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新しい科学論 (村上 陽一郎)

2006-11-17 21:32:02 | 本と雑誌

Galileo  タイトルに「新しい科学論」とありますが、科学に対する基本認識を改めるもしくは再確認するには、まさに最適の本だと思います。

 著者の村上氏は、科学史・科学哲学の重鎮です。本書は、その氏がまだ40代のころに著したものです。

 まず、以下のような氏のメッセージが示されます。

(p30より引用) 科学は「客観的真理」から成り立っており、それはだれが、どんな人が発見したとしても、その人間のあり方とは無関係に成立する、という考え方です。わたしは、この考え方は最終的には正しくないと考える・・・

 本書の前半部分は、これまで広く常識的に信じられてきた科学観を概観します。
 たとえば、ガリレオの宗教裁判のように「キリスト教的先入観」が自然科学の進歩を阻害してきたといった考え方です。

 本書の後半部分では、それらの常識的?な科学観を次々と壊していきます。
 コペルニクス・ニュートン・ケプラー・ガリレオ・・・について。

(p111より引用) 少なくとも彼らは、キリスト教的偏見を捨て、宗教的迷妄から解放されてありのままの自然を見たから「自然科学的真理」に到達することができたのではなくて、この世界を創造主である神が合理的に造り上げたというキリスト教的偏見をもっていたからこそ、「自然科学的真理」を得ることができたといえるのではないでしょうか。

 現在の「常識的?科学観」は、むしろ、18世紀の啓蒙主義者が従来の科学から「キリスト教的信仰」を邪魔物として取り払ってしまったことにより変質してしまったものだと言います。

(p118より引用) 科学に対する今日の常識的な考え方の大部分は、・・・啓蒙主義的「偏見」や「先入観」の上に形づくられていることにもなるわけです。

新しい科学論―事実は理論をたおせるか 新しい科学論―事実は理論をたおせるか
価格:¥ 861(税込)
発売日:1979-01

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