心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

四国遍路での出会い

2023-06-13 11:16:05 | Weblog

 先週末から2泊3日で四国に行ってきました。最終日に伊予の国の42番仏木寺をお参りしたとき、本堂にこんな位牌が置いてありました。「ウクライナ危機 両国戦没者之霊」...。今回は道中ずっとウクライナのことを胸に巡っていましたが、ウクライナだけでなくロシアを含めた戦没者への弔いに、心を痛めました。
 先週ご紹介したボンダレンコさんに寄せた坂本龍一さんのコメントにも、「ロシアの犯罪に対して必ず償いをさせるべきだと思います。同時に、ロシアには良心をもったたくさんの人がいます。彼らを何とか世界はサポートできないかと思います」とあります。ウクライナには多くのロシア人が住んでいます。戦場での蛮行は決して許されるものではありませんが、それが国家から強制されたものであったなら、それもまた悲しいことです。
 無法者プーチンによって雁字搦めにされた多くの良心(ロシアの人々)が戦場に消えています。数千年という年月を経て作り上げてきた国土(心)をいとも簡単にミサイルで「なかったものにしてしまう」。これが戦争の恐ろしさでもあります。そんな複雑な思いを抱きながら両国の戦没者に祈りを奉げました。

 今回の四国遍路は、高知県立牧野植物園に隣接する31番竹林寺から始まり、「修行の道場」といわれる土佐の国(高知)を経て、「菩提の道場」といわれる伊予の国(愛媛)にまで足を踏み入れ、13カ寺を巡りました。
 足摺岬にある金剛福寺では、お参りのあと雨が降るなか灯台界隈を散策しました。一画には朝ドラにも登場した中村万次郎(ジョン万次郎)の銅像が立っていました。万次郎は漁に出かけ荒れ天候のなかを外国船に救助されて米国に上陸したのですが、ロシアのウクライナ侵攻は、武力をもって線引きを引き直そうとする蛮行です。大海原に囲まれた日本と、陸地続きの国々との違い。「国境」と言うものの在り様を改めて考えさせられました。
 そうそう、宿毛の39番延光寺は、境内の池に棲んでいた赤亀が竜宮から鐘を背負ってきたと伝えられ、正式には赤亀山寺山院延光寺と言います。納経朱印は「亀」。私の白衣には阿波の国の20番鶴林寺で「鶴」の朱印を押していただいていますが、延光寺で「亀」の朱印をいただければ、「鶴」「亀」と縁起が揃います。3回目の今回、やっと揃いました。先達さん曰く、白衣って死に衣装だとか。鶴と亀と一緒にこの世を後にするのも良いかもしれません。
 最後にお参りした43番明石寺では、裏山にあった「しあわせ観音」が印象に残っています。西国三十三ヵ所の観音石像が置かれていて、その先に大きな「しあわせ観音像」が立っていました。優しい表情の観音さまを前に、一日も早くウクライナとロシアの人々に「しあわせ」な日々が戻ることを祈るばかりでした。
 ところで、今回は2泊3日ということで、3日間ご一緒したご老人がいました。その御方、この春、奈良の大峰山登山33回を達成され、大峰山寺でお祝いの祈願をされたのだとか。毎年1回ということは33年をかけて達成されことになります。私よりもずいぶん年配の方ですが、その意気込みに感服いたしました。
 毎夜、焼酎「空海」をいただきながら、彼の蘊蓄を伺いました。奥様が私と同郷ということで、出雲の歴史にもお詳しい。古事記や出雲風土記の話題が次々と登場します。私の田舎の歴史にも詳しく、多々講演もされているご様子なので、私にとっては楽しいひと時でもありました。これも一期一会の貴重な時間でした。
 

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 話しは変わりますが、先週、毎日新聞社主催の第97回高野山夏季大学の募集告知がありました。今夏8月4日から6日の3日間です。さっそく申し込みました。我が国の生涯学習の草分け的な存在である夏季大学です。
 四国遍路もそうですが、いちど立ち位置を変えてその後の生き仕方を考えてみるのも良いかと...。現役の頃から、ついつい泥沼に足を踏み入れ過ぎて動きが取れなくなってしまう悪い癖が、私にはありました。もっと大きな視点で私をとりまく風景を眺めれば、泥に埋まって抜けなくなった足がスポッと意外と簡単に抜けることがあります。そんな淡い期待をもって73回目を迎える今夏、元気に参加してきます。
 ちなみに、きょう知人が高野山夏季大学に申し込んだところ「キャンセル待ち」だったとか。募集人員700名が1週間足らずで満席になってしまいました。

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