即興 渓谷 1914
近頃、深刻な問題に気がついた。
人物が描かれている絵を、観たくないという現象だ。
原因は分かっている、人間と密接に関わりを持っているからだ。
人間を造形の対象としてすら捉えることに飽き飽きとしてしまっていることに、自分でも愕然としてしまった。
だから、色彩や線を純粋に楽しめる抽象画や、人物の描かれていない風景画などに心が惹かれる。
どうだろう、このカンディンスキーの絵は、鎮静効果のある寒色の青と、補色である輝かしい暖色の黄色、それらをつなぎ合わせる明度の低い黒や赤が組み込まれ、全体に動きと流れをもたらす生き生きとした線が巡らされている。
観ていると心が開放され、たとえばバッハのコンチェルトの調べに乗って舞い踊る感じになる。
そのためか、来年のカレンダーは、カンディンスキーに決めたのだった。
安直でも、毎日目にするところに美しいものがあるということは、ふっと我を振り返るにはいいアイテムなのだ。
Violin Concerto in D Minor, BWV 1052: Allegro
Bach - Harpsichord concerto in A major BWV 1055 - Corti | Netherlands Bach Society