つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

堂本印象 軸 

2022年11月24日 | 堂本印象
少し前になりますが、堂本印象のお軸を入手致しました。




同じ印象の「晴雪」という作品をご紹介致しました時に、印象の雪景は大変珍しいと書かせていただきましたが、
さらにお軸でも雪景にご縁をいただきました。

印象作品が印象作品を呼び、珍しい雪景がもうひとつの雪景を引き寄せたということだろうと思えます。







「雪霽」




はれ雪 と 雪はれ

こちらのお軸の「雪霽」は、雪が今まさに降っているように見受けられます。

そして、その吹雪の中を男性らしき人が歩いています。





堂本印象はおよそ六十年に及ぶ画業に、画風の転換を多く繰り返した日本画家です。

歴史画や宗教画、仏教画、戦後の女性現代風俗画、そして晩年の抽象画。

元々西陣織の龍村工房の図案家として出発した印象のその自由な挑戦は、止まることを逆に恐れていたかのようです。

「恒世印象」のサインは、戦後間もなくから渡欧を経て抽象の作品を作り上げる前までの時期に使われたようです。

私自身が最近、堂本印象の特に戦後の60歳〜晩年の80歳までの作品に再び興味を持ち始め、その作品を多く扱わせていただくようになりました。

価格が下がり、扱いやすくなったということもありますが、戦後の風俗的な明るい色調の作品の中にさえも、印象作品には何か少しシーンと静まり返った寂しさや孤独感が感じられるような気がするのです。




降りしきる雪の中に独り。

その雪の明るさ、暗さ。

細いお軸をスルスルとほどけば、そこに一面の雪景色が広がります。


河北倫明氏が京都国立近代美術館館長でいらしたときに、堂本印象展に寄せてこんな言葉を残していらっしゃいました。

「画伯の芸業は、私には何か昔ながらの色即是空、諸行無常といった内容を、裏側に匂わせているような気がしている。あの明るく、新しく、華やかな表現が、文字通り、明るく、新しく、華やかであればあるほど、かえって果敢ないもの、空なもの、無情なものがどこかにぴったりと寄りそうている感じである。そういう点では、画伯の芸術は、無常感に裏付けられた日本的装飾観の特異な近代版であったということになろうか。いずれにせよ、日本人の性情のある一面を鋭い形で押し出した異色の仕事であったと密かに私は解釈している。」







堂本印象 軸 絹本 「雪霽」 共箱 

画面サイズ 45×51㎝
軸全体  143×66㎝  税込 297,000










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堂本印象

2022年09月16日 | 堂本印象
新しい堂本印象の作品は、「秋色」








絹本・彩色 17.5×33.5㎝


横長の小さな作品ですが、中央の墨の黒を基調に大変色彩豊かで、しかも印象らしいセンスの光る作品です。















箱書きは、堂本尚郎(甥)によるものです。




堂本印象 額 秋色 尚郎箱 



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今週の佐橋美術店

2022年09月06日 | 堂本印象
今朝から台風の影響でしょう、強い風の吹く名古屋です。

ブログの更新が遅くなりました。

先週佐橋が少し風邪気味で、ドキッとして、念のため接客をお休みさせていただきました。

熱もなく、寝込むほどの事も無かったので、自宅で入力作業などをしてもらい、今週は主症状だった咳もほとんど無くなりました。

私は、佐橋に何かあっても良いように、急な入院とかですね、、焦って決算作業を終え、といってもこの作業には今年も我が家の嫁が大活躍をしてくれたのですが、主な月末、月頭の仕事も無事に済ませる事が出来ました。

が、ドッキっとしたのと、色々な仕事をとばして頑張ったので、ちょっと疲れ、週末からブログもお休みさせていただきました。


すると、つくづく「ブログってありがたい」というか、不思議なのです。


お客様が「何かありましたか?」というご連絡でなく、なんとなーくご予約のメールをくださったり、コメントをくださったり、お支払いの予定をお教えくださったりするのです。

絶妙なタイミングで、絶妙な軽さで。




今迄も、私は「この感じ」、皆さまからのさりげないご連絡に、何度も救われて参りました。

皆さまのお優しいお気持ちに触れて、勇気をいただくのですね。

最近佐橋が言うのです。「夏美さんは〝気〟の生き物だから、気持ちが疲れたら休まないとね」

情け無いなと思いながら、そういえば小さい頃からずっとそうだったなぁ、体が弱いと思っていたけれど気持ちが弱いんだなぁ。


千住のおばあちゃん譲りの大変なお節介、気になる事に勝手に首を突っ込んで、勝手に疲れてバタッと倒れる。


その繰り返しの人生です。






印象の作品が好きなのは、そんな私にピッタリの「気の気配」を感じるからだと思います。


以前はとてもお高かった抽象の頃の作品もお求めやすいお値段になりました。

額の作品も多く、四季を感じながら、日本画の気品を皆さまにもお楽しみいただけるかと思い、

当店で扱わせていただく作品をよりお値打ちにさせていただこうと佐橋と話をしているところです。

仏教に近づいた印象ならではの、世界観をもっと広く皆さまにお伝えしたく存じます。

時々また作品をご紹介させて頂きますね。

よろしくお願い申し上げます。







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夏休みをいただきます

2022年08月13日 | 堂本印象
山の日には、お仕事をいただきましたので、昨日から夏休みに入らせていただきました。

お休みに入った途端の台風の情報。

今の所は雨もなく、気温が低いことに心身共にホッとリラックスさせていただいています。


皆さまはいかがお過ごしでいらっしゃいましょうか?

お盆の行事も宗派によって様々、またご家族との過ごし方もそれぞれでいらっしゃいますね。

施設に居る佐橋の母とも会えない生活が続いています。92才、先日届け物をした際に思いがけず会わせていただく事が出来たところ、佐橋に向かい、つまり息子に向かい「どなたさまだぁあも?」「覚えてくれちょーてありがとね」という言葉が返ってきたそうです。

無理もないこと。


佐橋にもそれほどのショックも無かったようですが、私はそれを聞いて嫁として少しショック、またその反面、力が抜けて楽になりました。


「忘れてくれている。」


誠に勝手なことですが、嫁としての呪縛から開放された気持ちになりました。

そして、私は既に姑でもあるので、嫁への感謝の気持ちでいっぱいになりました。

また母の名古屋弁が柔らかくなっている事にも少々の救いを感じました。



祖先のため、家族の為にとても忙しく過ごしながら、案外女性はこの時期自分の「ひとりよがり」の気持ちと戦っているような気がします。

「あぁ、早く1人になりたい、ホッとしたい」と思いながら、嬉々として家族の為に働いているということです。






善悪の区別を付けたら、もう生きていけない複雑な心を人はいつも抱えているように思うのです。












堂本印象 軸「旭光秋輝」

まだ入手したばかりですが、この作品を見る為なら夏休み明けの億劫も飛び、仕事に戻りやすいように思います。






落款も見事で、抽象の時期に近い制作だと感じられます。





印象の宗教観、偽りさえも善悪で分けず、全てを呑み込み、昇華させる力。

それがよく表れた思わず息を飲むような大変美しい作品だと思います。



立秋を過ぎ、お盆を控えた今こそ、皆さまにもお楽しみいただきたくご紹介をさせていただきました。
秋から年始迄、また機会あるごとにご紹介申し上げますね。



※印象の箱書き 3文字目が秋で良いのか?少し迷い、投稿が遅れました。
まだ調べている途中です。何かご意見が有れば、お聞かせいただけますと助かります。
よろしくお願い致します。






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今日の佐橋美術店

2022年06月29日 | 堂本印象
今週は佐橋の通院もあるので、少し早めに展覧会の準備を始めています。

といっても、色々やらなければならないことがあって、なかなか前に進んでおりませんが(;^_^A

今日はまた一段と暑く、「容赦ない」という感じですね。

季節外れと思っていた印象の雪景色が、大変良い仕事をしてくれて、なんとも涼しげなので、今日はこちらの作品をご紹介しようと思います。








堂本印象の作品を長く見てきたつもりでおりますが、「雪景色」というのを初めて見ました。

私だけでなく、どうやら40年近く画商さんをしている佐橋も、50年近く画商さんをされている先輩も「はじめてみた!」というのですから、かなりの珍しい題材、作品なのだと思います。

枝えだが、少しピンクがかっていますので、早春の風景か?と思いますが、空と水の青が美しく、透明感のある印象らしい作品です。

落款は、印象の最晩年の制作作品の目安となる「ひげ落款」。
私はこの落款にさえ、この画家の円熟味を感じます。



うだるような暑さに「雪景色」
勿論冷房がきいているお部屋にいるからこその鑑賞ですが、なかなか良いものだとおもいます。





堂本印象 紙本・彩色 5号 「晴雪」 共シール  55万円

この作品について、お送り申し上げましたご案内に記載ミスがございました。正しくは上記の通りでございます。訂正し、お詫び申し上げます。


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