最近多くの企業で、社員のメンタルヘルスの問題がクローズアップされています。
私も、その観点から、以前「こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから」という本を読んだりしました。
この本も同じ根の問題意識から手に取ったものです。
「やる気が起こらない」「意欲が湧かない」「モチベーションが低下している」・・・、こういった状態は、メンタルヘルスの危険信号です。
この本は、どこの会社でもありそうなケースを短いドラマ仕立てのストーリーで示し、それを材料に「モチベーション」という切り口から解説を加えていきます。
20代から60代の7つのライフステージを舞台にした「7つの物語」で構成されています。読者はいずれかのストーリーに何がしかの親近感を覚えるはずです。
解説の中で著者は、「職務特性理論」における「満足感を生む5つの要因」を紹介しています。
(p75より引用) 職務特性理論の中では、次の五つの要素が、職務満足を生むとする。「使う能力の多様性」「仕事の最初から最後までに携わっているという一貫性」「仕事のやり方などについて任されているという自律性」「仕事を意味のあるものだと感じられる有意義感」「仕事の結果を知ることができるフィードバック」。
逆にいうと、これら5つの要素が欠けていると「モチベーション」の低下につながるということです。気をつけなくてはなりません。
また、著者は「モチベーションには年齢的なピークがある」ことを紹介しています。
(p173より引用) 二十代は経験が不足しているため、仕事の中身に深く関わることがむずかしい。三十代は知識も能力も高まるが、まだ組織内での立場が確立していない場合もある。四十代は、プレイヤーとして職務を遂行する能力にも秀で、しかも立場の重要度が高まる。五十代では、さらに高みに上る人もいるだろうが、職務遂行能力が低下したり、役職を離れたり、というケースもあるだろう。
複数の企業でみられる、男性では四十代前半がモチベーションのピークという現象には、以上のような背景が考えられる。
一般的にはそうかとも思いますが、最近はこういったパターンに当てはまらない状況が目立ってきていると感じます。
「モチベーション」=「やる気」だとすると、「やる気」は、どの年代にもあります。「やる気の素」「やる気を支えるもの」がその人のライフステージによって変わるのでしょう。それが、「やる気」の(外からの)見え方の違いにつながります。
また、年代によって(人によって)、「やる気」が削がれた場合の「耐性」や「反応」が大きく異なってきています。
耐性が弱く、反応が内に向くとメンタルの危険度が急速に増加します。
メンタル的問題を抱えるに至る要因は、まさに様々だと思いますが、直接の原因もしくは背景に「モチベーション(やる気・意欲)」があるのは間違いありません。
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会社がイヤになった やる気を取り戻す7つの物語 価格:¥ 756(税込) 発売日:2004-06-18 |