1.お預けの朝食と西武多摩川線の歴史
ネットで静態保存されている車両を検索していて、
偶然発見したページに紹介されていた府中市の交通遊園を見つけた。
ここには都電荒川線、蒸気機関車、凸型電気機関車が保存されているようで、
アクセスは武蔵野線、南武線の府中本町駅、京王線、南武線の分倍河原駅、
西武多摩川線の是政駅からそれぞれ徒歩約20分の距離と書かれていた。
特に凸型電気機関車はなかなか保存車両も少なく、是非取材に行きたいと思った。
それに西武多摩川線は8.0kmの短い路線ながら全区間未乗車で、
この区間の乗り潰しを兼ねてこの公園を以前ら考えていた。
しかし保存車両は3両で、20分もあれば十分に取材できる筈である。
片道徒歩20分としても合計で1時間もあれば十分、余裕を持っても1時間半が限界で、
半日で取材が完了してしまうことになる。
そこで東京近郊の未取材区間としてJR相模線があることに気付き、
ここの取材と絡めて計画を考えた。
なかなか予定を決行する機会がなかったが、ゴールデンウィークの後半の初日、
5月3日水曜日、憲法記念日にこの取材を決行することにした。
予定では津田沼駅の駅蕎麦店の開店時間に合わせ、
06:51に乗り朝食を喰うつもりだったが、
津田沼駅ホームで隣に07:06始発の三鷹行きを見掛け、
気が変わってそのままそれに乗り込むことにした。
これに乗って終点の三鷹まで行き、そこで中央緩行線に乗り換えて隣の武蔵境まで行く。
ここは以前取材済みだったが、駅がリニューアルしたので再取材した。
駅前で朝食を喰う場所を探して駅前通りを散策する。
いくつかのチェーン店はあったが、気に入った場所が見つからず、
しかも予定の時間も近づいてきたため朝食は断念して空腹のまま西武多摩川線に乗り込む。
西武多摩川線はJR中央線の武蔵境から是政までの8.0km、6駅の単線で、
西武の主要幹線にあたる西武新宿線、西武池袋線は勿論、
他のどの路線とも接続しない完全に孤立した独立路線である。
西武多摩川線は多摩川で採取した川砂利を運搬する目的で多摩鉄道が敷設した路線で、
1917年10月22日に境(現・武蔵境)から北多磨(現・白糸台)の区間が敷設された。
1919年6月1日に常久(現・競艇場前)ので延伸、1922年6月20日には是政まで延伸して全通した。
多磨鉄道は1927年8月30日に西武鉄道と合併、路線名は多摩線となる。
その後路線名は是政線、武蔵境線、多摩川線と変更された。
戦時中には中島飛行機の工場への引き込み線もあり、貨物輸送も行われていた。
是政で下車して交通遊園を目指す。
今回はJR線と西武、京王といくつかの鉄道を乗り継ぐので、
一日乗車券などは購入せず、その都度suicaを利用することにした。
西武多摩川線は武蔵境にしか自動改札機がなく、あとは簡易PASMO改札機が設置されている。