朝、最寄りの駅まで15分の道のりを歩いていると、丘の上の木陰から「ホー ホケキョ」と鶯の元気な鳴き声が聞こえてきます。4月を迎えて春本番、心躍る季節を迎えました。そんな土曜の昼下がり、山本能楽堂の「たにまち能」に行ってきました。演目は、素謡「雲林院」、仕舞「安宅/杜若/海士」、狂言「左近三郎」、そして能「熊野(ゆや)」でした。
大阪市中央区にある山本能楽堂は、大阪で一番古い能楽堂です。100席前後の小さな能楽堂ですが、舞台と客席との距離が近く、まじかで能を楽しむことができます。能「熊野」では、シテ(熊野)、ツレ(朝顔)、ワキ(平宗盛)、ワキツレ(従者)という4名の演者が、笛と鼓そして地謡の伴奏で演じます。艶やかな衣装に見とれながら、のめり込んで行きました。
親近感をもったのは狂言「左近三郎」でした。現代人の私たちには、非常に分かりやすい人の心の在り様に触れることができます。滑稽ですらあります。能の近寄りがたさに比べて裾野の広さを思います。このあたりに最近の狂言人気があるのでしょう。そんなわけで、来月、東京の国立能楽堂に行こうと思っていましたが、なんと昨日発売の狂言のチケットが、その日の午後には完売しておりました。残念。今回は断念することにしました。
能楽堂からの帰り路、天満橋の大川沿いの桜見物と洒落込みました。ちょうど見ごろで、大勢の花見客でごった返していました。夕食後、改めて眺めてみても花見客の勢いは止まりません。大川で舟遊びを楽しむお客の多さも半端ではありません。そして意外に多いのが、やはり外国人旅行者の皆さんでした。昨日から造幣局桜の通り抜けも始まりました。が、残念ながら本日は雨です。
実はその翌日、我が家では一大事(?)が起こりました。家内が言うには水洗機の調子がおかしいのだと。シニア夫婦だけの生活になって、最近は滅多に使うことのない水洗機ですが、スイッチが入ったまま消すことができません。やむなくブレーカーを切りましたが、このブレーカーはお風呂の電源にも繋がっていて、なんとも困ったものです。10数年前のリフォームのときに設置した製品で、既に保守の対象外になっています。
それだけではありませんでした。孫から何度も電話がかかってきても、孫の声は聞こえるのにこちらの声が通じません。生きている子機を使って代替措置を講じましたが、不安は募ります。この電話機も10年ほど経っています。
昨年は空調機が故障しました。そして今回は水洗機と電話の受話器です。機械の寿命と人間の寿命。この歳になると家電製品の故障という単なるアクシデントが、自分たちの気持を萎えさせます。なんとなく口数が少なくなってしまいます。
で、どうしたかって?水洗機の方は、パナソニックの方に見てもらって復旧したものの、いずれ同じ症状が現れるだろうとのこと。寿命なんでしょう。お正月など孫たちが大勢やってくる時以外はほとんど使いませんので、当面、現状維持ということで決着。要するに使わないということです。新製品への切り替えは、お正月に向けて考えることにしました。一方の電話機は、ネットで買おうと調べていた家内が、受話器だけ販売しているの見つけて、さっそくAmazonに注文しました。送料込みで700円とリーズナブル。翌日に新しい受話器と付け替えることができました。ひとまずは一件落着。気を取り戻して近所の公園にお花見にでかけました(笑)。
そんな緩急織り交ぜた一週間でした。そうそう、5月に予定している「歩き遍路」ですが、今回は連休明けに松山市を拠点に、44番札所の大寶寺、岩屋寺、浄瑠璃寺、八坂寺、西林寺、浄土寺、繁多寺、石手寺を巡る計画を立てました。おおよそのルートを決めて、とりあえず宿所の予約を済ませ、先ほど往復の高速バスの手配も完了しました。