とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

10月のラボ便り

2019年10月14日 | ラボ便り

10月のラボ便り

皆様、こんにちは。
大分涼しくなってきて、過ごしやすい気候になりましたね。
外を歩いているとキンモクセイの匂いがふわりとする事があり、秋を感じます。

今回のラボ便りでは、卵子の透明帯についてお話します。

透明帯は、糖タンパク質で出来た透明なゼリー状の、卵子の周りを覆う殻のようなものです。
透明帯の役割は、以下のことが挙げられます。

*卵巣内での卵子の発育促進
→卵子を包んでいる顆粒膜細胞(卵子に栄養を与える細胞)と卵子の結合を保持し、卵子に栄養が供給されるようにしています。

*受精時に多精子受精(精子が2個以上卵子の中に入ってしまう異常受精)が起こらないようにする
→卵子の中に1つの精子が入ると透明帯は変化し、他の精子が入るのを防ぎます。

*受精後の胚の保護
→受精後、卵細胞は分割を繰り返しながら成長を進めます。

分割途中の初期胚の細胞は結合が弱い為、一つ一つの細胞がバラバラにならぬように透明帯が包んでいます。

胚は初期胚から胚盤胞まで成長すると、拡張と収縮を繰り返して透明帯を破り、脱出します。
透明帯から完全に脱出出来なかった場合、胚は着床に至りません。
女性の年齢が上がると、透明帯は硬化したり、厚みが増すことがあり、これが着床の妨げになる可能性があります。

そこで、体外受精では、
胚移植を行う胚に補助孵化法(アシステッドハッチング)を行い、胚が透明帯から脱出しやすくする事があります。

お写真の、赤い線で囲っている部分が透明帯です。

何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声がけ下さい。



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