「意思決定」「決断」「落としどころ」は、「決める」という点では同じグループですが、その本質は全く別物です。
(p123より引用) 決断は単なる意思決定ではない。「何かを捨てて、何かを取る」・・・等々、大胆で不連続な側面を持った意思決定である。・・・こういった辛く厳しい決定を自分一人の責任で遂行できるというタイプの人が不足している。戦後の「民主主義」的教育を小学校から受けてきた人々は、企業に入っても「独断」を嫌い、周りの多数者が暗黙のうちに考えている「落としどころ」を探ろうとする傾向が強いように思われる。・・・社員の総意を反映した「落としどころ」という答えしか出せず、決断ができない経営者・管理者は不要である。
「落としどころ」という一見老成したような言い様は、真剣な議論を蔑ろにする安易な逃げ道です。したり顔で使う言葉ではありません。
さらに著者は、「決断不足の3つの兆候」を示しています。
(ア) フルライン・フルスペック要求
(p132) フルライン・フルスペックの製品企画や全方位全面戦争型の戦略計画などは、何も考えていない、何も決めていない明白な兆候なのである。
(イ) 経営改革検討プロジェクトの乱立
(p133) 経営者自身は、検討委員会を作ることを決めただけであって、会社をどの方向に向けるのかを決めたわけではない。
(ウ) 人材育成プログラムの提案
(p134) 問題は、現在直面している課題の解決には人材の育成が時間的に間に合わない、というところにある。・・・問題解決の時間的な間尺が合っていない提案が出てくるようになれば、思考が足りないことは自明である。
どれも、ちょっと心当たりがあります。まずいです。