寒い日が続く三連休最後の日の朝、近くに住む長女の5歳の孫君から電話がありました。「これからお兄ちゃんとおじゃましてもいいですか」「お母さんが風邪気味で、お父さんはお仕事」。お母さんをゆっくり休ませたい孫の思いが伝わってきます。「いいよ、いいよ。おいで」ということで、二人は仲良くバスに乗ってやってきました。一日中楽しく遊んで、少し早い目の夕食をとったあと、再びバスに乗って帰っていきました。(下の写真は昨秋、奈良の大仏さんを見たいという孫長男君の要望で東大寺に行った時のもの) さて、最近お出かけした話題をふたつ。そのひとつは、大フィルの「オーケストラで聴く映画音楽の世界」です。指揮は、この春に音楽監督に就任予定の尾高忠明さん。昔、NHK交響楽団を指揮していたときのTV映像を思い出します。
今回は映画音楽がテーマで、第1部は「武満徹の世界」、第2部は「ジョン・ウィリアムズの世界」。日本を代表する作曲家・武満徹さんの懐の深さには驚きました。これまで難しそうな現代音楽ばかり聴いてきましたが、映画音楽やテレビドラマの主題歌に聞き惚れました。なかでも日本テレビ系列で放送されたというドラマ「波の盆」の音楽 https://www.youtube.com/watch?v=OlMOedlchMc は聴き応えがありました。 この演奏会のもうひとつの愉しみは、オーケストラの後ろの方で大活躍の打楽器でした。総勢6名の奏者が入れ代わり立ち代わり様々な打楽器を打ち鳴らします。それも長い曲のなかの一瞬の効果音です。これが映画音楽の醍醐味です。席がステージ横だったので、ずうっと彼らの動きを追っていました。正面からみていると、弦楽器、金管楽器、木管楽器に隠れて決して目立ちはしないけれど、打楽器が曲全体にメリハリをつけます。贅沢な時間を楽しみました。
もうひとつは、龍谷大学世界仏教文化研究センターの公開講座「人類知のポリリズム~華厳思想の可能性」でした。南方熊楠研究で知られる思想家・中沢新一先生(明治大学野生の科学研究所長)、京都大学こころの未来研究センターの河合俊雄先生(臨床心理学)のほか、南方熊楠研究で頭角を現す唐澤太輔先生をはじめ3名の若手研究者の方からも興味深いお話しを伺いました。 ここ数年拘り続けた多様な関心事が、最近ぼんやり繋がってきているように思います。鶴見和子先生の「南方熊楠」に端を発した私の思想遍歴。ブータンの国民総幸福度(GNH)に端を発した心の遍歴。臨床心理や医療福祉から公共政策まで幅広いテーマを追う「こころの未来研究センター」の動向も見逃せません。それが私の「歩き遍路」を後押しします。
といっても、私は学術研究者ではありません。先生方の言葉のひとつひとつを理解しているわけでもありません。中沢先生から「レンマ学としての華厳」なんて言われても、そもそもレンマ学ってなに?。「ユング派心理療法と華厳経」と題する河合先生のお話しも、半分は頭の上を通り抜けていきます。若手研究者の方々からは「南方熊楠の生命観と華厳思想」「明恵の<夢>と華厳思想」「マンダラと法界」について研究発表がありました。話の流れに追いついていくのが精いっぱいです。でも、いま時代が何を求めているかが、ぼんやりと透けて見えてくるから不思議です。先生方には失礼かもしれませんが、私にとっては「ボケ防止」でもあります(笑)。 そうそう、ブータンといえば先日、読売テレビ(日本テレビ)が「ブータンが愛した日本人~向井理が見た、幸せの国のキセキ~」という番組をやっていました。1964年にブータン王国に派遣され、28年間にわたって農業技術を伝授し、国王からダショー(最高に優れた人)の称号を与えられた日本人・西岡京治さんの軌跡を、俳優の向井さんが追うドキュメンタリーです。
1964年といえば日本が東京オリンピックに浮かれていた時代。高度経済成長の足掛かりを得た時代でもあります。そんな時代に焼き畑農業が主流だったブータンに渡り日本の農業技術を伝えた。凄い人がいたものです。そう思うと、ひとつの組織の繁栄を願って仕事人生に汗を流した私の足跡なんて小さなものです。 2月の第3週目もあっという間に過ぎようとしています。そしてきょうは、近くの税務署に確定申告に行ってきました。年金+α程度の所得なら少しは税金が戻ってくるだろうと高を括っていましたが、国税庁のホームページに沿って書類を作成していくと、いくらやっても「納税」の金額が表示されます(-_-;)。......でもねぇ。よくよく考えてみれば、今は高齢化の時代です。いつまでも若い方々に依存しすぎてはダメですね。「足ることを知る」。この言葉を肝に銘じて「心豊かに」暮らしていくことにいたしましょう。