聖フランチェスコの清貧との結婚
聖人たちと聖母子
15世紀イタリアのシエナで活躍した、国際ゴシック様式の中でもシエナ派あたる画家サセッタ。
シモーネ・マルティーニやピサネロなどの影に隠れがちだが、良い作品を残している。
サセッタの描く絵には、茶目っ気がある。
「聖フランチェスコと清貧の結婚」では、結婚の約束を交わした清貧が立ち去るとき、振り向き手を差し伸べて別れを惜しんでいる姿で描かれている。
「聖人たちと聖母子」では、聖母子を取り囲む楽奏の天使たちは微かに笑みを浮かべるのが一般的だが、サセッタの天使は満面微笑んでいる。
しかも、右手前の天使は、目をくりくりと見開き、口元は大きくカーブを描いて笑っているのだ。
見ているこちらも、つられて笑ってしまう。
厳かな教会の祭壇画を飾るにしては、ちょっとやりすぎと思えるのだが、ルネサンスの自由な気風の先触れとして、これも許される時代になったのかと思いを馳せる。
新しい時代の幕開けに心躍らすサセッタの気持ちが、彼の描く絵の随所に見られると思うので、どうぞサセッタをお見知りおきを。