つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

高山辰雄 「いだく」 

2013年01月21日 | 日記・エッセイ・コラム

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昨年末から京都と東京に出かけ、

山口華楊展、須田国太郎展、エル・グレコ展、国立近代美術館開館60周年特別記念展を鑑賞しました。

 

ひとつ一つの展覧会は素晴らしく、印象に残った作品も数多くありましたが、

 

「私はやはり今年もこの絵から出発するのだ」と思えた作品が

 

国立近代美術館所蔵の高山辰雄 「いだく」 です。

    1977年(昭和52年 作家65歳) 

    改組第九回日展出品作 紙本彩色 212×198cm 

 

 

この作品を目前で観たのは一昨年に続き2回目でしたが、

今回の再会にも深い感動を覚えました。

 

内側から光を発するような幼子の微笑み。

 

それを抱く二人の人の溶け合うような表情、今まさに抱く手。

 

生きるということの美しさと重み、そして人間のどうしようもない哀しさが

一切の無駄なく表現されている名作だと思います。

高山辰雄氏は平成19年95歳で亡くなられましたが、

作家が描き残した作品の数々は静かな、しかし鋭い力を持って、

先ばかりを急ぐ私達の歩みを一瞬に止めてしまいます。


形や色を通して感じるもの。

それこそが絵画の全てであるならば、力強くその深淵に道を進めてみよう。

「いだく」は私にその勇気を与えてくれる作品です。

 

立春までの冬土用の日々は寒さが厳しく、体調を崩しやすい時期だと聞きました。

皆さまどうぞ温かくおすごしくださいますように。

 

 

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