心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

足元を見つめる

2009-04-12 09:00:50 | Weblog
 4月とは思えない暑い日が続いています。そんななか、贅沢にも私はお休みをいただきました。連休の初日は、朝からぐんぐんと気温が上昇するなかで、洋ランの植え変え作業に汗を流しました。カトレアを中心に10数鉢に及びました。続いて、ブルーベリーの花に人工授粉を施しました。異なる品種の花同士を授粉することで実つきをよくするのです。
 花壇を眺めると、チューリップの花が満開です。庭の片隅では、昨秋地植えしたヤマブキがしっかり根付いて可愛い黄色の花を咲かせています。そうそう、草むしりをしていたら、ナズナがひっそりと咲いているのに気付きました。一瞬抜こうと思いましたが、花が咲き終わり種がこぼれるまで、そっとしておくことにしました。
 午後は長椅子に座って読書の時間です。このブログで3月8日にご紹介した「鶴見和子曼荼羅Ⅰ」の「基の巻(鶴見和子の仕事・入門)」を、昨日、やっと読み終えました。570頁ほどの大作でしたが、大半は通勤電車、それも出勤の時間を利用して読み進んできました。戦後の悶々とした思想状況のなかで旗揚げした「思想の科学」の活動、デューイとパール・バックの視点から読み解く日本・中国論、柳田國男の仕事を軸にした社会変動のパラダイム......。なんだか長い間眠っていた脳が目覚めるようなテーマが続きます。高度成長期にあえて「近代化」の意味を問い、西洋をモデルとする近代化論に対して非西洋諸国それぞれの多様性に着目した内発的発展論。私には「足元を見つめよ」と言っているような、そんな印象を強く持ちました。欧米型モデルに振り回されることなく、日本という国を問い、村と都市、地域と行政、あるいは人間の生きざまにも問いかけるテーマでありました。それは私にとって現場主義を問うものでもあります。
 先週の朝日新聞経済気象台の見出しは「地方の多様性が日本を救う」でした。未曽有の不況下、カネとヒトとモノを大都市圏に集中させることが日本経済の効率性と成長性を高めるという風潮に対して異議を唱えた小論でした。厳しい不況のなかにあっても輝きを増しているのは、地方のモノづくり中小企業ではないか。全国規模の大型スーパーではなく地元産品を効率的に提供する中小の地元小売店だ。「情報発信力を高めているのは、大都市ではなく地方なのだ」と。「地方の多様性を活かすことが日本経済を救う」とも。
 鶴見和子曼荼羅から気づく課題は、決して過去のことではなく、今日に通じる課題であることが判ります。さあ、2冊目「水の巻(南方熊楠のコスモロジー)」を開くことにいたしましょう。
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