大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

やくもあやかし物語・131『Vic□orの蓄音機ワンコ』

2022-03-29 09:57:32 | ライトノベルセレクト

やく物語・131

『Vic□orの蓄音機ワンコ』 

 

 

 緊急なのです! エマージェンシーなのです!

 

 そう言いながら、アカアオメイドはしっかり天蕎麦食べていったし、時間を停めたという割には、戻ってからでも一時間近くたっていたので、明日でもいいだろうと思った。

 龍と蛇の業魔は、行きがかり上、すぐに対戦したけど。やっぱ、終わって戻ってみるときついよ。

 だからね、明日にしようって思った(^_^;)。

 

「やくも、こんなの要るかい?」

 

 歯を磨いて寝ようかと廊下に出ると、お祖父ちゃんが、くたびれた紙箱を差し出した。

「なあに?」

「若いころにステレオ買ったら電気屋が、おまけにくれたものなんだけどな……」

「ほお」

 手に取ってみると、ずっしりと重い箱の上にはVic□orのロゴがあって、ワンコがお座りして蓄音機に耳を傾けてるイラスト。

「開けていい?」

「うん、確かめて、気に入ったらあげるよ」

「どれどれ…………うわあ」

 箱の中にはフワフワの紙にくるまれて、イラストと同じワンコと蓄音機が入っている。

 昭和的レトロ、いや、もひとつ前の大正ロマンて感じ。

 いっしゅん陶器かと思ったけど、なんか、微妙に柔らかいプラスチックみたいなのでできている。

「ありがとう、めちゃくちゃ気に入ったからもらっておく!」

「そうかそうか、やくもは値打ちの分かる子だから、お爺ちゃん好きだよ」

「えへへ、お爺ちゃん、趣味いいもんね」

「あはは」

 お爺ちゃんは、頭を掻きながら部屋に戻って行った。

 お爺ちゃん、わたしが歯を磨きに廊下に出るの待ってたんだ。

 お爺ちゃん、シャイだから、たとえ孫娘でも、夜中に女の子の部屋を訪ねるのにためらいがあったんだよね。

 お婆ちゃんに見せたら「そんなもの、とっとと捨てなさいよ」って言われるの目に見えてる。

 不用品はメルカリとかに出せばいいと思うんだけど、お婆ちゃんは断捨離婆さんで、めんどくさがり屋だから、メルカリは嫌いなんだ。

 机の上に蓄音機ワンコ、枕もとにはコルトガバメントとメイデン勲章を置いて寝る。

 うん、明日はカバンにしのばせて学校に行くつもり。

 これまでの経験から言っても、通学の途中で業魔とか現れて戦いになりそうな気がしたからね。

 チカコと御息所は両手に握っておこうと思ったけど。「寝ている間にオナラされちゃかなわない」「歯ぎしりがねえ」とか理不尽なこと言って、杖の上でハンカチのお布団被って寝てしまう。

 やれやれ。

 

 そう思って眠りに落ちると、二丁目の坂道が夢に出てきた。

 

 坂道下って折り返し。

 あれ?

 折り返してみると、アキバの駅前広場に下りるエスカレーターだよ。

 いっしゅん引き返そうかと思ったけど、振り返るとペコリお化けが『工事中』の看板立てて、済まなさそうに頭を下げる。

 仕方ない。

 エスカレーターに足を載せると、下の方に、騎士メイドやメイド将軍たちを引き連れたメイド王・アレクサンドラが、その向こうにはアカアオメイドと滝夜叉姫のトラッドメイド……これは、もう逃げられないよ(;'∀')。

 せめて朝まで待ってほしかったけど。

 ポケットの上から御息所とチカコが居るのを確認。

 エイヤ!

 残り五段は駆け下りて、メイド王の前に立つわたしだったよ。

 

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 教頭先生
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん       図書委員仲間
  • あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所 里見八犬伝 滝夜叉姫 将門 アカアオメイド アキバ子 青龍 メイド王
コメント
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