ライン出版編集部

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ライン(rein)出版編集長の日常と雑感

高遠にて

2021-08-06 20:21:11 | Weblog

歴史上の人物で最も好きな保科正之は、二代将軍徳川秀忠の御落胤。
秀忠夫人であるお江の難を逃れ高遠城主に預けられることとなった。
その労を取ったのが、新座平林寺に供養塔がある見性院(武田信玄の二女)である。

桜の季節に城跡の桜を見るために訪れたのは何年前だろう。
そのときに写した写真を改めて眺めてみると…。

斑雪(はだれ)高嶺(たかね)朝光(あさかげ)鶯啼いて居 (廣瀬奇璧)
高遠出身の奇璧が東に見える南アルプスの仙丈ケ岳を詠んだ句。

西駒は斑雪てし尾を肌脱ぐ雲を (河東碧梧桐)
句碑の裏にはこの句が刻まれている。
碧梧桐は奇璧と親交があった。

これが俳句といえるのかしら?と思ったら
「自由律俳句」というのだそうだ。

題字「嶽色江聲」の文字は新宿中村屋の商標文字で知られる
高遠出身の画家中村不折によるもの。
高遠は不折も輩出していたのだな~。
この静かな山里の文化の高さを思い知った。
漢詩(三体詩)「旅懐」の一部で、
嶽色は山の色、江聲は川の流れる音。

句碑一つが様々なことを語りかけてくれる。