大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!88『会長のハチャメチャと最後の夜』

2024-12-12 08:47:37 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
88『会長のハチャメチャと最後の夜』 




 けっきょく本番まで、いや、本番になっても会長の姿は掴めねえ。

 番組は昭和のいたずら小僧、フォークの主席と言われた会長の面目躍如だぜ!

 AKRはじめヒカリプロのスターやタレントたちの歌やトークやパフォーマンス、その間に局の内外の映像が唐突に入って、会長を追いかけたり過去の映像がランダムに流れやがる。

 天気予報のオネエサンが天気図を指して振り返ると会長! 国会答弁に詰まって俯いた総理が顔を上げると会長! 新幹線が東京駅に入り車内清掃のスタッフが入って数分後車内をピカピカにして、車両から出てくると全員が会長! AKRが新曲を歌い終わって決めポーズになると、これまた全員が会長! やっとまともに一曲終わったと思ったら、カメラがパンしてスタジオの全景をナメルとスタッフ全員が会長! 渋谷交差点の信号が青になって人が渡り出すと、その顔が全員会長! 笑い声が交差点に響き、カメラがズームすると、お座りしてるハチ公が会長!

 合間に入ってるエフェクトは昔流行った『ゲバゲバ90分』やら、怪奇特集の中で使われた『ダンダダン!』て効果音。

 くそ、AIを使いやがったなぁ?

 スタジオのみんなも、テレビの視聴者も気づいてきやがる。

 むろん、この小悪魔のマユさまもな。

 AIは魔法みてえなもんで、なんでもやっちまうし予測も出来ねえ。映像表現的には小悪魔以上だ! だけどよ、AIと気づいたとたん、なんか醒めてきやがる。よく分かんねえけど、AIはコンピューターだろ、コンピューターは機械だろ、機械に騙されると醒めてくるのは人も悪魔も同じみてえだ。

 すると、画面に普段の会長が現われて、しみじみと語りだしやがる。こいつもAIのフェイクだろうと思ったら、こんなことを語り始めやがった。

 
「実は、このAKRのオーディション。最初は四十八人いたような気がするんだよね。だって僕ね、最初に受験者きたときにオモシロ半分で、自販機の空き缶人数分だけ別にしといたの。そいで審査の後、全員合格でやろうってことになって、書類見たら四十七人。僕もそう思いこんじゃってて、そのままいったんだけどね、あとで空き缶数えたら、やっぱり四十八個あるんだよね。いや不思議……今日はAIに手伝ってもらってハチャメチャやったけど、これだけはホント。異世界だか霊だか悪魔か天使か分からねえけど、そういうもんの力が働いてるような気がする。昭和生まれのボキャ貧だから上手いことは言えないけど、なんというかぁ……奇跡は起こると思う。うん、奇跡はおこる!」

 そこまで言うと、スタジオを仕切っていたカーテンが開いて「……奇跡は起こる!」の気持ちを引きずったままの会長が現れる。

「クララ、そんな顔してないで、ここにきて僕と握手しろ」

 ええぇ……(;'∀')

 めちゃくちゃいやそうに握手するクララ。

「どうだ?」

「あ……この気持ちの悪い感触は本物!?」

 それからAKR全員、スタジオの全員、それから会長はの手すきのやつらとAKR全員を引き連れスタジオの外に出て、行き交うテレビ局のやつらと握手。さらに、玄関から出ちまって、出くわした誰彼かまわずに握手していきやがった……

 
 その夜、黒羽と美優は夫婦として、最初の、そして最後の時間を美優の部屋で過ごしやがる。

「あと……一時間だね」

 美優が、ポツンと言った。

「そんなことは、分からない。オレは奇跡を信じる……」

 黒羽は、美優の肩を抱きながら、静かに言った。

 二人は、次第に無口になっていくことを予感していたので、テレビをつけて、録画しておいた『AKRをでっちあげる人たち』を流している。いっしょに出た番組を観て、会長のハチャメチャで押しつけがましい愛情を感じ、二人で笑いながら美優は逝きたかった。

「アハハハ……」


 会長のヨタ話のところでは、美優は自分の、黒羽は新妻の死が、そこまで迫っていることを忘れた。

 CMになって思い出しやがったぞ(°´ω`°)

「あ……時間だ」

「美優……!」

「しっかり抱きしめて。わたし英二の胸の中で逝きたい……」

 二人は、そうやって、その瞬間を覚悟して待った。

 そして、一時間過ぎたころ、美優の胸の中から息絶え絶えの声がしやがる。

 ?

 誰の声かと思ったら、笑っちまう、マユ自身の声だったぜ(^_^;)


――ガン細胞……みんなやっつけた……ぞ――



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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銀河太平記・262『サンルームとマーマレード』

2024-12-11 12:08:44 | 小説4
・262

『サンルームとマーマレード』 胡盛媛中尉 




「マー マーマレード!」


「フフ」

「え、おかしい?」

「え、いえ」

「あ、ああ……下手な洒落に聞こえたかしら(^_^;)」

「あ、はい、少し」

「今日は、四軍予算の概算要求の日だったでしょ、宇宙軍なんて用語が全部英語でしょ、漢明語の発音までおかしくなっちゃって」

「あ、果醤(コージャン)と言った方がよかったですか?」

「あぁ、それだとお醤油くさくなる」

「あ、醤(ジャン)は醤油の醤でしたね」

「「アハハハハ( ´艸`)(´∀`*)」」

 サンルームで話していると、大統領では無くて、ちょっと年上のおねえさんと話してるような気になってくる。午後から張り出したシベリア寒気団も、このサンルームでは自然に忘れられる。

「庭の蜜柑は温州みかんなのよ」

「温州、浙江省のですか?」

「あ、そうなんだけど、ちょっと違う。むかしむかしに温州の蜜柑を日本の留学僧が持ち帰って品種改良を重ねたものなの。それを三百年前に、今度は中国の留学生が持ち帰って植えたものなのよ」

「へえ、そうだったんですか!」

「うん、日中国交のシンボルみたいな……でも、この官邸に来て気づく人は、日漢双方でもマレだけどね」

「あ、この話、広報に載せていいですか?」

「うん、いいわよ。でも、殿下のことには触れないでね」

「あ、素性を隠してもダメですか?」

「うん、殿下が自分で思い出されるまでは……最初に言ったことと矛盾かもだけど、もうちょっと時間をかけたいの。ごめんなさいね」

 チン

「あ、ちょうどパンが焼けたわ」

「あ、わたしが……」

「いいのいいの、大統領なんて因果な仕事やってると、こういうことがとても癒しになるのよ……」

 そういうことなら……と、楽しそうにト-ストにマーマレードを塗る大統領の後姿。

 もうPI前の老将軍のイメージは無い。ボディーである王春華は有能な大統領秘書で、緊急時には男の警護官以上の働きをしたと言われてるけど、そういう攻殻機動隊の女隊長の感じでもない。

 トーストにマーマレードを塗っている後姿は、短大を出てやっと一年目くらいのOL。

「あ、垂れてきたぁ~」

「あ!」

 とっさに立ち上がって、トーストから垂れたマーマレードを二人、指で絡めとって口に含む。

「「オオ!」」

 その甘さと香りに同時に唸って、そして、二人で笑ってしまう。

「なんだか、本当の姉といるようです。あ、姉はいませんけど」

「え、そう? 妹という感じにはならないかしらぁ?」

「あ、それは……(^_^;)」

「アハハ、冗談よ……うん、やっぱり果肉が残ってると美味しい」

「殿下、いえ、ゲストさんの腕がいいからです」

「そう……そうねえ……あ、ここでは殿下でいいわよ」

「……殿下が記憶を取り戻されたら、どう処遇するつもりでおられるんですか?」

「殿下は、五代前の成治天皇の五世孫。皇室の伝統では皇位継承権を持っておられる……このことは知っているでしょ?」

「はい、一応のことは」

「今の陛下は女性天皇だけど、陛下ご自身は元来の男系継承が正しいと思われてる」

「そうなんですか?」

「一応の皇位継承者はお妹の須磨の宮さまにされていたけど……」

「先年、お亡くなりになりましたね」

「そう、だから今の決まりでは、フーちゃんも知ってる心子内親王殿下」

「はい、いまは内密に火星の扶桑に御滞在……」

「それが、情報では、もう火星にはおられないらしいの」

「ああ、マッパ病が……」

「それもあるだろうけど、心子内親王殿下を皇位継承のゴタゴタから遠ざけておきたいお気持ち……」

「え、今上陛下がお指図……?」

「それは無いと思う。いろいろ思いを致した人たちが、さまざまに推し量った結果だと思う……日本人の思考法は我々とは違うからねぇ……」

「あのう……その伝で言うと、火星の扶桑将軍も、成治天皇の五世孫では?」

「さすが、漢明の広報、よく知ってるわね」

「あ、いえ、西ノ島に居た時にいろいろ話を聞きましたので……」

 シゲ老人やハナちゃんのことが思い出されて、ちょっと鼻の奥がツンとする。

「フフ、あの島には楽しい思い出があるのね」

「え、あ……」

「ううん、わたしも二度ばかり行ったけど、いいところよ。こんなゴタゴタが全部終わったら、大統領なんてトットとやめて、いっしょに西ノ島で魚釣りしたいものね」

「ハイ!」

「ね、どうだろ、そのマーマレード西ノ島に送ってあげたらぁ? お岩さんとかが、美味しく使ってくれるわ」

「え、あ、いいんですか?」

「いいわよ、そうだ、行き帰りは、あの人に頼もうか……ウフフ( ´艸`)」

 なんだか、いたずらを思いついた女子高生みたい。

 わたしなんか、思いもよらない……怪物なのかもしれない。



 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 栗 尊宅(りつそんたく)        輸送船の船長  大統領府参与
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!87『会長企てやがる』

2024-12-11 08:35:09 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
87『会長企てやがる』 






 その日の美優はずっと黒羽といっしょだ。


 でもな、二人きりというわけじゃねえ。

 黒羽はディレクターとして、美優は衣装制作者としてフジヤマテレビで特番に出演するんだぜ。

――AKRをでっちあげる人たち――

 実に開き直ったタイトルで、ディレクターから、振り付け、メイク、衣装、果ては事務所の食堂のおばちゃんにいたるまでの総出演だぞ!

 裏話や、とっておきの話とかのト-クショ-でよ。その間メンバーは言われ役で、笑ったり、顔を真っ赤にしたり。そして要所要所でAKRのヒット曲が挟まれるって満腹な企画だぜ。

「え、会長、またアレやるんですか( ゚Д゚)!?」

 放送局の廊下をモップ掛けしてる掃除のオッサンが会長であることに気づいた黒羽Dが目を剥きやがる。

「またじゃない、今度は局の清掃スタッフだ」

 クルンクルン

 自信満々にスピンして、胸と背中のロゴを見せやがる。

「親しいとは言え、ここはテレビ局。うちのスタジオじゃないんですからね」

「わかっとる、細工は流々、黙って見てろ。ここの株の二割は俺のだからな、文句は言わせねえ」

「…………(-_-;)」

 会長が廊下の向こうに行くのを確認すると、副調整室に向かい「実は、うちの会長が……」と局のデレクターにバラしやがる。デレクターも一瞬ひきつりやがるけど、局のえらいやつも会長には逆らえねえ。

「実は、会長が……」

 控室で美優にも話しておく。口には出さねえけど、残り時間の迫ってる美優に心配や強い刺激は避けさせたいって、黒羽の気配りだ。

「それは心配ね」

「うん、でも何があってもぼくがカバーするから、美優は心配しなくていい」

「うん、だいじょうぶ」

 新米亭主の気遣いを嬉しく思う美優だったけど、どこか楽しみにもしてやがる。

 黒羽Dは、こっそり他のスタッフに「会長の居場所は、逐一ぼくに教えて。本人は化けてるつもりだから、気付かないふりでね」と念を押しやがる。

 美優は分かってやがるんだ。最後の時がくるまで、会長は美優を楽しませてやろう、少しでも最後の時間が来るのを忘れさせてやろう。そう思って、あれこれ企ててくれているんだと見破ってやがる。

「よし! じゃあ、わたしも楽しまなくっちゃ!」

 そう決心すると、今までよりもウキウキとしてきて廊下に出た。

 会長がそのつもりなら、こっちからも攻めに出て、もっと面白くしてやろうと思いやがった!

 小さいころ何度か会長に遊んでもらった。アキバの冒険だったりかくれんぼだったり。あのジジイの逃げたり隠れたりのクセなら少しは分かっているつもりの美優だぜ。

 ジジイの裏をかく!

 そう思うと、ウキウキを越してワクワクしてきやがる(^_^;)。

 そして、五分後、三階の廊下を掃除しているジジイの後姿を見つけやがった!

「見っけ!」

「わ!?」

「さあ、観念してください、会長(^▽^)/」

 手を離してやって、こっちを向いたのは本物の掃除のおじさんだったぜ!

 

☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

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やくもあやかし物語2・083『別次元化された砂浜』

2024-12-10 11:34:47 | カントリーロード
くもやかし物語 2
083『別次元化された砂浜』 




 フッ…………………あ、あれ?


 デラシネはスピードを緩めることもなく突撃して来たかと思うと、わたしとハイジをすり抜けて走り去ってしまった!

 なんかVRゲームをやっていて、キャラやオブジェが手応えなくすり抜けていくみたいだ。

 ただただ、呆然としてデラシネの後姿を見送ってしまう。

「あ、ひょっとして!?」

 ハイジがなにかに気づいて、焚火の跡に手を伸ばす……生焼けの木切れを掴むと、二つになった。

「「え?」」

 掴んだ方は、ちゃんとハイジの手の中にあるんだけど、同じものが薪の跡に残っている。

 ガチャガチャ

 ハイジが焼け跡を足でかき回すと、木切れはあちこち飛び散ってしまうんだけど、もう一つの焼け跡はそのまま残っている。

「なんだこれえ!?」

「次元がズレてる……」

「なんだ、それ?」

 あやかし慣れしてるやくもはピンときた。だけど、ハイジはまだ腑に落ちない。

「走ってるうちに、次元が微妙にズレた。この焚火と散らばった焚火は別の次元なんだ。見てて!」

 木切れを拾って砂浜にへのへのもへじを描く。

「なんか、切れ切れだぞぉ?」

「あっちの砂浜とこっちの砂浜が重なってるんだ。わたしらとデラシネが走って、砂が蹴散らかされた状態で重なってるから、向こうの次元の砂浜には描けないんだ。だから切れ切れになるんだ!」

「ええ……じゃあ、どうすんだよ?」

「どこかに切れ目があるはず、そこを超えれば……」

 言ってはみたけど、それがどこだか見当もつかない。


 フフフ( ´艸`)……ウシシ(*`艸´)……

 あいつらの笑い声がするけどムシムシ。


 日本にいたころ『合わせ鏡のあやかし』にやられたことがある(やくも・03『フフフフ』)。左右に果てしなくやくもが居て、同じやら左右逆やらに動いて抜け出すのに苦労した。

 ポケットに手を突っ込んで御息所たちを引っ張り出す。

 力尽きて寝てるけどかまっちゃいられない。

「ちょっと、起きて、大変なのよ!」

『ムゥ……まだ無理ぃ……』

 目をつぶって、赤ちゃんみたいに丸まってしまう御息所。
 
 ミチビキ鉛筆も思いやりもピクリともしない。

「こいつら、ダメなのかあ?」

「うん、さっき激しく戦ったからね……」

 仕方がない、無理を言ってるのはヤクモの方だ。

 優しく掴んでポケットに戻そうとしたら、御息所が、弱々しく自分のポケットを指さす。

 ポケットからマチ針の頭みたいなのが覗いてる。

「あ、受話器だ!」

「ちっちぇ」

 そうか、これは交換手さんの黒電話!

 激しい戦いで壊れたり無くしたりしないように、御息所は自分のポケットにしまっていてくれていたんだ!

 一センチほどの受話器を、ちょっと迷ったけど、とりあえず口のところに持っていって呼びかけたよ。

 もしもし……もしもし……



 
☆彡主な登場人物 
  • やくも        ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
  • ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
  • ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
  • ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
  • メグ・キャリバーン  教頭先生
  • カーナボン卿     校長先生
  • 酒井 詩       コトハ 聴講生
  • 同級生たち      アーデルハイド  メイソン・ヒル  オリビア・トンプソン  ロージー・エドワーズ  ヒトビッチ・アルカード  ヒューゴ・プライス  ベラ・グリフィス  アイネ・シュタインベルグ  アンナ・ハーマスティン
  • 先生たち       マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
  • あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの  ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女 マーフォーク(半魚人) トバル(魔王子)  トバリ(魔王女)
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!86『会議室に入って驚いたぜ!!』

2024-12-10 09:11:14 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
86『会議室に入って驚いたぜ!!』 





 廊下に出ると、さっきの外人のオヤジ。目が合うと英語でなんだか言ってきやがって、握手。通訳のネーチャンと笑顔を残していっちまいやがる。

 会議室に入って驚いたぜ!!

「美優ちゃん、これに着替えて」

 衣装の篠崎がウェディングドレスを持って待ちかまえてやがる。ヘアーやメイクさんも揃っていやがったぞ。


「こ、これって……」


 九十分ほどかけて、美優は花嫁姿にされちまった。プロ達の手際としては時間がかかりすぎていやがるけど、それは、美優が朝寝坊で、顔もろくに洗っていなかったからだ。

 シャワーから始まり、シャンプー、スキンケア……そして、着付け、ヘアセットとメイクの同時進行。

 そのころになって、届けた衣装が一着多かったことに気づいた。

 ウェデイングのリカちゃん人形が仕上がって廊下に出ると、AKRの研究生のやつらが廊下に並び、そいつらに拍手で連れていかれてスタジオに入った……。


 なんということだ! スタジオが教会に変わっていやがった!


 真ん中に真っ赤なバージンロ-ド。左右の席には、AKRのメンバーや研究生、スタッフのやつら。前の方には留め袖姿の母とブル-のドレスの由美子が立っていやがる。

 そして、一段高くなったところには神父のおっさん。そして、そして……その前にはタキシードの花婿の姿で黒羽が、緊張した顔で立っていやがった!

――そうか、みんなで仕組んでやがったんだ。道理で衣装が一着多いはずだぜ。スタジオのシートにくるまれていた秘密の道具もこのためだったんだ――

 呆然と立ちつくしていると、脇を小突かれた。会長がタキシードに白手袋で腕を差し出してやがる。美優はギクシャクと会長の腕に腕をからませた。

 タ~ンタ~カタンタンタンタン♪ タンタカタンタ~~~ン♪♫

 するとキーボードがパイプオルガンになり、メンデルスゾーンの結婚行進曲を奏で始めやがる!

 美優は感覚がマヒしてしまったぞ。

 まるで全てが分かっていたみてえに、堂々とバージンロ-ドを歩くことができた。最初の一歩は、危うくつまずきそうになったけどな、それで会場のみんなが一瞬クスっときて、動揺することもなかったぞ。

――わたし、英二さんのお嫁さんになるんだ――

 その思いさえも、ひどく冷静、パソコンのそっけないフォントみてえに思い浮かんだだけだったぞ。

 神父の前で黒羽と並んだ。

 神父は、廊下ですれ違った外人のオッサンだ。おごそかな顔で分からなかったけど、ウィンクされて、そうと気づいたぞ。こいつ、仕事で来日中のバチカンの枢機卿じゃねえか! 美優の中に居なきゃ体中にジンマシンが出てるとこだぜ(''◇'')ゞ!

 それから、神父は型どおりに式をを進行させ、いよいよエンゲージリング……そこで、

 ドキドキドキドキ! ドックンドックンドックン! バックンバックン!

 美優の奥底から竜巻みてえな感動が湧いてきやがって、マユはモミクチャになっちまうううう((;´✘;Д;✘`;))!!

 婚約指輪を外されていたことも、花嫁用の白い手袋をさせられたことも覚えてはいねえ美優。そんで、黒羽が、エンゲージリングをはめるため、そっと美優の左手をとったときの手の温もりが、やっと感覚をよびさまさせやがる! 夕べと同じ黒羽の手の温もり……!

「一言ごあいさつを」

 さすが会長、ここ一番という時は大きく見える……と思ったら、ハコ馬の上に乗ってやがる(^_^;)。

「本来ならば、きちんと仲人をたて、吉日を選び、わたしのようなインチキ野郎が、新婦の父の代役をすることもなく結婚式をやらねばならんのですが、新郎黒羽英二は、明後日の新曲発表後、AKRホンコンの立ち上げのため当分日本を離れます。黒羽君は自分で思っているほどには、女にモテやしません。その黒羽君と結婚の約束をしてくれた、美優ちゃんが心変わりしてはいけませんので、不肖わたくし光ミツルのグッドアイデアで、スケジュールの合間を縫って、ささやかながら、わがHIKARIプロのスタジオで、強引でインチキクサイ結婚式を執り行うことになりました。まあ、変態オヤジの酔狂とお許しください。しかし、式とわたしはインチキくさくはありますが、ここに集まった、みなさんの、二人の門出を祝福する気持ちは本物であります。そして二人の気持ちも……そうだよな?」


 新郎と新婦は頬を染めてうなづきやがる。


「それが確認とれたら結構、これから直ぐに区役所に行って婚姻届を出してこい。披露宴その他は、黒羽が帰国後ドハデにやろう。まあ、よかったら、美優ちゃんがホンコンにいっしょにくっついていくってのもありだけどな!」

 くだけて話す会長の目は全てを承知しているような光があった。ありがたいと美優は思ったぞ。

「さ、とりあえず区役所だ!」

「はい、直ぐに着替えます!」

「ばか、着替えてる時間なんかねえの!」

 美優と黒羽は、式のウェディングドレスとタキシードのまま、事務所のバンに乗せられ区役所に行くハメになった。婚姻届の証人になったクララが、どうしても付いていくときかず。そのまま放送局に行くことを条件に認められた。

 ロビーに突然現れたウェディングドレスとタキシード+AKRのクララに、区役所は一時騒然とし、その様子はヤジウマたちによって、その数十分後にはSNSに流れてしまったぜ。


 マユは、もうすぐ一億個目のガン細胞を壊すところだったぞ……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!85『寝ぐせの髪とサムズアップ』

2024-12-09 08:36:31 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
85『寝ぐせの髪とサムズアップ』 




「あ……そうだったんだ(;'∀')」


 美優は、目覚めると黒羽のベッドなんで、瞬間とまどいやがる。

 夕べは、自分から望んで黒羽の部屋を訪れ、本当の恋人に成っちまいやがった。


 にしては……黒羽の姿が無え。


 「いつまで寝てんの。英二さんとっくにいっちゃったわよ!」


 階下からマダムの声がした。

――お母さん、夕べのこと知ってんのかなあ……?――

 階下のキッチンに降りると、母が美優のを残して朝食の後かたづけをしていやがる。

「英二さんも、忙しいわねぇ。今朝は、早くから記者会見なんだって?」

「ああ、うん。Pホテルでね。わたしは事務所のスタジオ。予備のコスできてる?」

「お店のカウンターの中に置いといた。でも、今度の新曲は、動き激しいのね、発表前に予備を八着も作るなんて初めてよ」

「なんたって、今度はオモクロとの対決だからね。振り付けの春まゆみさんも熱が入っちゃって、動きが激しいの。対決に勝ったら、ステージ増えるから、もう一揃え予備作るって。大もうけだねローザンヌも」

「そのときは、担当は美優ね。今度の曲は、美優の方が詳しいもの」

「……お母さん」

「世の中、いつ奇跡がおこるかも知れないもの……」

「……うん。わたしも信じてみる。だって、あと一日ちょっとで終わりなんて、ぜんぜん、そんな気しないもん」

「そうよね、快調そのものだもんね」

「……うん」

 お互いの目が潤んできたので、美優は大あわてで、トーストにスクランブルエッグを乗っけ、トトロのような大口を開けて、かぶりついた……で、その瞬間を、マダムがスマホで写メったぜ。

「あ、お母さん!」

「うん、美優の自然な感じがとてもいいよ。あとで英二さんに送っとくね!」

「もお~、母子の縁きるよヽ(`Д´)ノ!」

「アハハハハハ(ᵔᗜᵔ*) 」


 賑やかにじゃれ合いながら朝食をすませた。こんなふうにじゃれ合えるのも、あと一日……その思いは、ちょうど出勤してきたバイトのサエちゃんに向けた笑顔で忘れっちまいやがる。切り替え方がいじらしいぜ(^▭^;)。


 通りに出て気づきやがる。


――お母さん、黒羽さんじゃなく、英二さんて言ったよね……――


 マダムには、分かっていたのかもしれねえ。ショ-ウィンドウに映る自分の姿が、なんだか昨日までの自分と違ったような気がした……というか、髪に寝癖がついたままだぞ。

「ヤバイ(# ゚Д゚#)!」

 あわてて手櫛で整える美優……恥ずかしさと爽やかさが一度にやってきやがった。


 事務所に入ると、大柄な外人さんとすれ違いざまにぶつかりそうになった。外人さんは「ゴメンナサイ」とカタコトの日本語で言うと、ウィンクして行っちまいやがる。


 若いスタイリストに予備のコスを渡すと、一着多かった。まあ、急な数の変更などしょっちゅう。マダムが数を言い違えたんだだろう。衣装チーフは伝票を確認するとあっさりサインしたんだから、間違いなしだ。

 それから、美優は会長室のモニターでレッスンの様子を見にいったぞ。

 今朝は、記者会見のために選抜メンバーはいねえ。研究生のアンダーやつらが春まゆみにしぼられてやがる。アンダー(アンダースタディー=万一の場合にそなえた代役)だけど悪魔みてえに真剣だ。

――わたしも、こんな風に燃焼……そんな時間はもう無い。英二さんとの時間だけを大事にしよう……ああ、だめだめ、ネガティブは――

 頭を切り換えると、自然に『コスモストルネード』に合わせてリズムをとりやがる。


「やっぱり、高校生のときにスカウトしとけばよかったな」


 いつのまにか、会長が並んで座っていやがる。

「あ、失礼しました!」

「いいよ、いつでも見ていいって言ったのはオレなんだから。しかし、ほんとに美優ちゃん、いけてたよ」

「そんな、わたしなんか、とんでもない!」

「いいや、美優ちゃんは、ミス乃木坂に選ばれたじゃないか」

「文化祭のイベントですよぉ。それも何年も前の話です(^_^;)」

「二年前に準ミス乃木坂に選ばれた坂東はるかは、今や新進気鋭の女優だよ」

「それは、たまたま坂東はるかって子に才能があったからです」

「あの子のディレクターは白羽ってんだけどね、ずいぶん食い下がってモノにしたみたいだ」

「黒羽さんだって……」

「あいつは、せっかくのスターのタマゴを自分一人だけのモノにしやがった」

「え……?」

「なんでも」

 会長はルパン三世みてえに肩をすくめやがった。

「あの、スタジオの奥にシートでかけてあるのは、なんですか。無かったですよね、今まで」

「オレのアイデアで、道具ふやしたの。まだ企業秘密」

 コンコン

 そのとき、会長室をノックして、衣装の篠崎が入ってきやがった。

「ちょっと、美優ちゃん。衣装のことで」

 顔つきが怖い……やっぱり、なにかミスでもあったのだろうかと美優の顔が引き締まる。

――ほう、父親似だと思ってたけど、ちょっとマダムに似てきやがった――

 ミツル会長は、腕を組んだまま小さくサムズアップしやがった。

 美優は、マダムと相似形の顔になって、楽屋を兼ねた会議室へと向かったぜ……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・157『こっそりお守りを置いて……』

2024-12-08 16:09:53 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
157『こっそりお守りを置いて……』   




「ちょっと、テスト期間中に悪いんだけど」

 監督の先生が出ていくと同時に10円男に声をかける。ちょっとでも間を置くと、こいつはスグに居なくなる。

「ええぇ、バイトなんだけど」

「時間は取らせないから、去年もやった『クリスマスの集い』なんだけど、今年もやろうかって、ちょっと話」

「ああ、いいんじゃない。俺はバイトで参加できないけど」

「ええ、なによ、それぇ」

「ごめん、年末はいろいろあって。じゃぁ」

 後姿で手を振ってサッサと帰っちまいやがる。

「去年はケンカまでして手伝ってくれましたのにねぇ(070『いよいよクリスマスイブの集い』)」

「まあ、いいじゃない。集まってから言うつもりだったけど、ノリでやっていこうと思ってたし」

 真知子が慰めてくれて気持ちを切り替えて職員室に向かう。



「失礼しまーす、2年3組の時任でーす。花園先生いらっしゃいますかぁ」

 ドアを20センチほど開けて、誰に言うともなくエクスキューズしておく。

 試験中なんで、生徒の出入りは禁止なので、いちおうの断りを入れる。教頭先生がチラリと見てくれて、これで入室許可をとったことになる。二年の師走ともなると、たいていのことは阿吽の呼吸。

 我が担任は、向こうの共用テーブルで監督していたクラスの答案を確認している。

 一枚一枚名前と番号を確認して、確認し終えたら、でっかいホッチキスで右上を留めて袋に戻して監督者欄にサイン。そして、テーブルの周囲で待機してる教科の先生に渡して任務終了。

 答案をなくしたり間違ったりしないための重要な儀式。この間は生徒ごときが声をかけても相手にはされない。校長が声をかけても「後にしてください」というくらいのものなんだ。

 実は、これを承知で職員室に来ている。

 試験期間中なので、職員室に長居することもできない。

 それで、勝手知ったる花園先生のデスクに、例のお守りをそっと置いておく。

 教頭先生は書類仕事やってるし、答案受け渡し以外の先生はほとんどいないし、先生のデスクに0.5秒でお守り置くところを目撃した者は居ない。

 静かに頭だけ下げて職員室を出ていく。

 誰も気づいてはいない。

 これで先生は――いったい誰が!?――と驚きながらも詮索することは無い。

 ものが無くなっているのなら大騒ぎだろうけど、落したお守り、それも本来買うはずだった『良縁成就』のお守りなら、少々気味悪くても、ひょっとしたら、神さまのアフターサービス? それとも親切な妖精さん? とか……信じなくても、詮索とかはしないだろう。


 一件落着して中庭へ。


 作法室前のベンチにお仲間たちが先着している。

「あ、新曲の練習するんですよおー(⌒∇⌒)」

 ロコが嬉しそうに手を振って、ヒョコヒョコとベンチの端っこに座る。

「ここで、二三十分歌ってたら、去年を知ってる二三年生なら気づくでしょ」

「一年生は……ほら、もう何人かこっち見てるし」

 真知子とたみ子の仕込も余裕の感じ。


 いの~ち掛けてと~ 誓った日から~ すてきな思い出~♪


 あ、お祖母ちゃんのオハコ!

 時どき『あの、すばらしい愛をもう一度ぉ~』のところを何度もリフレイン、というか、ほとんどここしか口ずさまないから、通しては知らない。

 子どものころから聞いてるから、わたしにとっても懐メロなんだ。

「アハハ、この春に出た新曲だから、まだ憶えてないんですけどねえ」

 ロコが、この一言を言ってくれなかったら「ああ、懐かしいぃ……」と不用意に呟いたかもしれない。



☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!84『婚姻届』

2024-12-08 06:45:44 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
84『婚姻届』 




 クロマキーの撮影はにぎやかだったぞ(^▽^)。

 グリ-ン一色のスタジオで、宙づりになったりデングリガエシになったりしてよ。 知井子なんか、首から下はグリーンの前進タイツを着せられ、一人で『コスモストルネード』を歌わされたりしたぞ(^_^;)。

 ラッシュを見ると、グリーン一食の世界で、自分の首だけが歌っているようで、なんともケッタイなんだけどよ、映像スタッフがPCのエンターキーを押すと、ティンカーベルの妖精みてえな姿になりやがって、コスモス畑の真ん中で、メンバーに取り囲まれて歌っていやがる。

 黒羽Dと美優は、昨日ほどには恋人らしくなかった……というか、距離の取り方が自然で、最年長の服部八重なんか『かえって自然な関係に見えた』って言ってゃがった。

 クロマキーの撮影は、CGとの合成になるんで一見簡単そうだけどよ、CGの画面と完全にシンクロさせることは意外にむつかしい、シーンによっては、テイク二十ぐらいいくものもあって、昼の休憩は午後の一時半を回っちまったぞ。

 控え室が狭いんで、メンバーの半分とスタッフは、スタジオのそこここで、ロケ弁を食ってるぞ。


「ちょっと、美優ちゃん、いいかな」


 スタッフといっしょに衣装直しのチェックをしながらロケ弁を食べている美優に、黒羽Dが声をかけやがった。

「ちょっと待って、打ち合わせ終わって、お弁当食べたら……で、いい?」

「あ、ごめん。むろん、それでいいよ、そこの事務スペースで五分後」

「うん」

 今日の二人の何気なさは、それを仕事の打ち合わせと思わせ、服部八重でさえも気がつかなかったぞ。


「この子達の動きに合うようにするんですね」

 大石クララがCGの画面にくいいってやがる。

「多少は、CGに手を加えて直せるけど、オモクロ対決には間に合わせろって、会長のお達しだから」

「みんな、がんばるんだぞー!」

 おおー!!

 クララが檄を飛ばすと、みんなが拳を突き上げた。突き上げた半数の拳には、まだお箸が握られていたぜ。

 AKRの新曲発表に、みんな、並々ならぬ闘志が籠もっているぜ!


「もう、どこ行ったのよ?」


 事務スペースに、きっちり五分後にやってきた美優は言い出した黒羽Dがいねえことに、口を尖らせやがる。

「やあ、ごめんごめん。みんなのテンションが高いんで、午後の分の打ち合わせにも熱が入ちゃって……これにサインとハンコくれる」

「うん」

 美優は、納品関係の書類だと思って、気楽にハンコを出しやがる。

「……これは」


 書類の左上には「婚姻届」と記してあった……ぞ!!


「英二さん……」

「異議あり?」

 美優はブンブン首を振った。

「じゃ、お気楽に……早く」

「フフ、これって一種の納品書ね」

「どっちが納品されるの?」

「英二さん。だって、先に名前が書いてあるから、わたしが受領者……ね」

「尻に敷かれそうだ……」

 美優は、ポーカーフェイスで署名捺印した。スタジオのみんなは気にも留めないか、仕事上の書類のやりとりだろうと思っていたぞ(〃艸〃)。

 と、そこに一陣の風が吹いてきやがった!

 スタッフが、午後から使う送風機のテストをやりやがったんだ。むろんみんなの邪魔にならねえように、外に向け、パワーも微弱にしてあったけどな。壁を伝った風が、その書類を吹き飛ばすのには十分な力があったぜ。

 そんで、その書類は、スタジオのセットの前に輪になっていたAKRのメンバーの真ん中に落ちてきやがったぞ!


「なに、これぇ……?」


 知井子が、それを拾って、マユの体を借してる拓美が気がついたぞ!

「これ、婚姻届……じゃん!」

 拓美がマユの声で叫ぶと、メンバー全員が、磁石にくっつく釘のみてえに集まって歓声を上げやがる(^_^;)!

 ウワー! キャー! ウソ! ヤダー! ガチ!

 口々に年相応の短い感想を叫びやがって、スタジオの隅で固まっている黒羽と美優にいっせいに目を向けやがった……。


「親父、見えるか、これが……」


 黒羽は、美優とベッドの傍らに立ち、しわくちゃになった婚姻届をかざしやがる。

「今日は、ほとんど意識が無いの……」

 妹の由美子がポツリと言った。

 黒羽ジジイの命は、美優同然、あと二日余りになっていやがる。美優はマユが電池代わりになっているんで、まるで病人には見えねえけど、黒羽ジジイは末期ガンそのままで、意識もはっきりしねえ。

――ジジイの手を取ってやれ――

 マユは、美優の意識に働きかけたぞ。

 美優が手を取ると、ジジイはうっすらと目を開けやがった。マユがエネルギーの一部を父に送ってやったんだ。

「……ああ、来ていたのか」

「昨日は、仕事でこられなかったけど、今夜は……二人揃って来た」

「お義父さん。これ見てください」

「婚姻届……いいのかい、美優ちゃん……」

「だって……だから言ったでしょ。わたしは本当に英二さんと結婚するって」

「そうか……その指輪?」

「うん、親父が、お袋に送った指輪を作った、同じ店で」

「そうか……昨日は、ちがう指輪のように見えたが」

「ちゃんと、覚悟の程を、ちゃんとお義父さんに分かってもらうために、英二さん作り直してくれたんです」

「分かってくれたかい、親父?」

「ああ、美優ちゃん……このボンクラを、よろしく頼むよ」

「ボンクラはないだろう」

「ああ、すまん。英二にしちゃ、上出来だ。好きな女を清いまま……オレは、てっきり、お前のヤラセだと思っていた」

 美優の心臓は大きく高鳴って顔が真っ赤になってきやがった。だからよ、使うエネルギーも増えちまって、ジジイに送っていたエネルギーを遮断したぞ。

「あ、眠っちゃった……きっと安心したのね」

 由美子も嬉しそうに父の手を握って、掛け布団の中に収めてやったぞ。


 その夜、家にもどり、食事やあれこれをすませ、お風呂に入ったあと、美優はいったん自分の部屋に戻りやがる。

 そしてガウンを着て黒羽の部屋の前に立ちやがる。そして……大きな深呼吸をしてドアをノックしやがった。

 コンコン

「どうぞ」

 黒羽の声がした。

「え、英二さん……(//▭//) 」

 声がかすれてやがる。

 美優は、自然な飛躍をするために、ゆっくりとドアの中に身を滑り込ませていきやがった……。


 マユは、美優の体の中で3200万個目のガン細胞を殺しにかかるところだったぞ……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
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銀河太平記・261『マーマレードを作る』

2024-12-07 10:12:08 | 小説4
・261

『マーマレードを作る』 胡盛媛中尉 




 三本しか持って来なかった枝だけども、話をすると「もったいないですね」とおっしゃって、大小八個も花瓶を官邸の営繕課から借りてきて剪定したのを全部活けることになった。


「ミカンは日本と中国の懸け橋ですね」

 ミカンを活ける手を休めて殿下がおっしゃる。

「ミカンがですか?」

「はい、徐福という人をご存知ですか?」

「ジョフク……」

「こんな字を書きます」

 メモ用紙にサラサラと書いて示してくださる。

 漢明の有名人を思い浮かべるけど、ちょっと出てこない。

「あ、歴史上の人物です。秦の始皇帝に『不老不死の仙薬を探してまいれ』と命ぜられたお役人です」

「不老不死の薬ですか(^_^;)」

 そんなもの23世紀の現代にも無い、エライものを頼まれたものだ。朱准将の副官を頼まれるよりもキビシイ。

「むろん、そんな薬は無いんですけど、噂を聞いて日本までやって来ましてね。蜜柑を発見して、これが不老不死の仙薬と思ったんです」

「でも、始皇帝は死んじゃいましたね」

「そうですね、始皇帝陵は世界遺産になって三百年ですね」

「漢明の大事な歴史遺産です」

「徐福の墓は日本にあります、蜜柑発見の碑も存在します」

「そうなんですか」

「ミカンの爽やかさや、美味しさ。経験的に風邪の予防になることも知っていたでしょうねえ。蜜柑にはそれだけの魅力があります」

「ですねぇ、鈴なりのミカンをみてるだけで……ああ……ちょっと重たそうですねぇ(^_^;)」

 手当たり次第に活けたので、いくつかは重たそうに枝をしなわせてる。

「そうだ、マーマレードにしましょう!」


 というわけで、官邸の厨房を借りてマーマレードを作ることになった。


 林(りん)さんも他の摘果したミカンをいっぱい持ってきて調理に加わった。

「ジャムは知っていましたが、こいつは知りませんでした」

 大小三つの鍋の火加減を見ながら林さん。

「すみませんねえ、鍋をお任せして」

 わたしは殿下と二人で、ミカンの筋を取っていく。お鍋三つを動員しても一回ではすまないみたい。

「いいえ、船長というのはブリッジに立って、外ばかり見てるのが仕事でしたから」

「ほう、船内を見回ったり、指示を与えたりとか忙しいんじゃないんですか?」

「船長は『よし』と『待て』の二つを知ってればいいんです」

「「ほう」」

 殿下と二人、思わず聞き入ってしまう。

「船には、航海科とか機関科とかセクションがありまして。日ごろの仕事は、そこがやります。うまくいっていれば船長の出る幕はありません。報告を聞いても、たいていは『よし』です。ここいちばん判断をしなければならない時、たまに『待て』と言って指示を与えます。平穏な航海だと、一度も『待て』を言わない時もありますよ」

 そうか、殿下のボートが衝突した時は、とっておきの『待て』だったんだ。

「火加減拙い時は遠慮なく『待て』と言ってください」

「いいえ、林さんの火加減は『よーそろー』です」

「それは光栄です。なんせ、マーマレードを作るのは初めてでして……」

「あ、わたしも作るのは初めてですぅ」

「自分も子供の頃はジャムですよ。マーマレードというのは果肉が残っているでしょ。それが新鮮で自分でも作るようになった……」

 あ、少し記憶が戻ってこられた?

「……あ、だめですねえ……そんな気がする程度で思い出せません」

「あ、いいんですいいんです。いまは、美味しいマーマレードを作ることに専念しましょう。こんなにミカンあるんですから失敗するわけにはいきませんよ」

「そうですね、仕上がったら、いちばんに大統領閣下にお持ちしなければですからね」

「そうですね、がんばりましょう、ゲストさん(^▽^)」

 そう、森之宮茂仁殿下のことはご自分が思い出すまで『ゲスト』さんとお呼びすることになっている。

 わたしたちは『殿下』とお呼びするのが正しく思えるんだけどもね。ご本人の記憶が戻るまでは素性に関わる表現は避けようというのが大統領のお考えでもあるしね。

 あとは冷やすだけというところまでできて、厨房は柑橘に甘さの加わったマーマレードの香りでいっぱいになった。

 

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 栗 尊宅(りつそんたく)        輸送船の船長  大統領府参与
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!83『再びの婚約指輪だぞ!』

2024-12-06 07:10:53 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
83『再びの婚約指輪だぞ!』 


 


「その婚約指輪……返してくれないかな」


 クロマキー用の貸しスタジオに行く車中で、黒羽がサイドブレーキを引きながら言ったぞ。

 M坂の交差点にかかったところで、信号にひっかかっちまってよ。ここの信号はめちゃ長げえ。

「……どういうことなの?」

「それは、会長が用意したとりあえずのものだ……これ、オレが自分で買った」

 ゴソゴソ……

 黒羽は、ポケットから指輪の箱を取りだした。

「英二さん……」

「親父のためじゃなくて……オレと結婚してくれないか」

 この行動に移るまで、黒羽は三時間半かけやがった。

 最初の三十分は、美優の寝顔を見ていた。そして自分の気持ちに確信が持てると、すぐに行動を起こしやがった。


――近所の宝飾堂なんかじゃだめだ!――


 黒羽は、父が亡くなった母のための婚約指輪を作った銀座のT宝飾店まで足を伸ばし、開店前にもかかわらず、シャッターを叩いて、この指輪を用意しやがった。

 指輪ができると会長のマンションに直行、必要な話をして、会長を説得するのに、四十分の時間と二リットルの水分を費やしやがった。会長の日課のジョギングに付き合いながらの話になったからな。

 それから、会長のマンションでシャワーを借り、スポーツドリンクの二リットルボトルをもらって、区役所に寄り、踊る心臓をなだめながら、車で美優を迎えにきやがったんだ。


「……やっぱり、それはだめ」


 長い間をおいて、美優は大粒の涙を流しながら応えやがった。

「どうして……こんなオッサンじゃだめか?」

「そうじゃない、そうじゃない。わたし英二さんのことは大好き……」

「だったら……」

「わたし……英二さんに秘密があるの」

「それは……」

 ちょうど信号が変わって、車はゆっくりと堀端のK坂を上っていく。

「なんの……どんな秘密なんだ。愛してるって気持ちを殺さなきゃならないほどの秘密なのか……」

 美優は、スタジオに着くまで、ずっと黙って涙を流していたぞ……。


 黒羽は、スタジオの駐車場に車を止めると、静かに言いやがる。


「その秘密って……美優ちゃんの命が……あとわずかってことか……」

「……どうして、そのこと?」

「今朝、お母さんから聞いた……」

「同情からなんか、まっぴらよ!」

 美優は、ドアを開けて逃げようとした。けども、黒羽は、美優の右手をしっかりとつかまえて離さなかったぞ。

「似たようなことは、マダムにも言われたよ。親父のためのガセ婚約なら止めてくれって……オレ、しばらく美優の寝顔を見ていたんだ。そして確信が持てた。オレは黒羽英二は吉永美優を愛してるって……」

 それから、黒羽は、ここにいたるまでの、今朝の慌ただしい行動の説明をしやがった。

「……じゃ、二週間後には香港に行くの?」

「ああ、AKR47HONGKONGを立ち上げるためにね。いっしょに行こう。新婚旅行を兼ねて」

「そこまで……わたしの命はもたないわ」

「人生には奇跡がある。ガンで死を予告されて、その後ずっと生き続けている人だっているんだから。オレが、きっと美優のガンを治してやるから、きっと治して……」

「英二さん!」

 美優は、やっと黒羽の胸に飛び込みやがった(^_^;)。


「ここからは、十八禁!」


 早めにスタジオに来ていたメンバーの何人かが、植え込みの陰から、この様子を見ていやがったぞ。

 唯一成人の服部八重が、知井子や萌を植え込みに引っ張り込む。マユの体を借りている拓美は、こう思いやがった。

――バカな交通事故で死んでなきゃ、わたしの命の半分もあげるのに――

「みんな、今日の仕事が終わったら明日の準備。黒羽さんたちに気づかれないようにしっかりね!」

「おお(>▢<)/ !」

「バカ、声が大きい」

 知井子は叱られてやんの(^_^;)。


 そんで、マユは2250万個めのガン細胞を殺していたぞ……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・156『お土産を渡しに行くと櫛が居た』

2024-12-05 13:38:15 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
156『お土産を渡しに行くと櫛が居た』   




 修学旅行明け、最初のアルバイト。


 写真館に出勤するとお土産の八つ橋を「マスターとコミコミなんですけど(^_^;)」とお愛想笑顔で渡し、公民館に着いてから残りのひとつを式場の采女さんに渡しに行く。

 控室をノックしようとしたら話し声。

『それで、わざわざ……』

『うん、ちょっと特別でね……じつは……』

『……え……え……え、そうなの!?』

『うん……あ、外に人が』

 しまった(;'∀')。

『あ、ちょうどいい。入って来てグッチ!』

 見破られてるしぃ。

「失礼しまーす」


 入ってびっくり。

 采女さんは、いつものように巫女服でお茶を飲んでるんだけど、部屋には采女さんひとりだけ。で、テーブルの上には見かけない櫛が載っている。

「紹介するわ、この式場で写真屋さんのアルバイトしてる時司巡さん、慣れたらグッチって呼んであげて」

 なんと、テーブルの上の櫛にわたしを紹介する。

 すると、横になっていた櫛がカタリと直立すると、お辞儀をして口をきいた。

『先日はお参りにきてくださってありがとうございました、時司さん』

「え、はあ……」

「彼女、八坂神社の御祭神のクシナダヒメさん」

『きちんと書くと櫛稲田です』

「クシイナダ?」

『まあ、どっちでもいいんですけどね』

「じつはね…………ヒソヒソヒソ」

「ええ、そうだったんですか!?」

 産寧坂で時間を取ったこともあって八坂神社では、お参りしただけで時間切れ、慌ただしくお守りを買ったら集合時間れになってしまった。

『……ということで。どうかしら、お願いできるかしら?』

 櫛に頼まれては頭を下げるしかない。

「わかりました、なんとかいたします」

『そう! うれしいわ、恩にきます!』

 そう言うと、櫛はペコリと45度のお辞儀をしたかと思うと、ドロンと姿を消した。

「先月は前の月が神無月だったでしょ。神無月は日本中の神さまが出雲に集まって好き勝手に言うわけでしょ。亭主の須佐之男命は武神で偉そうにしてるだけしか能がなくって、実務はみんな女房の彼女が取り仕切って、もう師走だって言うのに手が抜けない様子でねぇ、ここへも櫛の姿でしか来れなかったのよ」

「あ、でも、綺麗でかわいい櫛でしたよ」

「そりゃあ、ヤマタノオロチやっつける時に須佐之男の髪に隠すために変換したアバターだからね。アイコンみたいなもので、同時に何十体もコピーして、あちこちで仕事をしたりお使いに行ったり」

「あ、そうなんだ」

「日中国交回復とかしちゃったでしょ。人の往来はともかく、神さまとかはビザもパスポートも要らないから、どんどん入って来ちゃう。向こうも多神教で神さまも妖も多いからねえ」

「アハハ、妖怪太陽光パネルとか……」

「え?」

「あ、なんでも」

 頼まれた用件は、こうなんだ。

 八坂神社で、我が担任のハナちゃんこと花園先生は縁結びのお守りを買おうとしたら、わたしたちが賑やかにやってきてトチ狂ちゃって、縁結びの横の学業お守りを指さして「これください(;'∀')」と言って言い直しも出来なかったわけなんだ。

 神さまは、そんなこともお見通しなわけで、あらためて、花園先生に授けたいんだけども、本業が忙しいので代わりに渡してくれないだろうかと采女さん(スセリヒメ)に頼みに来たわけ。

「あ、それから」

「なんですか?」

「あなたたちが拾ったのが、ハナちゃん先生のお守りだから」

「え?」

「校内放送は聞こえてないみたいよ」

「あ、ああ……」

 そう言えば、あの後、若杉先生が校内放送でゴニョゴニョ言ってた、あれがそうだったんだ。昼休みの放送って、たいてい聞いてないもんね。

「さあ、次のお式、そろそろだわよ!」

「あ、いっけない!」

 慌てて、それぞれの持ち場に飛んで行ったよ。


 
☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 



 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!82『沈む夕日は朝日に似てる』

2024-12-05 07:48:13 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
82『沈む夕日は朝日に似てる』 




 今夜は、明日のスタジオ撮りの準備のため黒羽は帰ってこねえ。
 
 あらかじめ分かっていたことだけど美優はとても寂しかったぞ。人生の一日一日がこんなに大事なものだと思ったのは初めてのことみてえだ。

 美優は黒羽の下宿部屋になった親父の部屋で一晩過ごしてやがる。ドロシーのお下げを三回叩き『オーバーザレインボー』を繰り返し聞いてやがる。


――三日で、虹の彼方にたどりつかなきゃ――


 そう思っているうちに美優は眠りにおちてしまいやがった(^_^;)。

「まあ、こんなところで寝てしまって……」

 明け方になって気づいたマダムは、美優の手からドロシーの胸像をそっと取りあげやがる。

「よいしょっと……フフ、何年振りかしら……」

 その見かけよりも強い力で美優を抱き上げると、美優の部屋まで連れて行きやがる。


「マダム……」


 黒羽の声が聞こえたのは、美優を抱きかかえたまま、どうやって美優の部屋のドアを開けようかと苦心している最中だったぞ。

「ボクが代わります」

 黒羽は、ドアを開けてからマダムの手から美優を受け取り、ベッドに寝かしつけやがった。

「……可愛い寝顔だ。むかしのまんまだな」

「黒羽さん。あなたスタジオの方は?」

「あ、会長命令で、もどってきました」

「ミツルクンが?」

「あんまり、わたしが働きすぎると、若い者が育たんと言われました」

「そうね、その気持ちは分かるわ」

「マダムだって、美優ちゃんをそうやって育てているんでしょ。昨日のロケの衣装直しは、美優ちゃん一人に任せていたし」

「……黒羽さん、お疲れのところ悪いんだけど、少しいいかしら」

「え、ええ」


「この店は、わたし一代でおしまい」


「じゃ、美優ちゃんは……」

「東の空が明るくなってきた……この朝とも夜ともつかない時間は、墓場の死人でさえ、起きあがって真実を語る」

「シェ-クスピアですか?」

「わたしよ……シェ-クスピアらしく聞こえたら光栄だわ。こう見えても、若い頃は女優志望だったの。オタクの会長さんが、田中米造の本名でフォークやってたころの大昔」

「そうだったんですか、道理で魅力的な人だと思ってました」

「美優のことは、どう思ってるの?」

「そりゃあ……可愛いくて、チャーミングで、見かけによらず働き者……」

「そんな営業用の言葉じゃなく、本当のところを聞かせて……!」

「マダム……」

「あなたのお父さんのために、かりそめの婚約者をやっているけど……美優は本気よ」

「それは……」

「もし、あなたに、その気がないなら、お父さんには悪いけど、もうおしまいにしてやって」

「マダム……」

「実は……あの子の命は、あと三日とちょっとしかもたないの」

「え……治ったんじゃないんですか( ゚Д゚)!?」

「薬よ……新薬なの。末期のガン患者を、その命の灯が消えるまで元気でいさせてくれる。だから、その瞬間まで、あの子の好きなようにやらせようって決心したの。好きなところに行って好きなことやりなさいって、わたしのゴールドカード渡してある。でも、あの子は、病院から、ここに戻ってくるタクシー代に使っただけ。あとは自分の貯金。あの子全額下ろしてる。あの子には、あと三日とちょっとが一生の全て。だから、たとえお父さんのためでも、偽りの恋人なら、もう止してあげてちょうだい。あの子は見た目には昇る朝日だけど、もう日没寸前の夕陽なのよ」


 昇り始めた朝日に照らされた黒羽は、しばらく言葉もなかったぞ。


 マユは、もう少しで二千万個目のガン細胞をやっつけるところだった……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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やくもあやかし物語2・082『笑い声を追って海辺を走る』

2024-12-04 14:48:58 | カントリーロード
くもやかし物語 2
082『笑い声を追って海辺を走る』 




 フフフ……ハハハ……フフフ……ハハハ……フフフ……ハハハ……


 笑い声を追って浜辺を走る!

 近くなったと思ったら遠くなり、遠くなったと思ったら近くなる。左手の草原の方に逃げて、それを追いかけて草原に踏み込むと、とたんに砂浜の方に笑い声が移動したりする。

 でも、けっして海の方からは聞こえないから、やくもたちの前を走っていることに変わりはない。なけなしの元気を振り絞って走る!

「こんちくしょー!」

 タタタタタタ!

 ハイジが頭に来て全力で追いかける!

 全力すぎてわたしの視界から消えてしまうんだけど、しばらく走ると、ヒトデみたく大の字になってひっくり返っている(^_^;)。

「がんばろ、上の方からは聞こえないから、あいつらも飛ぶ力はないんだよ」

「え、あいつら飛べるのかぁ?」

「あ、やっつける前は飛んでた。名前もトバリとトバルだから飛ぶっぽいかな」

 フフフッ……フハハハハ!

 かなり近くで聞こえて、ハイジと二人、めちゃくちゃ敵愾心が湧いて来て、思いっきり走った!

 タタタタタタタタタタタタタタタタタタ!

 どのくらい走っただろうか、あるものを、ちょっと追い過ごしたところで、二人とも立ち止まってしまった。

「いまの見たか……」

「う、うん、なんとなく……」

 なんとなくじゃない、実ははっきり見えて、見てしまって……立ち止まって見る勇気がないので、惰性で50メートルほど走ってしまった。

「ちょっと戻って確認しよう……」

「お、おお……」

 それは焚火の跡だ、ちょっと前まで二人で服を乾かしいた焚火の跡。

 燃え残りの木切れに見覚えがあるっぽいし、焚火を挟んでできた窪みは、やくもとハイジのお尻の痕っぽい。

「ひょっとして、ループしてるっぽい?」

「ま、まさかな(;'∀')」

「ていうか、笑い声がしなくなってるし……」

 ザザァァァァァ~~ ザザァァァァァ~~

 なんだか、波音だけが際立って……ちょっと怖くなってきた。

「あ、誰か来るぞ!?」

 ハイジが後ろの草原に駆けあがる。やくもも遅れてあがる。

「え、あれは……」

「デ、デラシネじゃねえか!」

「「オーーイ、デラシネぇ!!」」

 二人で手を振ると、デラシネは、それに気づいた様子も応える様子もなく、それでも、真剣な顔で真っ直ぐこっちに向かって走ってきた!

 

☆彡主な登場人物 
  • やくも        ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
  • ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
  • ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
  • ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
  • メグ・キャリバーン  教頭先生
  • カーナボン卿     校長先生
  • 酒井 詩       コトハ 聴講生
  • 同級生たち      アーデルハイド  メイソン・ヒル  オリビア・トンプソン  ロージー・エドワーズ  ヒトビッチ・アルカード  ヒューゴ・プライス  ベラ・グリフィス  アイネ・シュタインベルグ  アンナ・ハーマスティン
  • 先生たち       マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
  • あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの  ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女 マーフォーク(半魚人) トバル(魔王子)  トバリ(魔王女)
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!81『黒羽Dがんばる!』

2024-12-04 08:39:38 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
81『黒羽Dがんばる!』 




 黒羽のジジイは分かってやがる。黒羽と美優は、自分を安心させるために見せかけの婚約をしていることをな。

「違います!」

 しかし、美優は、はっきり言いやがった。

「違います。わたし、本当に英二さんのこと愛しているんです」

 でも、ジジイは、こう返してきやがった。

「……だとしたら、それは錯覚だよ。婚約者の役を引き受けたのは、俺の命が長くない……そう聞いてからだろう。二人を見ていれば分かるよ……二人は、まだ清いままだ」

 清いまま……国宝になりそうなくれえ古風な言い回しだけど、核心をついていやがる。

「オヤジになに言われたの?」

 ハンドルを握りながら黒羽Dは聞きやがる。

 軽い調子だけど、かなり気にしていることが美優にもマユにも分かったぞ。

「ナイショ」

「厳しいこと言ったんだろ。外面はくだけたジイサンだけど、身内にはキビシイからなあ。まあ、年寄りの繰り言と聞き流せばいいよ」

――そうだよね、お父さんは、とても優しく接してくれて、心配もしてくれた。でも、厳しく現実は見抜いていた……いや、違う。わたしは、ほんとうに英二さんを愛してるんだからね――


 それから二日がたった。


 コスモストルネードは、プロモーションビデオの段階にさしかかっていた。

 マユのアバターを借りた拓美もリーダーのクララも知井子も、他の選抜メンバーも歌と振りは完成していたぞ。


 プロモの撮影は、隣りのS県のコスモス畑でおこなわれたぜ。


「すごいだろ!」


 黒羽は、衣装のアシスタントとして付いてきた美優を含める全員に自慢しやがる。

 黒羽は仕事の上では公私混同はしねえ。美優も、カメラテストの終わったメンバーの衣装の手直しを真剣にやったぞ。あくまでローザンヌの仕事だという姿勢は崩さねえ。

 プロモのディレクターはゲームクリエーターの岸川という、まだ二十代前半の若い奴だ。

「岸川君は、『アイドルチャレンジ』で立て続けにミリオンとってるやり手だからな。きっといいプロモにしてくれるよ」

 黒羽が、そう紹介すると、メンバーのみんなが騒ぎやがる。

「え、ウソー! あのアイチャレ作ってんですか!」

「わたし、クリアーしちゃった!」

「続編でるんですか!?」

 AKRのメンバーの中にも、かなりのファンがいるようだ。そのためにメンバーとクルーのモチベーションは最初から高くて、チームワークもいいぞ。

 なんといっても、メンバーのほとんどがアイチャレにハマったり、知っていたりしていたんで、最初から共通のイメージを持って撮影できたことが大きい。

 まったく新しいものを一から作るより、アイチャレをブースターにして打ち上げた方が確実に軌道に乗る。乗ってしまえば、回を重ねるごとに自ずとAKRらしさが出てくると、この人たらしディレクターは目論んでやがる。
 そんで、企まずして出て来た『らしさ』の中から、次の本当のAKRの色と形を掴もうとしてやがる。

『二番煎じで墜落すんなよ』

 会長には言われてやがるが、会長もそうやってフォークの枠から突き抜けてきやがったんで、それ以上には言わせねえ。

 
 予定より二時間も早く撮影が終わって明くる日はスタジオ撮りだ。 そんで、週末の新曲発表は、いきなりオモクロとの対決というブースターが付くことになりやがった。

 オモクロが、新曲の『秋色ララバイ』をぶちかまし、合同発表ということになった。しかし、ただの発表ではつまらねえ。

 収録に審査員。そして会場の観客。さらにはテレビとネットの視聴者にも投票してもらい、順位を付けることになってやがる。
 ただの新曲だけの勝負では負けた方が営業上のダメージが大きく、九十分の特番としては尺が余ってしまうので、AKRもオモクロも独自の選曲で、三曲づつぶつけ合い、その間にもトークなどがあって、最後に投票結果が集計され、フィナーレで結果が発表されるちゅう、失速してる間もねえ企てだ。

 この分かり易くセンセーショナルな企画は、HIKARIプロの会長が発案し、オモクロが受けるカタチで決まった。黒羽Dは独自に突っ走りながらも、会長へのヨイショも抜かりがねえ。


――まんまと罠にはまったな――


 オモクロの上杉プロディユーサー兼チーフディレクターは笑みをこぼしやがった。だけど、オモクロのことは、もうちょっと後でな。

 
「ごめんなさい。英二さん、今夜は来れなくて……」

「いいよ美優ちゃん」

 美優が病室に入って最初の会話だ。

「由美子、ちょっとの間、この酸素マスク外してくれよ」

 ジジイが、夕べよりもか細くなった声で言いやがる。

「……いいわ。でも三十分だけよ」

「頼む」

「三十分たたなくっても、顔色変わったり、モニターのアラームがなったら、そこでマスクジイサンになってもらうからね。じゃ、美優……お義姉さん、よろしく」

 年上の由美子から言われて、少し落ち着かなかええけど、気遣いは嬉しい美優だったぞ。

 昨日もそうだったけど、黒羽の父は、美優がかりそめの婚約者だとは言わなかった。ほんとうに息子の嫁に話しかけるみてえに、うち解けて話してくれやがる。

「ハ……あいつも、なかなかやるもんじゃないか……」

 オモクロとの対決を話した時などは笑ってくれた。もう声を出して笑う力はなかったが、目はしっかり笑っていた。
 
 対決番組の収録まで、あと五日。

――わたしの命は……あと四日。神さま、お願いです。英二さんの勝利が分かるまで、一日だけ命を延ばしてください――

 頼む相手が違ぇだろ!

 マユは、必死で五百万個目のガン細胞を殺しにかかったぞ……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

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銀河太平記・260『ミカンの枝』

2024-12-03 13:23:13 | 小説4
・260

『ミカンの枝』 胡盛媛中尉 




「そうか……そういえば、日本語で考える方が楽かもしれない……」

 目覚めた森之宮殿下には「あなたは日本人なのですよ」ということだけを伝えた。

 乗っていた内火艇から救助され、目覚めた時は周囲が中国語を話していたので、殿下は自然に中国語で受け答えされたらしい。完ぺきな北京語だったので輸送船の乗員は漢明人に違いないと、北京語で応対した。

 衝突の衝撃で壊れてしまったハンベは日本製の高級品。漢明で日本製の高級品を使っているのは党幹部か政府の要人、あるいは財閥のトップクラス。そういう者たちはも普段は漢明製を使っているんだけど、ごくプライベートな時は日本製に付け替える。日本製は漢明の情報カメラやハンベには反応しないからね。

 むろん警察や情報部とかの官憲や幹部級の軍人は日本製でも読み取れるハンベを持っているけど、輸送船は民間の船なのでそういうハンベを装着している者はいないし、船にも、そういう装置は無い。

「林(リン)さんはどうして分かったんですか?」

 額面通りに庭仕事を始めた林さんに聞いてみる。

「戦前、閣下が軍人だったころにね、日本の皇族のお相手をしたことがあるんだ……その時の皇族の方の雰囲気に通じるものがあって、船のAIに調べさせたらドンピシャ。放っとくと他の乗員も気づいてしまうんで、すぐに大統領府に知らせたというわけさ」

 ウウ……林さんはなかなかの人物だ。軍や宙警察にではなく大統領府に連絡するなんて。

「軍や宙警に通報しても船の修理代は出ないしね。この航海で定年だからうっちゃっておいてもよかったんだけど、それじゃ、後任の者も会社も困っちまうから……それに、乗員の中には火星のマッパ病を気に掛ける奴もいたし、火星のマス漢は漢明の政府よりも信用がおけない……あ、このミカンは摘果しないと」

 パチン パチン

「あ、実が付いてますよ!」

 林さんは、立派な実の付いているミカンの枝を惜しげもなく切っていく。

「こっちに小さい実がついてるのがあるでしょ、こっちの方がもっと美味しい実がなるんだよ。そこに栄養を送ってやるために、この程度のは摘んじゃうだ。枝にだって水分も栄養もいっちゃうから、枝ごとバッサリとね……」

 パチン

「それ、もらってもいいですか?」

「いいよ、ジャムにでもする?」

「アハハ、そういうの苦手だから、殿下のお部屋に活けて差し上げようと思います」

「ああ、それはいい。柑橘系は気分をリラックスさせて脳神経にもいいというからね」

「はい、理屈は分かりませんけど、いい香りは、きっと体にもいいです」

「ハハ、お母さんのお仕込かな?」

「あ、わたしに母はいません」

「え?」

「父が孤児だったわたしを引き取って育ててくれたんです」

「あ、ごめん、余計なことを言ってしまったなあ」

「いいえ、では、頂いていきます」

「自分も後でお部屋に行くよ」

「はい」


 殿下にお見せすると、こんなやりとりになった。


「もう一つ思い出しました」

「え、何をですか(°꒳° ) ?」

「僕はミカンが大好きな日本人だったようです(^_^;)」

 
 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 栗 尊宅(りつそんたく)        輸送船の船長  大統領府参与
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 

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