つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

山野草

2024年05月23日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
先週はお客様から自宅や店にお花をお届けいただきました。一年も経つのに。。と家族一同思いがけず、大変嬉しく拝受いたしました。

山野草の鉢植えは大阪にお住いのお客様がお送りくださいました。なんとも可憐で素敵な山野草の寄せ植。ただ少し時間がありませんでしたので、それぞれの山野草について詳しく拝見していませんでした。

本日やっと準備も整い、改めて鉢を見てみますと、それぞれの草花に小さな立札があり、名前を紹介してくれていました。




この背の高い小さな白い花は、撫子の仲間だろうとさらっと見ていましたが、先ほど確認してみるとなんと!「センジュガンピ」と書いてありました。

このお客様は、コレクターさんの域を超えてもう学者さんばりに小林古径のことをよくご研究されていらっしゃる方です。勿論、ほかの日本画家についても大変お詳しく、私は今まで色々お教えいただいて参りました。

現在は闘病中でいらして、その影響で眼もご不自由になられていらっしゃいますので残念ながら展覧会など御覧いただけませんが、今回私がご案内をお送りするとお電話をくださり、ときどきお嬢様を介し御覧くださるブログについてのご感想もお寄せくださいました。




センジュガンピは勿論、あの岩ピの仲間で花弁が千手観音の手ににていることからこの名前が付いたとありました。花言葉は「変わらぬ愛」。



お客様は、佐橋が大好きであったこの古径作品といまの当店の「仏と花たち」についての展覧会、また私の心をお察しくださり、この鉢植えをお探しくださったのだと先ほどになって気づきました。

この鉢植えをお送りくださることをお電話では何もおっしゃっていらっしゃいませんでした。ですから、勿論この山野草のお話もお聞きしていません。

相手に気づかれなくても、心を込めて。

きっとそういうお気持ちでお贈りくださったのだと思います。

そして、そのお心づかいにふと気づいたとき、自分で気づけたとき、人は深い感動を覚えるものです。


さきほどまで「朝は偉そうにブログに書いてしまったけれど、どなたも展覧会にいらっしゃらなかったらどうしよう💦」とビクビク過ごしていた気持ちがすぅーと落ち着きました。
お客様のお気持ちのこもったお花を眺めながら展覧会の日々を過ごせるのは大変幸せなこと。過去も未来もなく、いまこの作品達に囲まれてこの店に居られる幸せを満喫しなければと思えました。

自宅にお送りいただいたお花も、少しですが新聞紙に包んで一緒にバスに乗って店に運ばせていただきました。

どうぞ、みなさま、当店の「生きているお花たち」も一緒にお楽しみください。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日の佐橋美術店 つづき

2024年04月11日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
通路には海老原の素描作品、土田麦僊の素描作品を飾らせていただきました。
素描作品はやはり気持ちよく感じられます。素肌の美しさというのでしょうか。その画家の本当の姿を感じることができるように思います。





杉山の素描作品も図書室に飾りました。熱帯魚がキラキラ光って見えます。



図書室の棚には駒井哲郎の銅版画をおきました。
小品ながらピリッとした作品です。


海老原喜之助 ペン・墨 「群馬 仮題」S39年週刊文春挿絵 88,000

土田麦僊   水彩  「アルル風景」竹喬鑑シール 180,000

杉山寧    10号  「ディスカス」富山県立美術館出品作 素描集成掲載
       東美鑑有 1,800,000

駒井哲郎   銅版画 「ある風景」 
       1989年制 季刊版画5号収録 500部 198,000






鳥海作品とはいよいよ来週お別れをすることになりました。
4号の教会ノアル風景(アルゼリーにて)をこちらにかけてみると、より深く奥行きが感じられました。この題材の鳥海作品は今までもいくつか見てきましたが、こちらの作品の出来はとても良いと思えます。額がよく合っているということもその理由になるのかもしれません。



今週の当店の展示作品のご案内をホームページに掲載させていただきました。
よろしければご覧くださいませ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の佐橋美術店

2024年04月09日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
先週は少し風邪気味というか体温調節がうまくいかず週末のブログはお休みをさせていただきのんびりと過ごしました。桜の咲く時期はいつもこんな感じですが、一年前にはその体調の波を乗り越えた途端に佐橋のことがありましたので、今月は用心深く?気持ちを落ち着けて初夏に向かいたいと思っています。


ギャラリーはまだ一周ぐるりと鳥海作品が並んでいますが、通路より後ろの作品を今日少し掛け替えさせていただきました。

作品数は少なくても、結局2時間ほど時間がかかってしまいましたが、久しぶりに会う作品達は、やはりどれも「良いなぁ」と思えました。

通路正面には清宮のガラス絵を飾りました。
この冬を超えて自分でも随分「眼が変わってきたなぁ」と思えています。
今日出会った清宮は、なんとお伝えすればよいのかしら?ぬるま湯にはちみつが溶けていく感じ?あれ?ちがうかな~そうですね~「愛おしい」という言葉が似合う気が致しました。そうそう!清潔で気高いけれど、愛おしいのです。






今日の掛け替えのテーマは「愛おしい」で参りましょう。


当店ではこの織田広喜の作品を「こわい女の人」と名付けていました。
なんだか不気味だと思っていたからです。
私はこの織田作品とトットとお別れしたいと思っていたのですが、どういうわけか佐橋がずっと残していました。

今日倉庫を覗いていたら、ふとこの作品を箱から出してみたくなり、飾ってみると「おーなかなかいいいじゃないのぉ~」となりました。

この女性はですね、きっと男性にとってみると愛情ぶかい、なかなか「よい女」です。眼が優しいのです。今更ながら、見習うところは大いにありそうなので(^▽^)💦ばらく飾って眺めてみようと思っています。





脇田和の少女にも久しぶりに会いました。久しぶりに見てみると「変な絵だなぁ~1年前の私は何を考えていたのだろう?」と思いました。この絵を弥栄さんのコレクションから選ばせていただいたのは私です。しかも半分絵具が抜けて修復が必要でした。

眼が慣れてくると、「よいと思えたのは、向かって左の瞳の位置だな」と先ほど気づきました。少し内側を向いている瞳が可愛いのです。理知的で、現代的だけれど不思議な愛着を感じさせるのが脇田作品だと思えます。

そういえば、まだ今泉さんの脇田評を読んでいません。急いで読んでみなくっちゃ。





今日は携帯しか持ってきていないので応接室の写真がうまく撮れませんでした。お軸を三点掛けました。はい、入江波光ばかりです。

始め冨田渓仙の花の寺を広げたのですが、どうにも長すぎて結局このお部屋には掛けられませんでした。かといって、松岡映丘の春宵を掛ける気分でもありません。

ということで、結局波光3点となりました。



波光の作品の中に愛おしさを発見するのは、「難題」です。

体温計を使わずに目の前の人に触れて37.3℃と37.6℃を感じ分けられるか?という問題に近いと思います。発熱ではないけれど、確かにすこーし熱っぽい。波光の温かさとはそんな感じでしょうか。

続きはまた明日以降書かせていただきますね。
今週もよろしくお願い致します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本年もよろしくお願い申し上げます。

2024年01月02日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
令和6年、新しい一年が始まりました。
みなさま、どうぞ今年もよろしくお願い申し上げます。

昨日は日本海側で大きな地震があり、この地域も震度4の長い揺れがつづきました。思わず玄関の外に飛び出してしまいましたが、揺れがひとまずおさまりました後に「こうして私はひとり、今年を生きていくのか」と少しがっかりと致しました。


雪の多い、観光名所の多いお土地柄、しかも元旦からの出来事で、被災地ではお辛いことが重なってしまうことばかりだとお察しいたしますが、せめて日本にこれ以上の災害が続きませんことを心から祈りたいと思います。



「つづく」と書いてしまいましたので、勝手ながら当店のギャラリーの様子のご紹介を少し書かせていただこうと思います。





岩橋英遠のお軸の鶴は、昨年から幾度もご紹介させていただいておりますが、先月からあらためて眺めていて、あら?こんなに良い作品だったかしら?と思うことが多くありました。

多分、応接室でなく、ギャラリーに飾らせていただいたのが良かったのではないかと思っています。

鶴が大きく描かれいますので、床の間なら本床のサイズ、或いはかえってお玄関やお部屋の壁にドーンとお飾りになられたほうが英遠作品の雄大さが強調されて美しく感じられるのだろうと思います。

北海道出身の日本画家、岩橋英遠の鶴は雄大で画格が高く、昭和の時代には大変な人気がありました。

私も当時先生のお宅に伺ったことがありましたが、とても大きなお庭とそこにいらしたご来客のみなさんのお姿を印象的に覚えています。ただその時は残念ながら先生にはお会いすることができませんでした。





香月のスペイン、トレド。

この作品をお客様になかなかお納めできないということは、私どもが香月についての認識を間違えているのかしら?とふと不安に思うのですが、いやいやそんなことはないでしょう~と思い直すとき、当店のこの場所にこの香月作品は戻って参ります。そして、やっぱりいいなぁ~となります。

香月自身の「悲しみ」や「後悔」ばかりでなく、その香月自身が真に味わった「感動」を共有できる作品を所蔵してみることは、例えば、香月の創り出したあの玩具たちをそばに置くのと同じことのような気がしています。






加山又造の版画を二つ並べてみました。

月とサイは、1960年加山が手掛けた初めてのリトグラフ(石版画)作品です。

この際指導をした女屋勘左衛門は1954年岡鹿、民次、小磯良平、脇田和らの洋画家のオリジナルリトグラフ集の刷りを担当したことでも有名です。




隣の1986年制作「蝶」のような、アクアチント、メゾチントなどの他の技法を使った版画作品は洗練された表情を見せ、加山のデザイン性を強く強調し、爆発的人気を得ましたが、私は加山本来の人間性は、この「月とサイ」により強く感じられるように思い、女屋勘左衛門がそれをうまく引き出させた作品だろうと考えています。

当店の今月の展示作品のご紹介はまた一覧にしてご紹介できたらと思っています。

それまではまた気ままに記事を書かせていただきます。

私は年末より少し風邪気味です。

みなさまも十分ご自愛いただきながら、どうぞお正月をお楽しみくださいませ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

来週?今週の佐橋美術店

2023年11月19日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
少し時間が空いてしまいましたが、ひきつづき展示作品のご紹介をさせていただきます。

図書室には、朝井閑右衛門の作品と筧忠治のキャンバス・油彩6号の「花」を飾らせていただきました。筧作品は、質のわりには大変お値打ちなので特に当店の前をお通りのお客様に版画も含め、ときどきお求めいただいています。





ちょうど先日浅野弥衛の作品を家具屋さんからお戻しいただいたので、当店には珍しく通路には抽象画を幾つか掛けさせていただくことにしました。

まず版画家の二人の作品から。

先日ご紹介させていただいた清宮のガラス絵と駒井哲郎の銅版画です。


清宮は版画だけでなくガラス絵や水彩画も手がけましたが、駒井は版画一筋の作家。



それでも十分に見どころをわけてくれるのがこの作家の良いところだと思います。いつもとてもおしゃれで、品がよいですね。







つづいて、浅野弥衛のパステル画2点とスクラッチ・フロッタージュの作品。


浅野は私が名古屋に住むようになり感じている三重県ご出身の方たちの
優しい感じ、温かい感じ、そしてどこか理知的な感じをそのまま作品に表現しているような作家だと思います。

ただひたすら感じること。
抽象画の鑑賞には一番大事なことではないかとこの頃考えます。
具象画の鑑賞で「見ること」に信頼を寄せすぎてしまっている私たちにはよい刺激になるように感じます。

珍しく応接室の作品たちも画像に収まってくれました。






土壁に、近代日本洋画作品はしっくりなじみます。特にこの寒い時期には独特の空気を醸し出してくれます。


ざぁーとですが、展示作品をご紹介させていただきました。ショーウィンドウの作品はまた後日ご紹介いたします。

ホームページの移設で各作品の価格表示がご覧いただけない状態になりましたので、今回ご紹介した作品の価格についてもみなさまに何かお伝えできる方法を考えたいと思っています。

しばらくお時間をいただきますようお願いいたします。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする