りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

片隅のサンクチュアリ。

2025-01-19 | 音楽
ワタシが中学生の頃。

当時、市内唯一の家電量販店に、友人と自転車を漕いでよく訪れていた。

目的は、オーディオコーナー。

店の最奥部にそれなりのスペースが設けられていて、そのスペースはテレビや冷蔵庫のコーナーと遜色ない広さだった記憶がある。

そこには、音楽を聴くためのありとあらゆる機器が並んでいた。

カセットデッキとアンプとチューナーとイコライザーとレコードプレイヤーが積み重なった、まるでタワーのようなシステムコンポ。

システムコンポほどではなくても、家で愛用ているラジカセがオモチャのように見える、スピーカーがセパレートタイプのステレオ・ラジカセ。

テクニクス、パイオニア、アイワ、ケンウッド・・・etc.

音楽が好きだけどお金は持っていない、さながらそんな中学生のサンチュアリのような場所。

そんなオーディオコーナーに友人と長い間滞在して、買えもしないのに“コレがいい”“いや、コッチがいい”とガキのくせに品定めをしていた(笑)


          ◆


今日、その家電量販店に行った。

店は同じ場所にあるのだけど、この40年の間に店名が何度か変わり、建物も建て替えられて大きくなった。

〈オーディオって、今も売ってるのか?〉

ふと、そんな疑問が浮かんで、売り場を徘徊。

店の最奥部は、バカデカい液晶4Kテレビのコーナーに変わっていて、その横の死角のようなわずがなスペースの棚に、辛うじて並んでいた。



当たり前だが、システムコンポなんて一台もない。
陳列してあるのは、トランジスタラジオに毛が生えたようなラジカセばかり。
どちらかと言うと〈音楽を聴く〉という目的よりも、災害時などの〈情報収集〉を目的とした機器の陳列・・・という風に見えた。

昔のオーディオコーナーの横には、レコードやCDのコーナーも併設されていた。
当たり前だが、オーディオと音楽ソフトはセットだったからだ。

思い返せば、レコードやCDをプレイヤーにそーっと置く時、〈さぁ、これから音楽を聴くぞ〉という神妙な心持ちになっていた。
今思えば、それはある種の儀式のようなものだった気がする。

それが今では、スマホを指先で2回もタップすれば、好き音楽を好きな時に聴けてしまうようになった。

それは、音楽があの頃よりも格段に身近になった事のように思えるが、見方によっては、音楽の価値が昔よりも低くなってしまった事のようにも思える。

おそらくそれは、両方とも正解なのだろう。


          ◆


かつて、時間が過ぎるのも忘れてコンポやラジカセを眺めて過ごしたオーディオコーナー。

40年後のワタシは、店の片隅に追いやられたオーディオ(?)商品を一瞥しただけで、ものの数分で後にした。

そしてその後、今のワタシがオーディオよりも断然興味がある、マッサージチェアの試用コーナーへと向かったのであった(笑)

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