
どっちかっていうとゲージュツカ向きねって感じ。
二頭のビミョウな違いは後にわかったきたのですが、
木枯らしの中に立ちつくす、小さく痩せた黒犬の姿が
胸の奥にくっきりと刻まれてしまって、
まるでベイビーと二重写しで、
同じようにいとおしくなったのです。
いつもいる場所から消えてしまったときは、絶望しました。
遅いかった雪がとうとう降ってしまい、
どこで凍えているかと思うと、居ても立ってもいられなかった。
知人に電話したり、あちこちで人が動いてくれましたが、
見つかりません。
冷静になり、そうか!と思いつき、下の村を管轄する保健所へ連絡すると、
いました。二日待ちますという話を一週間に延期してもらい、迎えに
行ったのです。
想風亭へやってきたその翌日、本格的な雪になりました。
雪が待ち遠しい一方で降らないことを願ってもいたのです。
なんて勝手なんだろうと思いつつ、あの子が凍えませんようにと、
そして、それは叶いました。
黒い車じゃなくなったんだよ、今はもう。
いつか会いにいこうと思うけど、違う車に乗ってても
誰だかわかるかなあ~、おばちゃんのこと、覚えているかな?
こちらの猫ちゃんの無事帰還を祈っています