OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

「意味づけ」-刑務所建替プロジェクト-

2005-04-05 00:33:02 | ブログ
 たとえば、「刑務所」を建て替えるプロジェクトがあるとします。
 3人のプロジェクトメンバがアサインされました。さて、この3人は「刑務所」に対してどんな「意味づけ」をするか?

 A氏は非常に厳しい人です。刑務所は「犯罪者に懲罰を与えるところ」と意味づけています。刑務所にはいった犯罪者にはできるだけ重い刑罰を課し、もう二度と来たくはないと思わせなくてはならないと考えています。

 B氏は優しい人です。人間誰しも過ちを犯すことはある。悪事を犯したとしてもそれは拠所ない事情があるはずだ。根っからの悪人などいない。刑務所は、そういう不幸な人である「犯罪者を矯正する教育機関」と意味づけました。

 C氏はちょっと変わっています。刑務所は犯罪者という似た者が集まっている。犯罪は商売みたいなものでどうせ出所してからまた悪事を働くことになる。その場合の仲間の目星をつけるには刑務所はうってつけだ。刑務所は、「犯罪者のネットワークを広げる同志リクルートの場」 と意味づけているのです。

 さて、そういう3人が刑務所を建て替えるとしていったいどんな刑務所を建設するでしょうか。
 A氏が作る刑務所は、環境も劣悪で規則も厳しく「悪魔の城」のような刑務所を作るでしょう。
 B氏が作る刑務所は、出所してから困らないよう手に職がつけられる訓練施設や、更正教育が施せるような学習施設が備え付けられています。色調も精神的にも安定できる穏やかな色あいで学校のようです。
 C氏の作る刑務所は、収監されている人どうしがコミュニケーションをとれないよう独房が基本で共有スペース等は全くないビジネスホテルのようなつくりです。

 このように、プロジェクトをどう意味づけるかによってメンバそれぞれが作る刑務所は全く異なるものになってしまうのです。
 「意味づけ」ひとつで具体的アクションは大きく異なります。この「意味づけ」の内容がまさに「コンセプト」です。

 プロジェクトを進めるうえでは、メンバ間の「コンセプトの共有化」が最も重要なポイントなのです。

 (「刑務所建替プロジェクト」の例示の原型は東京大学妹尾堅一郎教授のセミナで教えていただきました)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする