つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

静物画

2025年01月26日 | 福井良之助展
思えばまだ静物画は慈姑の一点しかご紹介しておりませんので、こちらでご覧いただこうと思います。

雪景色以外の作品はほとんどを応接室に飾らせていただきました。静物画のバッグ、つまり福井の描く背景は応接室の土壁と同じような色が多くなり、絵が沈んでしまうのではないか?と最初は心配しましたが、どうやらその同系色の壁が良い効果を生んでいるようで「雪景色もとても良いけれど、応接室の作品に作家の魂をぐっと強く感じました」とおっしゃってくださったお客様もいらしてくださり驚きました。確かに皆様応接室にいらっしゃる時間が長くていらっしゃる気がいたします。







画家自身が述べているように、福井が静物画に託しているのは形が帰っていくところ、或いは形が生まれ出てくるところ。










特にこの「花菱草」という作品は、背景からぼぉーと「花菱草」(カルフォルニアポピー)の花ビラが浮き出てくるような印象を受けます。

福井は孔版画にもよく虞美人草(ヒナゲシ、ポピー)などケシ科の花をモチーフにしますが、それらのタイトルに「風」とつけたりしていますので、もしかしたらこの花に「風になびきながら生まれ出でる、風に吹かれながら土に帰る」そんなイメージを持っていたのかもしれません。

出来ましたら、少し光を当ててあげると作品がグッと引き立ち、いよいよ上品に感じられますので、そういった場所にお飾りいただけたらますますお楽しみいただける作品ではないかと考えています。










「柿」はご覧いただく通りの作品です。サムホールのサイズといい、この余白、背景の処理といい、いかにも福井良之助らしい作品だと思います。ご案内の葉書にも使わせていただきました。ご覧いただきますように柿の影に大変薄いブルー?水色?が使われているのが特徴的です。




明日はお休みを頂戴し、火曜日よりまた展覧会をご覧いただけるようにいたします。
変わらずインフルエンザやコロナの感染が広がっているようです。
私も十分に気をつけさせていただきますが、皆様もどうぞご自愛のほどお願い申し上げます。
また当店にお通いくださるお医者さまがたもお障りなく明日からの1週間をお過ごしくださいますようお祈りいたします。

今週もお付き合いいただきありがとうございました。




「花菱草」 8F   ☆
「柿」 SM  東美鑑 ☆
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日曜日

2025年01月26日 | 福井良之助展
展覧会中は月曜日のみお休みをいただいておりますので、今日も店に出てきております。

が、昨日に増して人通りの少ない日曜日。
こうなったら、のんびりブログを書かせていただこうと午前中からはりきったものの、完成し「公開!」ボタンをクリックしたつもりが~自分の携帯で確認したところ公開されておらず~慌ててパソコンを開くと1時間以上かけて書いた記事はどこにも見当たらず消えてしまっていました。

今年になってこういうことばかり何回続いているのでしょうか?
10年以上つづけていて、初めてブログのお引越しも考えましたが、それも大変な作業であるのはわかっているので「記事が消えてしまうのは、皆様にお読みいただけるような内容ではなかったから」と諦め諦め続けてきてしまっています。

仕方なく、少し手間はかかりますが息子に教えて貰ったように一度Wordに記事を書いてそれを添付させていただく方法に切り替えてみようと思います。

また記事がなくならないように早速作品のご紹介を続けさせていただきますね。


10Ⅿ 雪景 東美鑑


中央に大きな建物を置く構図は珍しく、また実際描くのも難しいのではないかと思いますが、細かいところにまで雪の白を描き込んで画面全体の静寂を保っている、そんな高度で不思議な作品です。


同じ雪景色ばかりが並んでいても、例えば描かれた空気の、温度も湿度はすべて違って感じられ、例えば静寂の、除夜の鐘の音色が時の経つのに従って違って聞こえるように、静けさのリズムがみな違っていて、その感じ分けで自分の好きな「生き方の深浅、明暗、」までもがわかるような気がしてまいります。

「人物も、静物も風景も、結局全部人間を描いてきたつもりだ」という福井の言葉そのものを今強く感じています。



6M 雪景  東美鑑


煙突のところどころの赤が、作品に可愛らしさの演出を加えていますが、決して甘くならずかえって品よく温かく感じさせるのは、描く家の数を少なく、そして家と家との距離をとって「雪に埋もれたくらし」を私達に想起させるからだろうと思います。画面一番下の描写は水面でしょうか?雪の屋根がぼんやりと映っています。

つづく



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする