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BANANA FISH ー あるアンドロギュヌス神話

2018-12-30 22:39:11 | 漫画やアニメ
吉田秋生原作”BANANA FISH"のアニメが、今年放映されていた。
元の漫画は、1985年から雑誌に連載されていたけれど、あいにくと私の講読する雑誌ではなかったので、その存在をぼんやりと知っていたものの読む機会は得なかった。
それから30年以上のときを経てアニメ化されたのをきっかけとして、文庫版の漫画を購入し読んでみた。
当時の情勢や社会問題を絡めつつハードボイルドなタッチのストーリーに、思春期後半の少年たちの恋愛にも似た友情を描いている。
人は、生れ落ちた環境の良し悪しにかかわらず、その存在を肯定されたり愛情に満たされる保証は得ない。
また、当人にとって不足のない状況であっても不幸なすれ違い行き違いが起きる場合もあれば、過酷な状況でも一滴の水が必要なポイントに滴り落ち潤い満たされる稀に幸運なこともある。
アッシュと英二は、その稀な例で、いわゆるアンドロギュノスなのだろう。
しかも、紆余曲折を経てなどではなくて、ファーストコンタクトですでにそれを感じ取っていた。
だから、お互いがブレるということはなく、周囲の介入と互いを思いやるが故の行動で、安住のときを持てない。
しかし、運命とは残酷なもの、この一対のアンドロギュヌスは、片割れを見つけたもののその身は引き裂かれ、心が一時繋がった事実だけが残った。
これはファンタジー。
でも、誰しも内心強く憧れ求めていることなのだと思っている。
一番は心の強い結びつきで、それを強固に補強したり、確認や占有独占したりするためのものとしてのセックスがあるのではないかと、最近考えている。
この物語のアッシュと英二は、何にも揺るがない心の結びつきを持てた、理想のあり方なのだろう。



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