3カ月ぶりの「歩き遍路」は、高速バスの時刻の関係で初めての「逆打ち」(逆回り)。大阪・梅田を夜の10時20分に出発し、翌朝6時半過ぎに宇和島の岩松バス停に到着すると、まだ薄暗い中をさっそく歩き始めました。柏坂峠(標高460m)を越えて柏の街に降りると、ぽかぽか陽気のなか国道56号線をひたすら歩て10キロ先の観自在寺をめざしました。
翌日は、観自在寺から伊予と土佐の国を結ぶ街道を歩いて松尾峠(標高300m)を越えて土佐は宿毛の街へ。翌朝、特急「南風12号」に乗って高知、高知から高速バスにのって大阪・梅田に舞い戻る、車中泊を含めて3泊4日の旅となりました。今回歩いた距離はおよそ55キロでした。
岩松から大門バス停まで歩いたところで田舎道に入ると、道端には霜を被った草が寒そうに迎えてくれました。まずは茶堂休憩地をめざします。大きな案内板を頼りに前に進みますが、時々見落として道の選択に迷うことも。
最初に迷ったのは路が三つに分かれる所。順打ちの矢印があった左の道を逆方向に歩きました。ところが、どんどん下っていく。おかしいなあと元に戻ってみると、ちょうど薪を燃やしているお婆さんがいました。聞いてみると、「ほら、真ん中の道。逆打ちの御方はよく迷う」のだと。でも真ん中の道が草木で隠れてよく見えなかったのです。草木に隠れるように柏坂峠への矢印がありました。そうこうするうちに「つわな奥展望台」に辿り着きました。お天気もよく、遠くに佐多岬と大分県佐賀関半島が見えます。ここで一服です。
遍路道沿いの枝にこんな短冊がありました。「心をあらい 心をみがく へんろ道」。今回はこの言葉を胸に歩くことに。そうこうするうちに番外霊場「柳水大師(柏坂休憩所)」に到着です。このあと柏の街に降りるとちょうどお昼時でした。国道沿いにあるラーメン屋さんで昼食休憩です。
その後は国道56号線をひたすら歩き続けます。2時間半ぐらいかかったでしょうか。今回唯一のお寺、第40番札所・観自在寺に到着です。2年前にバスツアーで訪れたことを思い出しました。
冬の時期だからでしょうか。参拝者は少なく、ひっそりとした境内でしたが、それが逆にほっとする時を与えてくれました。本堂、大師堂と回って、境内を散策しながら写真を撮ります。春の陽気に誘われて山門横にある梅の木に花が咲いていました。
そうそう、出発前日に愛南町で泊まる予定だった民宿から、臨時休業のお知らせがありました。何かあったのでしょう。取り急ぎ紹介していただいたビジネスホテルに泊まりました。素泊まりだけ。ということで夕食は街の居酒屋さんで美味しい地魚を堪能いたしました(笑)。
翌日はあいにくの空模様。お天気予報の通りですが、朝から小雨が降っていました。ポンチョを着ての出発です。僧都川沿いに松尾峠に向かいます。豊田、上大道を経て一本松へ。簡易郵便局前に立派な休憩所がありました。ここで小休止、温かい缶コーヒーをいただきながら、置いてあった覚書ノートを眺めます。お遍路さんの思いがぎっしり詰まっていました。外国人の方もちらほら。異文化の中でご自分を見つめていらっしゃる姿を想像しました。
この先は旧赤坂街道(旧遍路道)を歩きます。道路の上に黄色いペンキで記された矢印に沿って歩きました。「癒しの里道」という看板もありました。ほんとうに気持ちよく歩くことができました。やや急な坂道をのぼっていくと松尾峠です。
看板にこんなことが書いてありました。「伊予と土佐の国境にある標高300mのこの峠には、南予と幡多を結ぶ街道が通り、幕府の巡見使をはじめとし、旅人や遍路の通行が盛んで、享和元年(1801)の記録に、普通の日で二百人、多い日には三百人が通ったと記されている。(中略)昭和4年宿毛トンネルが貫通してからは、この峠を通る者もなくなり、その頃まであった地蔵堂や茶屋も今は跡だけが残っている」と。
ふうふう言いながら上ってきた峠、昔は移動するための大切な「道」だったのです。足が重要な交通手段だった時代でしょうから、私が5時間かかった道のりを2,3時間で歩いたのではないかと。街道というものを体感いたしました。はらりと落ちる椿の花に目をやる心のゆとりが芽生えます。
宿毛に着くと秋沢ホテルにチェックイン。翌日は9時5分発の特急に乗って帰途につきました。高知駅に向かう車窓からは、室戸岬から足摺岬まで歩いた土佐の国の風景が所々見えてきます。4回にわたって高知を歩いた日々を懐かしく思いながら、こんな距離をよくも歩いたものだと。次回は3月の予定です。
おつかれ様でした。
何はともあれ、無事に 帰られて何よりです。
そうですよね。逆打ちは看板が逆になるので間違えやすいかもしれません。
峠は歩きやすかったですか?
懐かしい風景をありがとうございました
今度は3月ですか。^_^
今からは、又 いろいろ活動される様子で
楽しみもありそうですね。
風邪に気をつけてくださいね。
おつかれ様でした。
55キロだなんて私からしたら気が遠くなりそうです。
歩いてもせいぜいきららのお散歩の距離ですから(笑)
到底歩けません。
心を洗い心を磨くへんろ道~歩きながら休憩しながら景色も見ながら良いことも学びお遍路って素敵なんですね。
心も身も素晴らしくなりそうですね。
こうして続けていらっしゃるran_coffeebreakさん尊敬です。
今度は三月ですね。
逆打ちされたんですね。
前回歩いた道、いっぱい思い出しました。
あ、寒さどうでしたか?
柏坂、わたしも多分同じお婆さんに道教えてもらいました。
真ん中の道行くんだよって。
一瞬道どっちだ?と考えますよね。
それよりここに地元の方が住んでる事にビックリでした。
旧赤坂街道も(歩けなかったけど)有名なキレイなトイレも懐かしいわ♪
次回3月、春遍路ですね~
コメントをありがとうございました。
逆打ちは矢印が見つけにくいですね。大きな案内板は左右矢印なので一本道なら迷うことはないのですが、二本、三本と道が分かれていると不安になります(笑)。一カ所だけ電柱に「逆打ち」のシールを見つけました。
峠越えは覚悟して出かけたのですが、意外と道が整備されていて歩きやすかったです。南予の風景を楽しみながら歩くことができました。
そうそう、観自在寺では、ふと、つわぶきさんのブログのことを思い出しましたよ。
コメントをありがとうございました。
「歩く」ことをテーマにしたのは、ここ10年ほどでしょうか。それまでは電車・バス、タクシー、勤務先の車での移動ばかり。身体を動かすのが苦手だったんですよ。それがどうしたわけか歩いている。というよりも歩けている。不思議ですね。歩いていると、なんとなく元気になります。
ただ、問題もあります。いつの間にか早く歩く癖がついたからでしょうか。家内と歩いていると、歩く速さの違いから、私と一緒に歩くのが嫌なの?なんて言われることがあります(笑)。時速4キロ。これが早いのか遅いのか。
ワンちゃんたちとのお散歩、楽しんでください。
お久しぶりです。コメントをありがとうございます。
けっこう暖かく気持ちよく歩けました。リュックを背負っているので、それだけで防寒になりますしね。
柏坂峠のお婆さん、ひょっとしたら同じ方だったかもしれませんね。人里離れた山の中で、お兄さんと一緒にひっそりと暮らしていらっしゃる。世の中の便利さからは遠ざかってはいるけれど、さて、どちらが幸福かどうかは軽々に判断できません。
旧赤坂街道は気に入りました。道も整備され、要所要所にトイレもあって、お遍路さんへの配慮が感じられました。さあて、次回3月はどこまで回れるか。落ち着いたら計画を練ることにします。