りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

親父 or ジミー。

2024-12-29 | 家族
これが、今年最後のブログです。



          ◆



今秋、とある日曜日の夕方。

実家に帰り2階で片付けをしていたら、この服をみつけた。



両親が昔使っていたクローゼットの中に、この一着だけがポツンとぶら下がっていた。

ブルゾンというよりも、〈ジャンパー〉という呼び名の方が似合うアウター。

憶えている。
父のジャンパーだ。

といっても、晩年の父がこのジャンパーを着ている姿を眼にした記憶は全くない。

もっぱらこのジャンパーを父が着ていたのは、もうずいぶん昔・・・ワタシが4歳とか5歳の頃だ。

ワタシが幼い頃、春先や秋口に出かける時の父は必ずこのジャンパーを羽織っていた。
観光地とかに行った時の父はもっぱらカメラマン役だったので、一緒に写った写真は本当に数える程度なのだが、そんな数少ない写真の中の父は、ほぼこのジャンパー姿で写っていた。

中学生になった頃、この父のジャンパーを着てみたい、と思ったことがあった。

思春期に入り、ファッションにも興味を持ちはじめたワタシは、ある日、雑誌に掲載されていたジェームス・ディーンの写真に眼が行った。

写真の中の彼が着ていたブルゾンが、色は違えど、父が着ていたこのジャンパーにどことなく似ていたのだ。
(ピンと来ない方は、〈ジェームス・ディーン 赤いブルゾン〉で検索してみてください)

だが、思春期に入ると同時に反抗期にも入っていたワタシは、父に面と向かって〈お父さんのブルゾンを着てみたい〉と口にする勇気など、身体のどこからも湧いて来なかった。

もっともそれ以前に、反抗期の上に成長期にも入っていたワタシは、もうその頃には父よりも体格がよくなっていたので、仮に腕を通したとしても、羽織ることは難しくなっていたように思う。



          ◆



話は変わるが、ワタシにとって今年最大の出来事は、ダイエットに成功したことだと思っている。

一年前に比べると、12kgも減量できた。

おかげで心身ともに軽くなり、おまけに血糖値やら血圧やら脂質やらの数値も劇的に改善した。

風貌は大きく変わってどこから見ても50代のおじさんになってしまったけれど、体重だけをみれば、中高校生の頃とほぼ同じになった。


      〈もしかしたら・・・〉


ふいにそう思ったワタシは、片付けを中断してクローゼットの中から父のジャンパーを取り出し、意を決して袖を通してみた。



         着れた。



驚くほどスムーズに着ることができた。
試しにファスナーもあげてみたら、難なく上まで締めることができた。
どこにも窮屈な箇所がない。ピッタリだ。

そのままの姿で階段を降り、居間にある母の三面鏡の前に立つと、テレビを見ていた母が

〈それ、どこにあったんね?〉

と少し驚いた口調でワタシに声をかけてきた。

クローゼットの中にあった、と鏡の中のジャンパーを身に纏った自分を眺めながらワタシがそう応えると、

〈お父さん、よう、そのジャンパーを着とったねぇ・・・〉

と、鏡越しに見える母が、目を細めてそう言う。
しばらく鏡に写ったジャンパー姿の自分を眺めていたが、ひとつだけ違和感を感じた。

丈が、ずいぶんと短いのだ。

まるで「ビーバップ・ハイスクール」で加藤ヒロシが着ていた短ランばりに短い(笑)
鏡の隅に写っている母に向かってそれを言ったら、

〈まぁ、お父さんは、あんたよりも身体が小さかったけぇね〉

と、眼を細めたままそう答えた。

そうか、あの頃の親父はオレよりも小さかったのか。
あんなに大きく見えていたのに・・・

ワタシは、このジャンパーが好きだった。

派手さがなく、無骨で、作りがしっかりしていて、どんな時にも気軽に羽織える。

今にして思えば、その印象は、幼い頃のワタシが接していた父の印象そのもののように思えなくもない。

〈それにしても・・・〉

と、また鏡の中の母がワタシに話しかけはじめ、そして、こんな言葉を続けた。

〈あんた痩せたけぇ、そのジャンパー着たら、お父さんによう似とるねぇ〉

・・・なるほど。

このジャンパーを着てワタシが似るのは、ジミーではなく、やっぱり親父なんだな(笑)

まぁ、それも良しとするか😅



          ◆



今年もこのブログに訪問いただき、ありがとうございました。
皆様にとって、来年が素晴らしい年になりますように。

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