台風が去ったというのに、相変わらずぐずついた空模様。
体調も今ひとつさえなく、ネットを見ながらぼんやりしていると、小さい人が散歩しようとせがんできた。
のらりくらりとかわしていたが、大人として余裕がないように感じられたので、重い腰を上げることにした。
玄関をあけて外に出てみると、やっぱり空からどんよりと鈍い色の雲が垂れ下がっていた。
ポツリと顔に雨粒が落ちてきたりもする。
しかたがないから、鉢植えのある庇に移動して、放置されているバラたちの葉を食い荒らす青虫を探し、時間をつぶしていた。
私たちの話し声を聞いたねこが、「にゃん」と一声かけてきた。
ねこは、縁の下、庭の茂み、エアコンの室外機の上、芝生、とにかく敷地内のそのときのベストな場所を見つけ出してくつろいでいるから、所在は一定していない。
このときは、園芸道具置き場にあったダンボールの中で昼寝をしていたらしい。
私たちも「にゃん」とかえし、ねこを探し当てた小さい人がダンボールからねこを連れ出してきた。
そうこうするうちに、雨が止んだようなので、敷地周りの散歩に出発。
そこでいつもの儀式をと、ねこが催促の鳴き声をあげる。
「ごぁん」
カリカリのキャットフードを一口分だけおわんに入れる。
ねこは、湿気ったえさを好まないし、キャットフード以外はほとんど食べない。
水も、井戸のそばに人がいれば、新しい水を汲んで欲しいと訴えかける。
こうして一口分のえさに満足したら、ようやく前に進めるようになった。
フェンス向こうの崖下に、アケビがぶら下がっている。
熟れて茶色になったものや、まだ薄い藤色のもの。
ねこは、ひっそりと私たちの傍らにいる。
台風で落ちた杉の葉や枝を避けながら、坂道を下り、畑沿いの道を歩く。
ねこは、注意深く、私たちの後をついてくる。
ときどき、つつじや土手の草にマーキングをしている仕草をする。
ふかふかにほぐされた畑の土に、用足ししたりもする。
“椿の道”‐小さい人が命名した‐を通る。
足元に、椿の実がたくさん散らばっている。
すでに木は、1㎝ほどの蕾をたわわにつけ、春を待ち焦がれながら準備に余念がないようだ。
こうして、私たちは、振り出しに戻った。
ねこは、もうついてきていない。
もしかしたら、“椿の道”脇にある納屋で、ハツカネズミの気配を感じたのかもしれない。
あるいは、仲間の声を聞いたのかも…
また、小さい人と散歩するときには、ねこはどこからともなくやってきて、私たちの傍らを歩んでいることだろう。
ときおり、「にゃぁっ」と声をかけながら。
体調も今ひとつさえなく、ネットを見ながらぼんやりしていると、小さい人が散歩しようとせがんできた。
のらりくらりとかわしていたが、大人として余裕がないように感じられたので、重い腰を上げることにした。
玄関をあけて外に出てみると、やっぱり空からどんよりと鈍い色の雲が垂れ下がっていた。
ポツリと顔に雨粒が落ちてきたりもする。
しかたがないから、鉢植えのある庇に移動して、放置されているバラたちの葉を食い荒らす青虫を探し、時間をつぶしていた。
私たちの話し声を聞いたねこが、「にゃん」と一声かけてきた。
ねこは、縁の下、庭の茂み、エアコンの室外機の上、芝生、とにかく敷地内のそのときのベストな場所を見つけ出してくつろいでいるから、所在は一定していない。
このときは、園芸道具置き場にあったダンボールの中で昼寝をしていたらしい。
私たちも「にゃん」とかえし、ねこを探し当てた小さい人がダンボールからねこを連れ出してきた。
そうこうするうちに、雨が止んだようなので、敷地周りの散歩に出発。
そこでいつもの儀式をと、ねこが催促の鳴き声をあげる。
「ごぁん」
カリカリのキャットフードを一口分だけおわんに入れる。
ねこは、湿気ったえさを好まないし、キャットフード以外はほとんど食べない。
水も、井戸のそばに人がいれば、新しい水を汲んで欲しいと訴えかける。
こうして一口分のえさに満足したら、ようやく前に進めるようになった。
フェンス向こうの崖下に、アケビがぶら下がっている。
熟れて茶色になったものや、まだ薄い藤色のもの。
ねこは、ひっそりと私たちの傍らにいる。
台風で落ちた杉の葉や枝を避けながら、坂道を下り、畑沿いの道を歩く。
ねこは、注意深く、私たちの後をついてくる。
ときどき、つつじや土手の草にマーキングをしている仕草をする。
ふかふかにほぐされた畑の土に、用足ししたりもする。
“椿の道”‐小さい人が命名した‐を通る。
足元に、椿の実がたくさん散らばっている。
すでに木は、1㎝ほどの蕾をたわわにつけ、春を待ち焦がれながら準備に余念がないようだ。
こうして、私たちは、振り出しに戻った。
ねこは、もうついてきていない。
もしかしたら、“椿の道”脇にある納屋で、ハツカネズミの気配を感じたのかもしれない。
あるいは、仲間の声を聞いたのかも…
また、小さい人と散歩するときには、ねこはどこからともなくやってきて、私たちの傍らを歩んでいることだろう。
ときおり、「にゃぁっ」と声をかけながら。