3月のラボ便り
皆さん、こんにちは。
今月のラボ便りでは、
「精液の調整」についてお話致します。
人工授精や体外受精を行う前には、採取した精液の調整を行っています。
調整を行う理由は、以下の点です。
・精液中に含まれる雑菌や衣服の繊維などの不要なものを取り除く
・良好な精子を集める
人工授精と体外受精とでは、精液の調整方法が若干異なります。
人工授精では、
アイソレートという調整液の上に精液を重ね、遠心分離(超高速回転)します。
すると、良好な精子は下の方に沈殿として集まり、
不要な物は下まで落ちず、上の方に残ります。
この下に集まった良好な精子をカテーテルで子宮の中に注入し、人工授精を行っています。
一方、体外受精では人工授精の時と同様の調整を行った後に
下部にに集まった精子の沈殿の上に培養液を重ね、培養庫の中で30分間静置します。
すると、運動性の高い精子は沈殿の中から上に泳いでいき、培養液の上の方に集まってきます。
この運動性の高い精子を回収し、体外受精や顕微授精に用いています。
ですので、
もともと運動性の高い精子の数が少ないと、必然的に回収できる精子の数も少なくなってしまいます。
体外受精を行う際にはそれなりの数が必要ですので、
実際に調整をし運動精子の数が少ない場合には、
体外受精予定であっても全て顕微授精に変更になることもございます。
精液の調整は、あくまでも良好な精子を集めてきているので、
調整を行うことで精子が元気になったり、数が増えたりするものではありません。
しかし、人工授精や体外受精の成功率を上げるために非常に重要な処置です。
とくおかLCラボスタッフより
とくおかレディースクリニック